レビュー

スマホ通知が視界に溶け込む。33gの超軽量AIメガネ「RayNeo iO」実機ファーストインプレッション

 RayNeoは、AIスマートグラス「RayNeo iO Smart Glasses」を発表した。価格は8万9000円。カメラを搭載せず、日常使いのメガネとしての掛け心地とAI機能を両立させたデバイスだ。

 今回は、本デバイスを試用する機会を得たので、ファーストインプレッションをお届けする。なお、アプリなどは発売前のベータ版であるため、製品版とは異なる場合もある。

33gの超軽量フレームで、ほぼ普通のメガネ

 RayNeo iOのフレームには、全体的に丸い縁ながら、上部は直線的に仕上げられた「クラウンパント型」を採用。フロントとテンプルに軽量な金属素材(マグネシウム合金やチタン)を使用しており、重さはわずか33g。一般的なメガネと変わらない軽さだ。

 実際に着用してみると、フロントパーツが17gと超軽量なため、前方に重さが偏る不快感がなかった。一般的なメガネと遜色のない見た目であり、長時間のデスクワークや外出時でも一日中快適に装着できそうだと感じた。

 一方、個人差はあると思うが、筆者が試したところ耳の裏が圧迫されてしまう感触があった。本体の耳にかける部分にマイクやステータスランプが備わっており、少し大きくなっている部分がある。これが耳の裏に当たってしまうのだ。

この部分が耳を圧迫する
マイクのほか、録音中などを示すステータスランプを備える

 なお、フィット感を調整できるよう、アームの長い交換用ノーズパッドも同梱されている。これに交換すれば、顔とフロントの距離をある程度広げることができる。

左が本体に付いているノーズパッド、右が同梱されているノーズパッド
長さを調整できる

 また、RayNeo iOにも度付きレンズが用意されており、公式サイトやAmazonから購入できる。約15~20日で制作してもらえるとのこと。

 普段はメガネを着用している筆者だが、今回の試用では度なしの標準状態で試したことを明記しておく。

透明なディスプレイと、目を上げるだけの情報ダッシュボード

 RayNeo iOの大きな特徴は、視界に自然に溶け込むディスプレイ技術。レンズの透過率は非常に高く、一見するとただの透明なメガネにしか見えない。外からのぞき込まれても表示領域はほぼ見えず、普通のメガネとして違和感なく自然に着用できる。

 また、視線を少し上に上げるだけで、自分専用の「情報ダッシュボード」が現れる。スケジュールや通知、天気、株価などの情報がカード形式で表示され、スマートフォンをポケットに入れたままでも必要な情報を的確に把握できる。

屋外でも問題なく見える
日が当たる場所や緑系の場所、青空などではさすがに見えにくい
日陰では同色でも見える

 ダッシュボード機能自体は面白いのだが、個人的には株価を追う習慣もなく、天気も何度も視界で確認するほどではないため、実用面で一番重宝したのは「そのままの体勢で時間を確認できること」だった。

現在、ダッシュボードに追加できる情報は「タスク」「カレンダー」「メール」「天気」「株」「世界時計」の6つ

 さらに、スマートフォンに届いた通知も視界に表示される。通知が届いてもスマートフォンやスマートウォッチを見ることなく、今の姿勢のまま確認できるのは便利だった。

 一方で、普段はダッシュボードも非表示となっており、外の景色を見ている状態。RayNeo iOにはスピーカーもなく、効果音や振動によるアナウンスがないため、視界に文字が突然現れるのは少し驚いた。

 正直なところ、現状で常用したくなる情報はそれ以外に特になかった。今後のアップデートでニュースや交通情報、配車情報などが拡充される予定とのことだが、現時点ではコンテンツの物足りなさが否めない。

 個人的には、メールや通知の履歴が見られるようになると一気に実用性が増すはずだと感じた。現状のダッシュボード上では最新のメールしか見られず、通知も届いた瞬間にしか表示されない。スマートウォッチのように、もう少し過去の通知をさかのぼれる仕様になれば重宝するだろう。

