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ソフトバンク、基地局の脱炭素化へ新技術 AIスリープ制御と再エネ自家発電を導入
2026年1月8日 15:25
ソフトバンクは、2050年までの「ネットゼロ」実現に向け、通信インフラの脱炭素化を推進する2つの新たな取り組みを開始したと発表した。太陽光と風力を組み合わせた「自家発電型基地局」の実証実験と、AIを活用して基地局の電力消費を抑制する「動的スリープ制御システム」の開発・導入を進める。
ソフトバンクは、サプライチェーン全体で温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」を2050年までに達成する目標を掲げている。今回の施策では、電力を「作る」「使う」の両面から環境負荷の低減を図る。
再エネ自家発電型基地局の実証
1つ目の取り組みは、再生可能エネルギーを活用した基地局の運用。太陽光発電と風力発電を組み合わせたハイブリッド型の発電設備を基地局に導入する。
天候に左右されやすい再エネを複数組み合わせることで安定性を高め、基地局の運用に必要な電力を自給することを目指す。これにより、商用電源からの電力供給への依存度を下げ、二酸化炭素排出量の削減につなげる。
風力発電向けには、小型レンズ風車(3kW機)を採用する。風を効率的に集めて加速させるディフューザーを備えており、風速3m程度の低風速でも高い発電効率を発揮する点が特長。同サイズの一般的な風車と比べ、約2~3倍の発電効率を実現するとしている。
AIによる動的スリープ制御
2つ目の取り組みは、AIを活用して基地局のスリープを動的に制御するシステム。基地局の通信トラフィックをAIが分析し、利用者が少ない時間帯やデータ通信量が少ないタイミングを見極め、電波発射機能などを動的にスリープさせる。
本システムの特徴として、AIによるスリープ対象セルの判定が挙げられる。AIが人流や通信トラフィックを分析し、周辺基地局でのカバーが可能で、かつ輻輳(ふくそう)が発生しないことを条件に対象セルを選定する。
従来は、同一建物内でアンテナの向きが同じであるなど、厳しい条件下のセルのみが対象だったが、AI分析により通信品質を維持したまま対象を拡大できるようになった。これにより、スリープ対象となるセル数は約1万4000から約2万4000へ拡大する見込み。
また、スリープ可否を判断するパラメーター設定も自動化する。従来は全基地局に一律の閾値を設定していたが、AIが基地局ごとの処理能力や周辺環境に応じて最適化した閾値を動的に設定する。これにより、1局当たりのスリープ時間は約1.4倍に拡大すると試算されている。
さらに、安定運用に向けたバックアップとして、品質低下時の自動最適化機能も備える。スリープ実施後に該当セルの通信品質が低下した場合には、自動的に通常運用へ復旧させ、安定した品質を確保する。
ソフトバンクは、同システムの活用によって省電力効果を最大化し、年間で約500万kWの消費電力削減を見込んでいる。


