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グーグル、新AI「Gemini 4 Argon」発表、出力100万トークンへ拡大
2026年10月1日 09:22
グーグル(Google)は1日、最新のAIモデル「Gemini 4 Argon」を発表した。
ソフトウェアエンジニアリング、法務や財務などの専門的なナレッジワーク、サイバーセキュリティの防御など、複雑で長期的なワークフローにおいて最先端の性能を発揮するという。
出力トークンを100万に拡大、専門分野の評価で最高水準
Gemini 4 Argonでは、複雑で長期的なタスクをサポートするため、一度に出力できるトークン(AIが文章やデータを処理する際の最小単位)の上限が、従来の6万4000から100万トークンへと大幅に拡大された。これによりモデルが深く推論し、一度の処理で数十万トークンを生成できるようになった。
各専門分野の性能評価(ベンチマーク)でも最高水準を記録している。実際の長期的なソフトウェア開発能力を測る「DeepSWE v1.1」で77.9%の最高スコアを獲得したほか、米国のGDP(国内総生産)貢献度に基づいて財務、コーディング、法務などの経済的影響を総合評価する「Vals Index」でもトップに立った。
個別分野では、多段階の財務調査を評価する「Vals Finance Agent v2」や、法律の調査・文書作成を測る「Harvey's Legal Agent Benchmark」で高い性能を示した。さらに、Zapierが提供する業務自動化ツールの実行力を測る「AutomationBench」で51.3%を獲得して1位となった。
視覚的な理解力も強化されており、専門的なグラフの分析や長時間の動画からの情報抽出に対応する。長尺動画の理解力を測る「LVBench」では91.7%のスコアを記録した。
社内での実稼働、量子計算やOS基幹コードの移行で成果
同モデルはすでにグーグル社内のワークフローに組み込まれており、数千人の社員が利用している。
量子コンピューティングの研究では、アプリケーションの処理のボトルネックとなるサブルーチンの「時空間リソース(量子ビット×ゲート)」を最適化し、数分で基準値を40%上回る成果を出した。
また、AIエージェントがデータセンター全域の動作データ(テレメトリー)を分析し、自律的にメモリーを最適化することで、すでに300TiB(テビバイト、約330TB相当)以上のメモリー領域を解放。最終的には500TiBから1PiB(ペビバイト、約1100TB相当)の節約が見込まれている。
大規模なコード移行作業にも投入されている。コアライブラリ(re2やlibgav1)の数万行規模から、独自OS「Fuchsia」の中核プログラムである「Zirconカーネル」の80万行以上のコードに至るまで、C/C++言語から、メモリの安全性に優れたプログラミング言語「Rust(ラスト)」への移植を実施している。
オープンソースの動画デコーダー「libgav1」の事例では、3万2000行に及ぶSIMDコード(1つの命令で複数のデータを同時に処理するための高速化用コード)をAIが解析した。プロファイルに基づく実験を繰り返し、コンパイラが自動的に高速化(ベクトル化)を行える安全なRustコードへ置き換えた結果、既存のRust移植版より2.7倍高速に動作し、最適化されたC++に近い処理速度を確保した。
防御能力を高めたサイバーセキュリティ
サイバーセキュリティの防御にも特化して訓練されており、ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性を自律的に発見、検証し、パッチを適用する機能を備える。
信頼できるサイバー防衛担当者や社内チーム向けには、防御能力をフルに発揮できるよう、あえてセキュリティ上の制限(サイバーガードレール)を外した状態で提供される。
クラウドセキュリティ企業のWizは、公共インフラを無償で保護する「Scan for Good」の取り組みを通じて同モデルを運用しており、世界の病院で使われる医療ソフトウェアから、過去のAIモデルが見落としていた機密情報の漏えいにつながる重大な脆弱性を発見した。
脆弱性の修正能力を測る「CWE-bench v1」では、前モデル「Gemini 3.8 Flash Cyber」の性能をさらに引き上げ、68%で首位タイを記録している。
さらに、グーグル社内の総合脆弱性ベンチマークにおいて、20種類のプログラミング言語にまたがる複雑なコードベースから幅広い脆弱性を発見した。Wizの社内ブラックボックスペネトレーションテスト(ソースコードがない状態で稼働中のウェブシステムを分析するテスト)においても、前モデルを上回る攻撃対象領域の発見能力や検証能力を示している。
悪用防止など一般提供に向けた安全対策(ガードレール)
広範囲への提供に向けては、主に4つの面で重要な安全対策(フロンティアセーフガード)が強化されている。
1つ目は化学・生物・放射性物質・核(CBRN)兵器やサイバー攻撃への悪用を防ぐもの。正当な科学研究を保護しつつ有害な要求を拒否するよう設計されている。悪用を検知するため、モデル内部の動作パターン(インターナルアクティベーション)を監視する技術も向上させた。
2つ目は、悪意のある指示を紛れ込ませてAIの動作を乗っ取る「間接的プロンプトインジェクション攻撃」への対策で、Gray Swanの関連ベンチマークでトップの堅牢(けんろう)性を示した。
3つ目は、人間の意図から外れた動作(アライメントの不一致)を防ぐ仕組み。AIの思考プロセスと行動を監視し、逸脱が見られた場合は自動で処理を停止させる。監視記録をAIのトレーニングにフィードバックしないことで、AIが「監視を回避する手法」を学習してしまうリスクを排除している。
4つ目は検証環境のセキュリティ強化で、高リスクな学習やテストを行う前に、外部に影響を与えないよう隔離された検証環境(サンドボックス)を密閉・保護する措置が取られている。
米政府の手続きと今後の提供予定
現在は「Fairwind Program」を通じて、一部の信頼できるサイバー防衛担当者に順次提供されている。また、米政府が主導する事前公開モデルへのアクセスに関する自主的なプロセスにも参画している。
初期テスターからのフィードバックをもとに安全策の検証を進めたうえで、できる限り早く、有料APIユーザーや「Google AI Ultra」サブスクリプション会員をはじめとする開発者、企業、一般ユーザー向けに提供される予定。
導入時のAPI価格は、入力が100万トークンあたり2ドル、出力が100万トークンあたり10ドル。キャッシュ済みの入力トークンは95%割引で提供される。


