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駐輪場、家計簿、教育――「KDDI∞Labo」第5期がスタート
(2013/9/25 16:10)
起業から間もない、いわゆるスタートアップ企業や個人・団体から、有望なアプリやWebサービスを選び、3カ月間、支援していく「KDDI∞Labo」の第5期参加チームが出揃った。女性をターゲットにしたサービスや、駐輪場問題を解決するサービス、ユーザーから投稿を募って“図鑑”を作り上げていくサービスなどが選出されている。
KDDIが2011年夏から進める「KDDI∞Labo」は、スタートアップを対象にしたインキュベーションプログラム。今回は、学生枠を含めて5チームが参加。25日、参加チームを紹介する記者説明会に登壇した“KDDI∞Labo長”の江幡智弘氏(KDDI新規ビジネス推進本部 戦略推進部長)は、第5期参加チームの選出にあたって「日々の生活シーンのなかで、解決されていない課題がある。今回は、そうした課題にきちんとフォーカスして、結果としてユーザーの生活を豊かにする、納得感のある形にできているかどうかをチェックしてきた」と説明した。
では、第5期に参加するチームと、提供されるサービスを見てみよう。
働く女性に向けた「スマオク」
「スマオク」(ザワット株式会社)は、“ブランドものの古着”に特化した女性向けのオークションアプリだ。既存のインターネットオークションは、値下げ交渉が激しかったり、開始時の事前登録の手続きが複雑、として、「スマオク」ではスマートフォン1つで手軽に手持ちの服を出品できるようにする。また服飾ブランドの古着と、ジャンルを限定して、一定の価値を保ったままユーザー同士で取引できるようにする。
ザワットによれば、メインターゲット層となる20代後半~30代の女性は、働き盛りのため常に新しい服を求める傾向が強い一方、クローゼットが常に服で一杯となり、収納スペースに悩んでいると解説。“ブランド古着”のスマオクを利用することで、そうした悩みを解決できるとした。また出品した服に対して、満足できる価格の落札者が登場すれば、入札期間の終了を待たずとも、オークションを終了できるなど、使い勝手にも配慮している。プレゼンテーションでは、開発者の1人が、一緒に住んでいた恋人と、クローゼットを占有する女性の服を巡って喧嘩が絶えず、ついには別れるに至ったという、本サービスに繋がるせつないエピソードも披露された。
人力で精度向上、家計簿サービス「Dr.Wallet」
学生枠で参加するBearTail社のサービス「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」は、レシートを撮影して家計簿を作成できるサービスだ。類似サービスは既にいくつかあるが、「Dr.Wallet」は、レシートの撮影後、その内容をスタッフが入力しているという仕組みによって、正確にデータ化する。
ユーザーにとっては、正確なデータや支出のグラフを継続して利用できる一方、BearTailでは、マーケティングに活用可能な購買データが商品名まで正確に得られることをアピールする。今回のプログラムでは、レシートに対してクーポンを配信するメディアの開発を進める。
空いているスペースを駐輪場に「PEDALRest」
「PEDALRest」(ペダレスト、チームPEDALRestが提供)は、街中の空いているスペース(遊休地)を見つけて、小規模な駐輪場にしつつ、自転車で通勤するユーザーに有料でその場所を提供するサービス。都心部ではなかなか見出せない駐輪場を増やし、“人と自転車が気持ちよく共存できる社会”を目指すという。
駐輪場候補となる遊休地は、たとえば、時間貸し駐車場の一角にある飲料自販機のそば、といった場所が想定されている。通常は、なかなか利用しにくい場所ながら、自転車であれば数台、置けるということで、土地の所有者からすると新たな収益源となる一方、通勤で自転車を利用したいユーザーにとって、駐輪スペースを確保しやすくなる。7月1日からは、東京都の条例として、自転車通勤する従業員がいる企業は駐輪場を確保するよう義務付けられるようになった。こうした背景も「PEDALRest」の普及を後押しするという。当初は月額課金サービスとして提供される予定。
ライブで授業を無料配信「アオイゼミ」の新サービス
中学生をターゲットにした授業を、ニコニコ生放送やUstreamなど無料で配信する「アオイゼミ」(株式会社葵)は、KDDI∞Laboでの活動を通じて、学習コンテンツと連動したSNSの開発を目指す。
ライブで授業を提供する「アオイゼミ」を楽しむ学生は、授業内容にコメントを投稿しながら、学びを楽しんでいる。他の人のリアクションを見ながら楽しめるようになっており、受け身で利用する一般的なEラーニングサービスと異なり、コミュニティが成立していることが大きな特徴だという。授業の動画は、有料サービスとしてオンデマンドで視聴できるが、ライブでの中継がない場合、学生はTwitterなど他のWebサービスを使ってコミュニケーションしている。そこで、アオイゼミでは、学習をテーマにしたSNSの開発を目指す方針だ。
ユーザーの写真を図鑑に「ズカンドットコム」
「ズカンドットコム」(株式会社ズカンドットコム)は、ユーザーから投稿された写真を、ユーザー同士で分類していき、図鑑を作り上げていくサービス。たとえば魚に関する写真をアップロードすると、その魚がどの種類なのか、ユーザー同士が分類して図鑑のデータとして整っていく。
Wikipediaのようなイメージだが、投稿された写真を素材として提供するサービスも用意される。1枚50ドル~100ドル程度と想定されているが、一般的な写真素材提供サービスと比べ、「魚」のイメージ写真だけではなく、図鑑として分類されたことを活かして、魚の種類ごとの写真が利用できる。また撮影者、撮影時期などの情報もあわせて提供される。