石野純也の「スマホとお金」

値上げしたドコモ「ahamo」は本当に損? UQ・ワイモバ・楽天との料金比較で見えた「意外な安さ」

 NTTドコモが、10月1日から料金プランを改定します。新規受付を終了した“旧料金プラン”は110円から550円の値上げ。現行プランでは、「ahamo」も値上げ対象に含まれています。逆に、「ドコモMAX」や「ドコモmini」は料金据え置き。ドコモminiに関しては、割引内容を見直した「ドコモmini2」も導入します。

 中でも影響が大きいのは、新規獲得の主力になっているahamoでしょう。オンライン専用料金プランとして21年に導入されたahamoですが、そのシンプルさや料金の安さも相まって、現在、「新規加入の半数以上が加入する」(代表取締役副社長 齋藤武氏)料金プランになっています。それだけに、値上げ幅も慎重に検討されている節がうかがえます。

ドコモは、料金プランを12月1日に改定する。ahamoは料金を値上げし、段階制を導入。ドコモmini2も新たに追加する

値上げ幅は165円、他社の35GBプランを意識か

 ahamoの改定ポイントは大きく2つ。1つが値上げ、もう1つは段階制の導入です。前者に関してはシンプルで、データ容量を10GB追加しつつ、165円の値上げになっています。現在、ahamoはお試しキャンペーンで30GBの容量を40GBに上げていますが、それをそのままスライドさせ、料金そのものを165円高くしている格好です。

ahamoは値上げと段階制の導入という2段構えの改定を行う。価格は、165円の値上げだ

 元々のahamoは税込みで3000円を下回るよう、2970円に設定されていました。10月1日からは、ここに165円が追加され、40GBで3135円になります。330円から550円程度の値上げを想定していた人には、やや拍子抜けの価格設定と言えるかもしれません。実際、競合他社と比較しても、依然として料金の安さはキープしています。

 ahamo対抗として導入されたUQ mobileの「コミコミプラン」は、現在、Pontaパスをセットした「コミコミプランバリュー」になっており、料金は3828円。1年間もしくはゴールドカードをセットにした割引は受けられますが、素の価格では値上げ後のahamoを大きく上回っています。

ahamo対抗として誕生したUQ mobileのコミコミプランだが、コミコミプランバリューではPontaパスがセットになり、料金が上がった。13カ月目もしくはゴールドカードで永年の割引が受けられるが、データ容量はahamoより少ない

 ワイモバイルの「シンプル3」も、Lプランはahamo対抗で音声通話定額がセットになった35GBとして展開されています。こちらの価格は、各種割引適用後で3058円。ahamoより容量は少なめですが、そのぶん、80円弱料金は安くなります。ただし、シンプル3は割引に重きが置かれているため、割引なしの場合の料金は5478円に跳ね上がります。シンプルかつ安くてデータ容量も大きいという点では価格改定後でもahamoに軍配が上がります。

ワイモバイルのシンプル3 Lも価格帯やデータ容量、音声通話定額がセットになっている点はahamoに近い。ただし、料金は割引適用後で3058円。その金額まで下げるには、ゴールドカードや光回線が必要になりハードルが高い

20GB超40GB以下なら楽天モバイルより安い、段階制導入で大盛りオプション不要に

 さすがに、3278円で使い放題になる楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」にはかなわないものの、金額自体は3135円でahamoの方が安くなっています。ただし、楽天モバイルのRakuten最強プランは、20GBを超えた時点で、以降の料金が3278円に固定されます。これをahamoと比べると、20GBから40GBの範囲では、ahamoの方が安い逆転現象も起こります。

 使い放題までは不要ながら、20GBでは足りないというユーザーや、楽天モバイルのエリアに不安があるというユーザーにとっては、依然としてahamoが魅力的と言えそうです。逆に、40GBでは足りないという場合には、ahamoの方が割高になります。エリアの違いと価格差のバランスで、どちらを選択するかが決まることになりそうです。

楽天モバイルは、20GBを超えると以降は無制限になるが、料金は3278円に上がり、ahamoより高くなる。20GB超40GB以下ならahamoの方が安上がりになるというわけだ