ここからメールを開けるわけではない

AI技術による翻訳や「終日AI記録」

 AI機能の要となるマイクシステムは、4マイクアレイと骨伝導マイクを組み合わせた構成で、話者の方向を明確に識別し、録音および音声認識の精度を飛躍的に向上させている。

 これにより実現しているのが、世界55言語・109アクセントに対応する翻訳機能だ。世界の主要言語をカバーし、相手の発言を正確に認識して優先的に表示するため、双方向のスムーズな会話が可能になる。

 今回の試用中には、外国語話者と話す機会がなかったため、実際の会話で試すことはできなかったが、試しに外国語のYouTube動画を見てみたら、しっかり翻訳してくれた。

自身の発言を翻訳した音声はスマートフォンから再生できる
翻訳をリアルタイムに視界に表示する
言語は世界55言語・109アクセントに対応

 また、ユニークな機能が「終日AI記録」と「毎日のサマリー」だ。低消費電力で一日を通じたユーザーの会話内容やアイデアを記録し、その日の行動を自動で要約してくれる。AIに質問すれば、過去に記録した内容をいつでも呼び出すことができる。

無料で使えるAIモデルは2つ。残りの6つは有料プランで利用できる

 前述の通り、今回は度なしでの試用だったため終日常用していたわけではないが、装着していた時間帯の会話などは上手くまとめてくれている印象だった。機能自体はまだベータ段階のようだが、精度はかなり良かった。

「度が入っていないから見えない」といった会話をした日だと思うが、生成されたタイトルは「視力のざらつき、平静の裏で」と、妙に詩的だった。要約スタイルは変更可能

 そのほか、ワンタップでの録音・文字起こし・AI要約機能も備え、複数の話者を識別して会話の流れを整理してくれるため、会議中にメモを取る必要がなくなる。

 プレゼンやスピーチで役立つ「全自動テレプロンプター機能」も備えており、高度なAI音声追従技術によって自身の発話ペースに合わせて原稿テキストが自動でスクロール表示される。「話したところまで自動で進む」ため、手動によるページ操作が不要なのは非常に便利だ。

直感的な「スマートクラウン」操作

 テンプルに搭載された物理ダイヤル「スマートクラウン」の操作性はとても良い。音声操作は外で使いにくく、リモコン等の外部デバイスを落としてしまう可能性もあることを考えると、このダイヤル操作は非常にしっくりきた。

 指先で軽く回すだけで画面の移動やAIアシスタントの起動ができ、繊細かつ正確な操作フィードバックが得られる。歩きながらでも画面を見ずに直感的に操作できるため、AIグラス特有の違和感がない。

 これに加え、うなずいたり首を横に振ったりする「頭部ジェスチャー操作」にも対応している。ジェスチャーでできる操作は簡易的なものだが、両手が塞がっていてスマートクラウンが操作できない場面でも、会話の流れを妨げることなくシンプルな操作ができる。

頭を上げるだけでダッシュボードを表示できる
はい・いいえを首の動きで

 なお、バッテリーは240mAhを搭載し、標準使用時間で48時間、最大18時間の連続記録に対応。IP54準拠の防塵・防滴性能も備えており、通勤中の突然の雨などでも安心して使用できる。

付属のデバイスとUSB Type-Cケーブルを使ってブリッジから充電できる
別売りのアクセサリーとしてバッテリーを搭載した充電ケースも展開される
ケースに入れるだけで充電が可能。2000mAhのバッテリーを搭載する

スマートフォンの画面から解放される可能性を感じた

 RayNeo iOは、ARグラスのようなリッチな映像体験を求めるデバイスではない。代わりに「メガネとしての自然さ」と「情報確認・AIアシストの使い勝手」を極限まで磨き上げたプロダクトだ。

 発売時点の機能は、スマートフォンと組み合わせて機能を拡張させるデバイスという印象で、RayNeoもソフトウェアの更新(OTAアップデート)で今後順次機能を増やしていくとしている。

 正直なところ、現時点の機能だけでは「絶対に買うべき」と言い切れるほどの決定打には欠ける。しかし、歩きスマホや会議中のスマホ確認を減らせる可能性は十分に秘めており、今後のアップデート次第で化ける面白いデバイスだと感じた。