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都内の公衆電話に「OpenRoaming」対応Wi-Fi、3年で1500カ所へ拡大へ NTT東と都

 国際規格「OpenRoaming」に対応するフリーWi-Fiの、電話ボックスへの設置が東京都内で始まった。NTT東日本と東京都の協定に基づく取り組みで、今後3年間で1500ヵ所の整備を目指す。

左=NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 社会基盤ビジネス部 公共営業グループ 第一公共営業 担当課長の岡田雅隆氏。右=東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部 つながる東京推進担当課長の小宮学氏。

公衆電話がフリーWi-Fiの目印

 第1号は東京都の新宿御苑前交差点付近の電話ボックス。フリーWi-Fiの国際規格「OpenRoaming」に対応しており、初回設定を済ませれば、違う場所でも同じ規格に対応するフリーWi-Fiがあれば、自動的につながる。

 場所ごとにユーザー自ら設定が必要な従来のフリーWi-Fiと比較して、利便性が高い。また、SSIDとは異なる認証情報をもとに暗号化して接続されるため、偽のSSIDに接続するなどの危険性が低いといった、セキュリティ上のメリットもある。

 新宿御苑付近に設置されたフリーWi-Fiは、半径25m~50mほどの範囲で利用でき、同時に最大で256台ほどのデバイスが接続できる。バックアップ電源も設置されており、停電から6時間ほどはWi-Fiを利用できる。

 初回利用時には電話ボックスに掲示されているQRコードを読み取り、設定用のWebサイトへ遷移。プロファイルのダウンロードやインストールを済ませておく必要がある。設定方法は、QRコードの遷移先にも説明があるほか、東京都内の公共施設で受け取れる紙のパンフレットでも確認できる。

今後3年で1500ヵ所に拡大目指す

 NTT東日本と東京都が8月に締結した「公衆電話ボックスを活用したOpenRoaming対応Wi-Fiの整備・普及啓発等に関する基本協定」に基づく取り組み。

 電話ボックスへのフリーWi-Fiの設置は、主に災害時の通信確保やインバウンドに向けた施策。第1号の設置場所付近の新宿御苑は、広域避難場所に指定されており、旧甲州街道は、災害時に徒歩帰宅者に安全情報などを提供する「帰宅支援対象道路」だ。災害時、歩いて帰宅する市民が、災害用伝言掲示板で家族に安否を知らせるといった利用方法が想定されている。

 今後、山手線の駅付近や公園など、乗降客数の多い主要駅周辺や避難場所に指定されている屋外の公園に重点的に設置する。3年間で1500カ所の整備を目指しており、2025年度末までに500カ所を整備、その後も年間500ヵ所のペースで拡大する。最終的には、既存の設備も含めて都内3600カ所にまで広げることを目指す。

 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部 つながる東京推進担当課長の小宮学氏は「このようなWi-Fiを電話ボックスを活用してどんどん都内に広げていきたい。是非皆様に使っていただければ」と話した。