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エレガントスリムな実力者、NECカシオが「MEDIAS X」の説明会
(2013/6/3 18:20)
NECカシオは、3日、NTTドコモ向けに投入する夏モデル「MEDIAS X N-06E」の説明会を開催した。
NECカシオの商品企画部 チーフプロデューサーの冨依豊氏は、「スマートフォンが本格的に普及して3年、普及が非常に早く、多くの方に便利に使われるようになった。その一方で、大きくて重い、角張っている、片手で使えないなど、我慢しているところが少なくない。もっと日常生活の中で気軽に使いこなしたい、という人がまたまだたくさんいるのではないか」と話した。
冨依氏はブランディングワード「SMARTPHONE IS MEDIAS」を紹介し、「こういうものが欲しかった、というものをユーザーに届けたい」と述べた。NECカシオでは、さらに人によりそったものを提供していく考えという。
しかし、そうしたNECカシオの意気込みとは裏腹に、NTTドコモは夏モデルの発表会で、2社2モデルを優遇する「ツートップ」戦略をとった。冨依氏は、「残念ながら(MEDIASは)ツートップではない。戦略をとやかく言う立場にないが、我々は多様化するニーズに魅力的な商品を投入していきたい。サイドバックもなかなかやるなぁ、と感じて欲しい」と話した。
このほか、MEDIASシリーズについては、「スマートフォン事業は海外メーカーよりも出足が遅れた。動きが鈍い、電池がもたないといった厳しい評価があったのも事実。過去を踏まえ、魅力ある商品を送り出したい」と語った。
ガラパゴスではない日本メーカーならではの商品
「MEDIAS X N-06E」の魅力は、商品企画部のエキスパート 神尾宗久氏より語られた。
神尾氏は、スマートフォンにはしたものの使いこなせていないユーザーや、使い方が難しいと感じているユーザー、うまく使いこなせずAndroid端末に悪いイメージを持っているユーザーがいるとして、「MEDIAS X N-06E」が多くのユーザーにスマートフォンを楽しんでもらえるための1台であるとした。
携帯電話会社こそ違うが「N」と「CA」と言えば、フィーチャーフォンの時代から特徴的な端末を世に送り出してきた端末メーカーだ。神尾氏は「フィーチャーフォンのノウハウを活かし、ガラパゴスではない日本メーカーならではの商品を目指したい」と話した。
デザイン
「MEDIAS X N-06E」は、一見するとシンプルでオーソドックスな印象のAndroidスマートフォンに見えるかもしれないが、飽きのこないすっきりとしたデザインに、技術と細やかな配慮が感じられるモデルとなっている。ユーザーが2年以上使うことを想定したという。
スリムなデザインは、ただ薄いというわけではない。ボディ背面をラウンド処理させ、手に馴染みやすくしただけでなく、端末下部と端末上部では厚みがそもそも異なるのだ。一般にスマートフォンは中央から下側を持つことが多いだろう。「MEDIAS X N-06E」では、下側をより薄く処理して持ちやすさを向上させており、試しに上下を逆にして持つと、厚みが違うことがすぐにわかる。
また、背面部がラウンドしているだけでなく、側面部が前面にかけて丸みを帯びており、手にしたときに指がかりのあるデザインを採用している。
さらに、前面最下部もさらに薄くしながら丸みをもたせるというこだわりようだ。手の小さい人は、片手で親指操作した場合、スマートフォンの隅が角張っていると親指付け根の腹がぶつかり、赤くなってしまうことがあるという。神尾氏は「ほとんどの面がラウンドしており、ディスプレイは平らだが、それ以外はそうではない。実際よりも小さく感じるはず」と話す。
このほか、ネット利用時には使える、ズームウィンドウや高速スクロールバーも使いやすさへの配慮だろう。ズームウィンドウはいわゆる拡大鏡のような機能で、パソコン向けサイトなどでリンクが密集している場合に、目当ての場所にタッチしやすい機能となっている。スクロールバーは下部に上下ではなく、左右に操作することでスクロールする。どちらの手に持って利用しやすいよう、こうした形になった。
イルミネーション
