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ドコモとFlipboardが協業を記念したトークイベント

モバイル“まとめ”メディアの特徴とは

 NTTドコモとFlipboard(フリップボード)は、協業を記念したトークイベントを東京・六本木のNTTドコモ・ベンチャーズのオフィスで開催した。会場にはドコモやシャープの担当者のほか、来日したFlipboardの担当者なども登壇し、アプリやキュレーションメディアの特徴などが語られた。

「AQUOS PAD SH-08E」にプリインストールされた「Flipboard」

 ドコモは、2010年のEvernoteとの協業をはじめ、最近ではLINEと協業するなど、スマートフォン時代に入ってからは、ユニークなサービスを手がける企業と協業する例が増えている。「Flipboard」はその最新の事例で、雑誌のようなレイアウトや操作感でニュースやコンテンツを見られるアプリ「Flipboard」が、8月2日に発売された「AQUOS PAD SH-08E」にプリインストールされている。

 「Flipboard」はAndroidやiOS向けに提供されているニュースリーダーアプリ。新聞社や出版社がニュースコンテンツを提供しているほか、Twitter・Facebookクライアントとしての機能も備えている。最近では、ユーザー自身が既存のニュースやコンテンツ、投稿した写真などをピックアップし、名前を付けて“雑誌”として公開できる機能を提供しており、即時性の高いキュレーションメディアのプラットフォームとしても注目されている。

「Flipboard」。タブレットではページをめくるエフェクトが雑誌のように左右になる
NTTドコモ マーケティング部 P&Sマーケティング担当部長の山口文久氏

 協業記念イベントでは、NTTドコモマーケティング部 P&Sマーケティング担当部長の山口文久氏が最初に登壇。山口氏はEvernoteから始まるスマートフォン時代の協業の経緯や実績を振り返り、「こうした活動は、サプライズを感じてもらうため」と、協業の意義を語った。山口氏はこれまでも毎日の通勤の電車の中で「Flipboard」を活用してきたとのことで、プリインストールされる「Flipboard」にはドコモのオリジナルコンテンツ「スマートライフハック」が予め登録されていることも紹介した。

 次に、ステージにはシャープ 情報通信営業本部の木嶋慧氏が登壇し、「Flipboard」がプリインストールされる「AQUOS PAD SH-08E」の紹介が行われた。木嶋氏からは、IGZO液晶の特徴や実使用時間が81.3時間というバッテリーなど端末スペックを解説。ほかにも、Flipboardを使う際に便利な場面などが具体的に紹介され、片手で持てるサイズにしたことで操作がしやすい点や、電車の中で気兼ねなく「Flipboard」が楽しめるとして覗き見防止機能などを紹介した。

ドコモがスマートフォン分野で協業してきたサービスなど
シャープ 情報通信営業本部の木嶋慧氏からは「AQUOS PAD SH-08E」の特徴が解説された

ユーザーがコンテンツを収集・公開する“雑誌”機能に注目

Flipboard Vise President of Business DevelopmentのEric Alexander氏

 Flipboard本社から来日したVise President of Business DevelopmentのEric Alexander(エリック・アレクサンダー)氏は、プリインストールされるタブレットの「AQUOS PAD SH-08E」に向けて、シャープやドコモと協力したことに触れて、「すごく一生懸命に仕事をしてもらった」としたほか、「AQUOS PAD」については「iPadのRetinaディスプレイより全然綺麗に見える」と賞賛した。

 Alexander氏は、Flipboard自身について、世界でユーザーが7500万人になり、またユーザーが作れる“雑誌”は、機能の提供から3カ月で250万件に上っていることを紹介。“雑誌”機能は、既存の記事をピックアップしたまとめページの体裁のほかにも、ユーザーが自ら写真を投稿して、まとめることも可能。公開される“雑誌”はフォロー(購読)する・されることも可能で、有名な“雑誌”になると11万人ものフォロワーがいるという。海外では有名新聞紙や(リアルの)雑誌の編集者が作った“雑誌”などのほか、政治家や著名人も“雑誌”を公開し人気を博している。“雑誌”は、複数人で担当して作成することもできる。

 Alexander氏はまた、「これはすごく大きなニュースだが」と前置きした上で、これらの“雑誌”コンテンツが、モバイル向けアプリだけでなく、パソコンのWebブラウザからも見られるようになることを明らかにした。

 Alexander氏はニュースコンテンツを提供する体制についても言及し、人間が選んだものと、アルゴリズムで選ばれたものが半分ずつになっているとし、Flipboardのエディトリアルチームによる体制も強固なものになっているとした。

Huffington Post 日本語版 編集長の松浦茂樹氏

 アプリ「Flipboard」には新聞社や出版社がニュースコンテンツを提供しているが、ここでステージには、「Flipboard」にコンテンツを提供することが決まったばかりのソーシャルニュースサービス「Huffington Post 日本語版」から、編集長の松浦茂樹氏が登壇した。松浦氏は、綺麗な写真を掲載することを心がけているといった媒体の特徴のほか、「多くのユーザーとの接点の場にコンテンツを出していかなければいけない」と、キュレーションメディアの時代のコンテンツのあり方を示す。また、GIFアニメなど短い動画が拡大している様子にも触れ、YouTubeなどとは住み分ける形で拡大していくと予想した。

 松浦氏が「一番大事なのは人の手や、おもてなしの心。人の心とテクノロジーのバランスがとれるのがキュレーションの醍醐味」と語ると、同じくステージに登壇したFlipboard Japanの八尋正宣氏は、「コンテンツはアトマイズ(細分化≒埋没)されており、キュレーションは重要になる」と指摘。同氏はまた、Flipboardが非常に技術力の高い会社であることを紹介する一方、デザインを重要視していることも示し、「人間臭い部分がより一層、価値が高まっていく。これはコンテンツを作る心にも通じる。ユーザーにはぜひ人間臭い、どろどろした“雑誌”を作ってもらいたい」とアピールした。

Flipboard Japanの担当者が紹介したおすすめの“雑誌”の一例
Flipboard Japanの八尋正宣氏

太田 亮三