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イー・モバイルのガン氏、SIMフリーな「Nexus 5」の魅力を語る

 イー・モバイル(イー・アクセス)は1日、都内で記者会見を開催した。Android 4.4搭載の「Nexus 5」を11月中旬に発売することにあわせたもの。エリック・ガン社長は、他のメーカー製のAndroid 4.4搭載機種が登場するまで半年~9カ月ほどかかるとして、最新OSのアドバンテージをアピール。さらに今後の戦略についても語った。

Nexusブランドで提供、「Pure Androidを」

 グーグルからも直販される「Nexus 5」だが、イー・モバイルで取り扱う「Nexus 5」も、SIMロックフリーであることも含めて、仕様は同等。イー・モバイルのロゴマークも記されていない。ガン氏は、「Nexusシリーズというブランドを日本で育てていきたい」と述べる。

 現在、イー・モバイルとしては通信サービスと端末の企業を分けてブランディングすることを検討中とのことで、それに先駆けて、イー・モバイルは陰に隠れる形となり、Nexusシリーズを1つのブランドとする。イー・モバイルでは扱っていないが、iPhoneと似た位置づけになるという。

 Nexusブランド自体は、グーグルのリードデバイスと位置付けられる。つまり、他のメーカーの製品のベースとなるような存在であり、「Nexusシリーズは、Pure Androidがコンセプト」(ガン氏)となる。イー・モバイルとして、このコンセプトを活かすのも今回の方針。つまりメーカー独自、あるいはイー・モバイル独自のアプリや機能は採り入れていない。

 そのため、今後のAndroidのアップデートもイー・モバイルではなく、グーグル側が主導する形で、アップデートされるかどうか、決まる見通しという。なお、端末故障時の対応について、Google Playで購入したものについては、イー・モバイルの商品ではないため、識別番号(IMEI)で判定して、サポート対象外とする。

通信キャリアではイー・モバイルが独占

 これまでもNexusシリーズは数多く登場している。しかしイー・モバイルとして、販売しようと交渉したのは今回初めてだとガン氏は語る。直販はあるものの、国内の携帯キャリアの中では、イー・モバイルだけが取り扱う機種になる。

 Nexusシリーズのタブレットについては、イー・モバイルの店舗によっては、既にNexus 7とルーターのセットを取り扱っているところがある。ただLTE対応タブレットの取り扱いについては「そこは何も言えないんです。今日はNexus 5で頑張ります(笑)」と明言を避けた。

ソフトバンクグループとしての立ち位置は

 ソフトバンクモバイル、ウィルコム、そしてイー・モバイルと、同じグループ内にモバイル通信サービス事業者が3社存在する中、イー・モバイルはどういった価値を提供する企業なのか。

 ガン氏は、これまでデータ通信がメインだったイー・モバイルに対して、ウィルコムは音声通話の安さを売りにしてきたと指摘。イー・モバイルとしては、これまで培ったPocket WiFiブランドを保ちつつ、スマートフォンのラインアップを強化する方針を示す。「Nexus 5」に続く冬モデルについては、「まだ、いろいろと武器は準備している」と述べて、さらに投入する方針を示唆した。その上で、ターゲット層としては、これまで同社ユーザーの主流という30~40代の男性に加えて、20代にもアプローチしたいとした。

 なお、グループとしてのシナジーとして、ウィルコムのショップ(ウィルコムプラザ)で、今回の「Nexus 5」が販売される。

イー・モバイル版「Nexus 5」のSIMカード、Google Play版では利用不可

 ハードウェアとしては同等ながら、割引を用意しているイー・モバイル版の「Nexus 5」用のSIMカードは、「Google Play」で販売されている「Nexus 5」では利用できないとのこと。

 このほか過去のイー・モバイルのAndroidスマートフォンが、Android 4.4へアップデートするかどうかは、まだ決まっていない。

1.7GHz帯の割当は来年?

 1.7GHz帯の追加割当を求めているイー・モバイルだが、現在国会開催中とあって、今後の見通しは立っていないとのこと。ガン氏は「もう11月で、割当は来年になるのではないか」と述べていた。

MNPの武器に

 イー・モバイルの新規契約のうち、3人に1人は、携帯電話番号ポータビリティ(MNP)でイー・モバイルに乗り換えるユーザーとガン氏は説明。そうしたユーザーは、MNPを利用しない通常の新規契約のユーザーと比べても、ARPU(ユーザー1人あたりの収入)が高く、割安で端末を販売しても、APRUの向上に繋がるのだという。

 イー・モバイルにとっては、かつてリリースしたWindows Mobile搭載のスマートフォン、あるいはAndroid 2.x搭載の古い機種から他社へ乗り換えるユーザーも多い。そこに登場する「Nexus 5」はポートアウト(転出)を防ぐことも期待されている。

 なお、ソフトバンクモバイルとイー・モバイルによれば、今回の「Nexus 5」の契約は、ソフトバンク側の契約にカウントされる。イー・モバイル側はMVNOとなっており、契約数には含まれない。

関口 聖