「N」といえば、フィーチャーフォンの時代からイルミも積極的に取り入れている。「MEDIAS X N-06E」では、あの頃の「N」のように積極的にイルミを採用しており、柔らかな光の演出が楽しめる。
イルミというと、女性向けの味付けと思われがちだが、今回はイルミを利便性にも結びつけている。「MEDIAS X N-06E」では、端末上部の3.5φのイヤホンジャックの内部にLEDが仕込まれている。
防水キャップレス加工のジャックが光ることで、例えば胸ポケットやカバンに端末をしまっていた場合でも、着信に気がつきやすいという。市販されているクリアタイプのスマホピアスを利用しても、ピアスが発光しているように見える。神尾氏は「ムーバ時代の光るアンテナのようで懐かしい」と語っていた。
技術面
ユーザーが2年以上使うことを想定して設計された「MEDIAS X N-06E」は、とっつきやすい外観だが、1.7GHzのクアッドコアCPUを搭載している。
しかもそこに、業界初のヒートパイプを採用している点に注目したい。スマートフォンは、CPUの高速化と防水機能によって、端末内部の一点に熱がこもりやすい構造にある。端末メーカー各社は、内蔵する部品のレイアウトを工夫することで、CPUの熱を逃がしている。スマートフォンのCPUは通常、熱が伝導しやすいグラファイトシートという素材を用いて逃がすが、「MEDIAS X N-06E」ではパソコンや車などで採用されているヒートパイプを採用する。
端末に配置されたヒートパイプは、銅管の中に液体が入ったもので、CPUが発熱すると、銅管の中の液体が水蒸気となり、管を通って、CPUから離れている冷たい方に拡がる。再びそこで液体に戻って熱が拡散され、CPUに近い方に流れていくことを繰り返す。
ヒートパイプの熱伝導率は、グラファイトシートの13倍とのことで、より効率的に放熱できるという。神尾氏は「ヒートパイプは局所的な熱を運ぶ高速道路」と表現していた。これにより、1.7GHzのクアッドコアCPUの力を存分に発揮できるという。
また近接センサーと加速度センサーを利用した、着信関連の工夫もユニークだ。2つのセンサーがスマートフォンがカバンの中にあることを認識し、カバンの中では設定した音量よりも大きな音で着信を通知し、カバンから取り出したことを検知すると、あらかじめ設定した音量になる。
このほか、3つのマイクを利用したノイズキャンセル機能なども用意されている。
LIFE UX
NECカシオのクリエイティブスタジオ、クリエイティブマネージャーの迎義孝氏は、「MEDIAS X N-06E」に搭載された新たなユーザーインターフェイス「LIFE UX」について紹介した。
LIFE UXは、日本の美意識をテーマにあじさいをモチーフとした配色を採用し、穏やかで優しい表現を持ち込んでいる。ユニバーサルデザインにも配慮し、色覚C型、P型、D型に対応するという。ロック画面は、ホーム画面と異なる画像が設定可能で、画面の長押しでショートカット機能が呼び出せる。
アプリ一覧画面も穏やかな配色でまとめられており、フリック操作でカテゴリー毎に分けられたアプリが確認できるほか、フォルダを設定してアプリをまとめるといった使い方もできる。
ダウンロードしたアプリは、全て「ダウンロード」というフォルダにまとめて格納される。ダウンロードしたものがどこにいったのかわからない、といった利用者の声を反映させたという。このほか、特定の相手に電話をかけるためのショートカットを簡単に作る機能なども用意されている。
特徴的なのはLife Wayというメニューで、利用者のコミュニケーションを中心とした過去のやりとりが振り返れるほか、Googleカレンダーや「リマインダー」というアプリと連携して、未来の予定やToDoも時間軸上に配置できる。
不在着信があると、Life Way上から電話を折り返せるほか、電話をかける予定をToDoに設定できる。設定と同時に、電話した相手に後から電話する旨をSMSで連絡することも可能だ。
なお、「LIFE UX」は、残念ながら初期状態では設定されておらず、初期状態はドコモのシンプルUIとなっている。配色やデザイン的に落ち着いており、なかなかこだわりを感じるインターフェイスとなっているので、店頭で確認してみることをおすすめしたい。
神尾氏は最後に、「NECのDNAであるエレガントスリムに、ここまでのテクノロジーを搭載した。是非体験して欲しい」と話した。