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NTT(持株)、中期経営戦略を見直し 2030年度にEBITDA4兆円の達成へ

 NTTは8日、2023年5月に公表した中期経営戦略の一部見直しを取締役会で決議したと発表した。事業環境の変化を踏まえ、2030年度における連結EBITDAを4兆円、金融事業を除いたROICを5.5%とする新たな中期財務目標を設定している。

既存分野の環境変化を受け目標年次を変更

 今回の見直しの背景には、成長分野が積極的な投資と成果実現により順調に利益を拡大している一方で、既存分野においてトラフィック増大への対応や顧客基盤の強化など、競争環境が厳しさを増している状況がある。現行の目標では2027年度に連結EBITDA4兆円を目指していたが、想定を下回る水準となっており、目標達成が難しい状況に直面していた。

 こうした事業環境の変化を踏まえ、中長期的な成長と安定した財務基盤の両立を図るため、EBITDA4兆円の達成目標を2030年度へと後ろ倒しした。なお、サステナビリティ関連の指標については以前の目標から変更はない。

「AIOWN」への転換とバリュー分野の拡大

代表取締役社長執行役員CEO 島田明氏

 会見での方針説明において島田明社長は、今後の成長シナリオについて「AIを軸に据え、利益を大きく伸長させる」と語り、具体策を示した。

 成長分野とされる「バリュー分野」では、国内法人ビジネスにおいてAIビジネスを通じた顧客提供価値起点の事業拡大を進めるほか、データセンターを核とした海外事業の成長を柱とする。さらに、決済と銀行を起点とした金融事業を中心とするパーソナルビジネスのさらなる拡大も推進していく。

 一方、既存分野である「コネクティビティ分野」については、GPU、ネットワーク、電力といったリソースを最適化し、エッジまで含めたオペレーションを担うAIネイティブインフラ「AIOWN」への転換を進める。国内でこれを実現し、本格的なビジネス展開を目指す構え。

役員報酬制度も見直しへ

 中期経営戦略の一部見直しに合わせ、取締役などに対する業績連動型株式報酬制度の内容も一部改定される。中期経営戦略を2030年度までの計画に変更したことに伴い、本株式報酬制度についても2030年度までを対象期間とする見直しが行われる。

 また、2026年7月1日から事業を開始する予定のNTTドコモ・フィナンシャルグループなどを本株式報酬制度の対象会社に追加する。

 あわせて、2026年度における役員賞与の業績指標も見直される予定。財務指標のEBITDAの評価ウェイトを25%、EPS(1株当たり当期利益)を10%とするほか、顧客エンゲージメントを5%、サステナビリティ指標の温室効果ガス排出量を5%とするなど、新たな計画に沿った評価ウェイトが設定される。

目標先送りの最大の要因は「モバイル事業の環境変化」

 質疑応答において、目標達成時期を後ろ倒しした要因を問われた島田社長は「モバイルのビジネスの環境の変化によって今回の中期戦略を見直したというのは事実です」と言明し、ドコモにおける顧客基盤の強化や通信品質の向上への投資が直近の減益を招いたとする。

 通信事業の苦戦を補う具体策として「コンシューマ事業自体は減益の要素があるが、法人ビジネス、スマートライフ事業の増益によってそれをカバーしてプラスに持っていく」と述べ、非通信領域の成長でグループ全体を牽引する考えを示した。