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ソフトバンク宮川社長、楽天モバイルの「値上げしない」宣言に言及 ネットワーク公平性に懸念
2025年11月5日 17:50
ソフトバンクの宮川潤一社長は5日、決算説明会の質疑応答のなかで楽天モバイルが「値上げしない」と表明したことに言及し、見解を示した。楽天モバイルが「自社の構造が違うから値上げしない」と発言していたことを把握しているとしたうえで、通信事業におけるコスト構造の違いについて説明した。
宮川氏は、通信キャリアにとって最もコストがかかるのは地方でのネットワーク整備だと述べ、都市部との違いを挙げた。都市部は人口密度が高く利用者も多いため効率的な運用が可能だが、地方では背の高い鉄塔を建設する必要があり、基地局とネットワークをつなぐ光ファイバーの敷設距離も長くなることから、工事費が高額になると説明した。
その結果、地方の基地局は都市部に比べて稼働率が著しく低く、年間のトラフィック量では都市部の基地局の1%にも満たない場合があるという。それでも全国的な通信サービスを提供するためには整備を進めなければならず、地方のネットワーク構築が最もコストのかかる部分であるとした。
また、自身がCTO(最高技術責任者)として地方の基地局建設に携わった経験を踏まえ、地方エリアの残り5~10%を面として整備することの難しさを強調。そのうえで、「そうした努力を経たうえで同じ発言をされるならフェアだと思うが、ローミングに頼った現状での発言はアンフェアだと考えている」と述べ、楽天モバイルの料金維持方針に対して疑問を呈した。
さらに、こうした状況は電波の割り当てルールの観点から見ても整合性を欠く可能性があるとし、今後業界として議論を進める必要があるとの考えを示した。
