日本マイクロソフト樋口社長、Windows Phone投入を明言


日本マイクロソフトの樋口氏

 日本マイクロソフトは、7月から新年度となったことにあわせ、報道関係者向けに経営方針説明会を開催した。同社代表執行役社長の樋口泰行氏から、各分野への取り組みが語られたほか、Windows Phoneについて、日本市場への投入が明言された。

 

Windows Phone、詳細は未定

 今回の説明会は、6月末で会計年度が切り替わる同社において、7月から2012年度がスタートしたことを受けて実施されたもの。2011年度の取り組みを振り返るとともに、2012年度に注力するポイントが紹介された。

 2012年度に注力する分野として「デバイス/コンシューマー」「クラウド」「ソリューション」の3つを掲げた樋口氏は、Windows Phoneについて、「いつとは申し上げられないが、投入いたします」と述べ、日本市場でのWindows Phone投入を明言した。

 過去にWindows Mobileシリーズが提供されていたものの、全てが一新され、Windows Phone 7となったマイクロソフトのスマートフォンプラットフォームが日本で登場するかどうか、5月に新バージョン「Mango」が発表された際も正式に案内されることはなかった。しかし、6月には開発者向けイベントが開催されるなど、近い将来、日本市場への登場が示唆されていたところで、今回、樋口社長自身の口から、国内への投入が明言された。

 質疑応答で、スマートフォン市場での出遅れを指摘された樋口氏は「出遅れているのは確かで、この業界では、ちょっとした出遅れが与えるインパクトは大きいと感じている。しかし、特に日本では、パソコンメーカーと携帯電話メーカーはオーバーラップしている。そういったパートナーを基本として、スレート(タブレット)にしてもいろんな形状がバラエティ良く出てくる。フォン(携帯電話)については、コンシューマー向け、ビジネス向けと、1人2台持つわけはない、1台持つことになるだろうと思うので、オフィス製品などで培った流れをテコにしていきたい」と述べた。また、マーケティング施策についても準備は進めているものの、まだ明らかにできないとした。

 さらに「Mangoは最終段階にあり、通信事業者や製造メーカー、コンテンツプロバイダーとも連携して、対応アプリやサービスの開発も進めている」と説明し、ゲームや出版、エンターテイメントのほか、飲食店やナビ、ショッピング、旅行などの検索についても対応アプリ、あるいはSNSとの連携も進めているという。

 7月1日付けで同社内に設立された新部門「コンシューマー&パートナーグループ」で、モバイル分野も担当する同グループコミュニケーションズパートナー統括本部長兼コミュニケーションズインダストリー統括本部長の横井伸好氏は「Mangoは非常に良い製品に仕上がりつつある。ユーザーインターフェイスも特徴的で各種サービスも揃って魅力的になる。出遅れたのは事実だが、スマートフォン市場はまだパイがあるし、潜在需要もある」と述べた。また、アプリ開発者向け施策を担当する執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏からも、Windows Phone向けアプリの開発者を支援する方針があらためて語られた。

 

「日本に貢献」

 このほか説明会では、昨年度について「着実に進化を遂げた一年」と評価し、クラウド事業の進展、パートナーシップの強化、本社移転などが紹介された。

 また、説明会の冒頭、現在の日本の状況について触れた樋口氏は、少子高齢化が進み、国際的な競争力が相対的に落ち込みつつある中で、東日本大震災、原発事故が続き、政治についても“笑ってしまうほどの状況”と評し、こうした状況だからこそ「ビジネスに携わる者だけでも頑張らなければどうにもならない、という文脈になってているように思う」「プラットフォームを提供する者として、お客様がグローバルに展開するための足場になるべく貢献したい」と決意を述べていた。

 




(関口 聖)

2011/7/6 14:33