 一方で、ahamoも40GBを超過した際の料金が、以前よりも安くなります。これは、料金改定の2つ目として挙げた段階制の導入によるものです。現行のahamoは、データ容量を増やす場合の主な手段が、1GBあたり550円でのデータチャージか、容量を80GB増やす「大盛りオプション」の2つでした(dカードを契約するといった手段もありますが、本題ではないのでここでは割愛します)。

 50GBが必要な場合、データチャージ10回に5500円払うか、大盛りオプションに1980円払うかの2択になります。大盛りオプションは、即時適用が可能。3GBまでの追加であればデータチャージ、それ以上なら大盛りオプションという形で、データ容量を増やすことができます。ただ、大盛りオプションは80GB増える代わりに、料金も1980円上がってしまうため、元々が2970円のahamoが一気に高くなります。

現状のahamoは大盛りオプションで80GB増やせるが、料金が一気に1980円上がってしまう。段階制にすることで、その間を埋められる形になる

 12月1日からの新ahamoでは、段階制が導入されることで、この容量追加がなだらかになります。40GBを超えた際の料金は60GBまで4125円。値上げ後の40GBまでより、990円高くなります。現行のデータチャージ2回分よりわずかに安く、大盛りオプションより増える容量は少なめですが、バランスよくデータ容量を追加できる形になります。

大盛りユーザーは値下げになるケースも、60GB超はドコモMAXも要検討

 また、60GBを超えると料金はさらに990円上がり、120GBまで5115円になります。この120GBという容量は、お試しキャンペーン中のahamo大盛りと同じ。現状でahamo大盛りを使っている人にとっては40GBまでと同様、165円の値上げになりますが、そのまま同じデータ容量を使うことができます。段階制は、オプション適用を自動化したようなもの。大盛りオプションを都度付け外ししていた人は、その手間から解放されます。

 これまで40GBを超えた際の選択肢がなく、しぶしぶ大盛りオプションをつけていた人は、12月1日からの料金改定で“値下げ”になるケースもあります。40GB超、60GB以下という新たな段階ができたからです。現行のahamo大盛りは4950円ですが、新ahamoで40GB超60GB以下だった時の料金は4125円。金額にして、825円の値下げになります。

データ使用量によっては、800円以上の値下げになるケースも

 一見すると単純な値上げに見えるahamoの料金改定ですが、段階制の導入によって、事実上の値下げになるパターンもあるというわけです。値上げ幅が小さかったことはもちろん、利便性が上がり、値下げになるケースもあることで、むしろ、ahamoの競争力は以前よりも上がっているような印象もあります。その意味では、かなり考え抜かれた料金改定だったと言えるかもしれません。

 もっとも、ahamoで60GBを超えるような使い方をしている人は、ahamoにとどまらず、データ容量無制限の「ドコモMAX」を検討してみる価値もありそうです。値上げ後の金額が5115円になった結果、ドコモMAXの各種割引適用後の料金との差がさらに縮まり、わずか33円差になっているからです。しかもドコモMAXであれば、DAZNやLeminoといったコンテンツサービスも無料になります。

ドコモMAXは、コンテンツの拡充などを行う一方、料金は最低5148円に据え置かれている(3GBを超過した場合)

 ただし、ドコモMAXをこの金額まで抑えるには、「みんなドコモ割」で3回線以上、長期利用割で20年以上、かつdカード GOLDやdカード GOLD Uが必要になり、ドコモ光かhome 5Gも必要になります。さらに、110円と割引額は少なめですが、ドコモでんきセット割の適用も受けなければなりません。こうしたハードルを乗り越えれば、ahamo並みの金額でデータ通信が無制限になり、かつコンテンツもついてくるというわけです。

割引が多く、すべて適用させるのはかなりハードルが高い

 逆に言えば、この“ドコモ固め”をする必要なく、最大120GBまで利用できるシンプルさもahamoの魅力。120GBと上限はついていますが、スマホで動画をバンバン見ても、なかなかここまでのデータ使用量にはなりません。テザリングなどを使うと話は別ですが、多くの人にとっては準無制限の料金。この容量を5115円で提供している大手キャリアはほかにありません。値上げでも、この競争力は失われていないと言えそうです。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya