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KDDI、固定インターネット「auひかりプラス」 5G対応で災害時も“切れない”ネット環境を提供
2026年9月4日 18:27
KDDIは、光回線と5Gモバイル回線を融合したインターネットサービス「auひかりプラス」を発表した。9月17日より提供を開始する。専用のハイブリッドホームルーターを使い、光回線の工事を待つことなく届いたその日からネットや電話を利用できる仕組みを導入した。開通後はユーザーの手間なしに最大10Gbpsの光回線へと自動で切り替わるサービス。
速度競争からの脱却とユーザーの潜在ニーズ
固定ブロードバンド市場は緩やかに成長を続ける一方、トラフィックは激増している。各社が10Gbpsサービスを競うなど速度向上は進んだものの、サービスそのものの同質化が進み、結果としてユーザーの選択基準が料金や特典に集中しがちな状況をKDDIは懸念していた。
そこでKDDIは、単なるスペック競争ではなく通信の価値そのものを見直す新サービスの企画を数年前から進めてきた。
市場調査では、ユーザーが光ファイバー開通までの待ち時間の長さに不満を抱えていることや、ネットワークへのセキュリティ不安、IoT機器の普及やリモートワーク定着に伴う「常に繋がっていてほしい」という常時接続の強いニーズが明らかになった。これらの課題を解決するため、ネットワークと宅内デバイスのサービスの提供を決めた。
届いたその日から使える「設定不要のシームレス移行」
KDDI パーソナル事業統括本部 事業戦略本部 事業推進部長の相原円氏は、サービス開発の原点を「10Gbpsの高速通信を届けることと、固定サービスへの新しい価値の提供を両立すること」と語る。
従来の光回線は、申し込みから工事完了までに期間を要する。一時的にモバイルルーターを貸し出す対応はあったが、光回線の開通時にルーターの接続設定をすべてやり直す必要やモバイルルーターの返却など、ユーザーに手間を強いていた。
これに対し、新サービスで提供する「ハイブリッドホームルーター」は、5Gモジュールを内蔵する。届いたその日にコンセントに挿すだけで、すぐに5G回線でインターネットが利用できる。さらに、光回線が開通した後は、ユーザーが設定を変更することなく、自動で光回線での通信へ切り替わる特許取得済みの仕組みを導入した。
相原氏は「箱を開けて置いて電源を入れれば、すぐにネットが繋がる。光回線開通後も設定を変えることなく、そのまま光の通信環境へ移行できるの」とアピールした。
独自のこだわりとして、固定電話の無線化にも取り組んだ。利用が減少傾向にある固定電話だが、「番号を維持したい」というニーズは根強い。今回のルーターは、VoLTEを使い、開通初日からワイヤレスで固定電話サービスを開始できる。
さらに、トビラシステムズと連携した「迷惑電話発着信ブロックサービス」といった機能をオプションパッケージ「Wi-Fiパック」で提供する。ブラックリストデータベースを活用し、特殊詐欺や悪質な勧誘電話をブロックする。
災害に備える冗長化と自動切り替え
「auひかりプラス」は、光回線と5G回線を利用吸うことができる。普段は低遅延でレスポンスに優れる光回線を優先して使用するが、災害などで光回線が切断された場合、5G回線へ切り替えて通信を維持する。
近年多発する自然災害により、宅内へ引き込まれる光ファイバーが切断されるケースが発生しているが、見守りカメラやスマートロック、エアコン操作などのIoTデバイスが繋がらない状況を防ぎ、「家が常にネットと繋がっている状態」を確保する。
現在は光回線の障害時に、LANケーブルを抜くかルーターの設定画面から手動で5Gに切り替える必要があるが、KDDIはさらなる進化を計画する。
相原氏は「ユーザーが操作しなくても、障害を検知して自動で5Gへ切り替える監視・切り替え機能を今年度内に開発し、投入する」と今後の展望を明らかにした。ファームウェアのアップデートで提供する予定だという。
スマートライフをおトクにまとめる料金設計
新サービスは、9月17日から受付を開始する。ネットの基本料金に加え、ルーターレンタル料や、セキュリティや迷惑電話ブロックなどの安心機能をパッケージ化した「Wi-Fiパック(月額770円)」も提供する。
また、携帯電話、でんき、決済をまとめることで、お得になる施策も実施する。auやUQ mobileの利用料金がお得になる「auスマートバリュー 自宅セット割」の対象にauひかりプラスを追加するほか、「au PAY ゴールドカード」で支払うと、通常ポイント1%に加え、利用料金の9%が還元される。
さらに、対象のでんきサービスとセットで利用すると、Wi-Fiパックが最大24カ月330円引き(25カ月目以降は100円引き)になる。
質疑応答
――5Gと光回線をハイブリッドで提供する上で、5Gと光回線を束ねて速度を向上させる機能はあるか。
相原氏
5GとFTTHを掛け合わせて速度向上を図る機能については、今後の検討課題としたいと考えています。ただ、現状の5G SA回線とFTTHを比較すると、遅延の少なさに大きな差があります。FTTHの最大の強みは遅延の少なさであり、自社ネットワークもそこを非常にこだわって構築しています。
両回線を混ぜることで、現時点ではFTTHにトラフィックを集中させた方が体感品質が良いと判断し、光回線を優先する実装にしました。別の用途で活用することはできると思っているので、今後の5Gや世界の進化に伴って検討していきたいと考えています。
――既存の光サービスがすべて「auひかりプラス」に置き換わるのか。
相原氏
今後は新規契約において「auひかりプラス」をメインに推奨していくが、局所的に既存のauひかりが適している場面では並行して案内していきます。
――5Gの住宅地のエリア品質(住宅地での5G対策)についてどう考えているか。
相原氏
住宅地の5G品質については、決して軽視しているわけではありません。宅内でもホームルーターが広く使われている実態があり、保有するSub6の電波などを活用して基地局の改善・増強を進めていきます。また、本サービスは光回線へ積極的にトラフィックを流すハイブリッド設計であるため、光回線側の強みも活かしていきます。
――災害時の自動切り替え機能が、なぜ最初から提供されず年度内の提供予定となったのか。
相原氏
自動切り替えについては、本音を言えばサービス開始日に合わせたかったのが実情です。開発に時間を要した理由として、2つの回線をいかにエラーや不安定な挙動なく、シームレスに切り替えるかを最適化するシミュレーションに時間をかけています。また、障害時にトラフィックが一斉に5Gに流れた際、5Gネットワーク側の品質が維持できるかのコントロール・検証を慎重に行う必要があったためです。
――都心部に多い既存マンションのVDSL配線方式への対策はどうなるか。
相原氏
マンションのVDSL対策については、本サービスにVDSLプランは用意していません。VDSLでの速度向上には限界があります。既存のVDSLをすぐに廃止するわけではなく、従来の「auひかり」のVDSLメニューはそのまま継続します。
――本サービスで提供される「auひかりプラス ワイヤレス」は、すでに提供されている「auホームルーター 5G」や「UQ WiMAX」のホームルーターと何が違うのか。ユーザーはどう選べばいいか。
相原氏
既存の「auホームルーター5G」とはしばらく並行販売を予定しています。機能は似ているが、既存ホームルーターには電話サービスがないため、ネットのみを求めるユーザー向けです。
一方の「auひかりプラス ワイヤレス」は、光回線相当のアセットを使えるワイヤレスサービスと位置づけています。ただし、今後についてはサービス内容に近いところがあるため、検討していかなければならないと思っています。
UQ WiMAXは、店頭で買ってすぐ持ち帰りその日に使える「手軽さ」や、モバイルルーターとしての持ち出し用途があるため、ターゲット層が異なり、それぞれニーズに合わせてお選びいただいています。









