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ドコモが語る、iPhone向けネットワークとサービスの現在
(2013/10/4 16:02)
NTTドコモは4日、都内で記者説明会を開催し、同社のネットワークの状況、あるいはiPhoneへのサービス提供の予定などを紹介した。プレゼンテーションは、取締役常務執行役員でネットワーク担当の徳広清志氏、常務執行役員でスマートライフビジネス本部長の阿佐見弘恭氏から行われた。
ネットワークについては、AndroidとiPhoneで利用するLTEサービスの「Xi」について紹介された。一方、サービス面はiPhone向けサービスの提供スケジュールが明らかにされた。
2GHz帯と800MHz帯で広さ、1.5GHz帯と1.7GHz帯でスピード
2010年12月にサービスを開始したドコモのLTE「Xi(クロッシィ)」は、当初、2GHz帯という周波数を使っていた。その後、徐々にLTE用の電波が増やされており、現在は2GHz帯、1.7GHz帯(東名阪)、1.5GHz帯、800MHz帯という4つの周波数を使う。
このうちエリアの広さは2GHz帯と800MHz帯で、高速化は1.5GHz帯と1.7GHz帯で実現する。基地局は半年前の2013年3月時点で約2万4400局だったが、今年度末(2014年3月末)には約5万局(場所は4万カ所)と、倍に増える。このうち、10MHz幅以上、つまり下り最大75Mbps以上の基地局は、同じく昨年度末時点で約6400局だったが、今年度末には約4万局(約3万4000カ所)と、6倍に増える。屋内基地局も順調に増えており、9月時点では約5000カ所(1年前の2.5倍)となった。
ドコモでは周波数ごとの基地局数は示していない。これは、たとえばエリアの広さは2GHz帯と800MHz帯という2つの周波数で実現しているため。ただ、ユーザーからの要望にあわせて、周波数ごとの基地局数はいつでもオープンにできる、とした。
速度別エリア図も
下り150Mbpsのサービスは、9月20日より東京、大阪、名古屋を中心にする形で展開しはじめている。12月末には東京・山手線全駅がエリアになり、2013年度末には基地局数が500局、2014年度末には2000局に達する予定。
なお、iPhone 5s/5cについては下り最大100Mbpsとのこと。10月末には、全都道府県で100Mbps以上のエリアが用意される。10月11日から、ドコモのWebサイトで3カ月先、6カ月先の速度別エリア図が公開される。
Androidの冬モデルは“クアッドLTE”
ネットワーク担当の徳広氏は、「来週、加藤(薫氏、ドコモ代表取締役社長)が新製品発表会をする予定だが、冬モデルからは1.7GHz帯に対応したクアッドに対応したAndroidを提供する予定。また9月20日発売のiPhoneは、2GHz帯、800MHz帯、1.7GHz帯とトリプルバンド対応の無線機になっている。ユーザーからもFOMAプラスエリアで使えるか、1.7GHz帯で使えるかといった問い合わせをいただいているが、両方使える」と説明した。
8割が満足するドコモのエリア
9月20日~29日にドコモへMNPで乗り換えたユーザーのうち、約80%がドコモのエリア品質に満足している、との調査結果を示した。この「8割のユーザーが満足している」という調査は、ドコモユーザーの会員組織「ドコモプレミアクラブ」内のアンケート(プレミアアンケート)で行われたもの。これに対して、「満足度8割という数字だが、不満を抱えている人も多いのではないか」という指摘もあがったが、徳広氏は、「ユーザーの住むエリア、行動する場所がLTEのエリアかどうか、というところが体感に繋がる。つまり行動範囲内がLTEでなければ不満に繋がり、「満足度8割」とのギャップになっているのではないか」とした。
先述したように、急ピッチで基地局を増やすドコモだが、実際にその効果をユーザーが体感できるようになるのはいつ頃か。徳広氏は「基地局倍増計画へフルパワーに取り組んでいる。順調に進んでいて、来春までにはユーザーにも体感してもらえるよう進めている」と語った。
ドコモの方針、他社の方針
LTEサービスの開始時、3Gユーザー向けの周波数のうち、2GHz帯の一部(5MHz幅)をLTEに転用したことは、当時、「ちょっとビクビクだった」(徳広氏)のだという。これまで新たなサービスを開始する際には、新しい周波数が割り当てられる、という流れだったが、「Xi」の開始時には3G用で使用中だった電波をLTE用にした。その影響で、3Gが混雑する可能性が出てくる。しばらく、影響の度合いを確認してきたが、約1年前から「LTEのほうが3Gよりもトラフィックが多い」という状況になり、一気にLTE用に周波数を確保していく方針へ切り替えた。
他社が「倍速ダブルLTE」「プラチナLTE」とアピールする中で、徳広氏は「気にならないわけではない」と率直に認めつつ、周波数をLTE用に転用する、といった取り組みは、ある程度、通信量が増えて逼迫してきた段階で実施しているとのこと。ただ競合が思い切った施策を展開してきたことから、ドコモとしても、思い切った一手として1.5GHz帯、1.7GHz帯をLTE用にして、高速化を図る方針とした。
なお、KDDIが現状、800MHz帯のLTEサービスを展開して、実人口カバー率の高さなど広いエリアをアピールしていることについて、徳広氏は電波を自動車道でたとえつつ、「聞くところによると、第2世代用の周波数を温存して、2車線分(10MHz幅)でLTEのサービスを提供したと聞いている。もともと800MHz幅は3車線しかなく、残り1車線(5MHz幅)は電話用に残さなければならないのではないか。つまり、これからトラフィックが増加してくると、800MHz帯を増やす、ということができなくなるのではないかと思う。これは各社の戦略の違いだと見ている」と説明した。
なお、エリアの広さを示す指標については総務省での検討が進んでおり、ドコモも実人口カバー率を利用する方向で、現在準備中とのこと。
アプリでエリア品質チェック、ドコモも導入へ
ソフトバンクモバイルはグループ会社のアプリを、auはWi-Fiツールに組み込んだ機能を使って、それぞれ端末から通信状況をチェックする仕組みを採り入れている。収集するデータの内容に違いはあるが、多くのユーザーの体感に近い状況を“ビッグデータ”にして分析し、エリア品質の改善に繋げるという取り組みだが、ドコモはどうするのか。
今回、徳広氏は「ユーザーからサービス品質をフィードバックできるよう、(アプリでの情報収集の仕組みを)準備している」とコメント。時期や内容までは語られなかったが、今後取り組む方針が示された。
iPhone向けサービスは、準備でき次第
ドコモでは、映像配信サービス「dビデオ」やアニメ配信サービス「dアニメストア」などをAndroidスマートフォン向けに提供してきた。
一方、ドコモでは、9月から新しいiPhoneの提供を開始。ただ、当初は、メールサービスが利用できず、ドコモ独自のサービスも一部に限られるなど、Androidと同じ環境とは言えない状況だ。
まずメールについては、10月1日より利用できるようになった。プッシュ通知は行われず、15分に一度、自動的にメールを取得する形となっているものの、12月中旬にはSMSを活用して着信を通知する機能が導入される予定。またクラウド型メールサービス「ドコモメール」が10月下旬にスタートする予定で、こちらも12月を目処に、iPhoneでも利用できるようになる。
コンテンツ使い放題サービス「スゴ得コンテンツ」については、既にiPhone対応となっているものの、利用できるのはブラウザで利用する、いわゆるWebサービスのみとなる。
iPhone向けサービスがAndroid版と同等になるのか、阿佐美氏は「年内にほぼ同等というところまで持っていきたい。細かいところで、提供していない、あるいはできない機能(アプリ)もあるため、完全に一緒にはならない」とした。なお、ドコモ版iPhoneは、店頭でユーザーの許諾を得れば、dメニューやdマーケットのショートカットアイコンをホーム画面に設置するようにしているとのこと。