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IIJの2025年度上期決算が好調、JALモバイル効果も
2025年11月7日 18:52
インターネットイニシアティブ(IIJ)は7日、2026年3月期第2四半期連結決算を発表した。売上高は、前年同期比+10.1%の1619億1000万円、営業利益は+30.6%の153億9000万円、当期利益は+34.2%の100億3000万円だった。ネットワークサービスの販売促進を強化したことが影響しており、高い受注水準が持続できたことによる増収や、VMwareライセンスの反動増などで大幅に増益となり、増収増益となった。
個人向けモバイル通信サービス「IIJmio」を含むモバイル分野では、売上高が前年同期比で+10.9%の269億1000万円で、個人と法人ともに好調な売り上げとなった。詳細を見ると、法人モバイルでは+21.3%の87.9億円、MVNEでは+4.5%の58.3億円の売上。個人向け全体では+6.1%の140.1億円、うちIIJmioでは+7.4%の122.9億円の売上となっており、増収を達成している。
法人向けでは、ネットワークカメラなどIoT機器への接続需要が継続していると分析。個人向けでは、JALモバイル効果で回線数の増加が継続している。MVNEでは、MVNOの新規参入事業者が続き、事業者の顧客数と回線数がともに堅調に推移しているという。9月末の回線数は、法人モバイルで330.3万回線、IIJmioで138.2万回線(うち、ギガプランは121.6万回線)、MVNEで130.3万回線(205社)となっている。
なお、説明会資料ではギガプランの契約傾向が示されている。プラン別の内訳は、2ギガプランが3月末で33%だったのに対し9月末では29%に、5ギガは44%(変わらず)、10ギガは11%→13%、15ギガは4%→3%、25ギガが7%→8%、35ギガが1%→2%、45ギガは1%未満、55ギガは1%未満で推移している。
代表取締役会長執行役員の鈴木幸一氏は説明会の後半に、IIJと同社を取り巻く環境に言及。企業が年々高速ネットワークを前提にした企業活動が進んでいくなか、ネットワークエンジニアの需要がますます増えてくるとした上で「もうすぐ33年目となるIIJは、割と地味な会社だが、ひたすらネットワークエンジニアを育ててネットワークを構築してきた」と多くのエンジニアを抱える自社を評価。セキュリティなどネットワークに求められる内容も増えてきており、“絶対的なインフラ”となったネットワーク社会の中で、IIJのポジションはより重要になってきていると指摘した。
主な質疑
ここからは、説明会後半の主な質疑を取り上げる。回答者は、代表取締役社長執行役員の谷脇康彦氏。
――IIJmioでU-NEXTのオプションが追加されたが、提供の背景や期待している効果は?
谷脇社長
今5ギガプランが主役になっているが、10ギガを超える大容量も少しずつ増えている現況。その中で、今回U-NEXTオプションを追加した。
これまでは、キャリアがこういうものを提供していたが、私どもとしては準備ができればサービスの多様化やより多くサービスを使ってもらうという観点から、サービスの魅力を高めることは必要。当然U-NEXT以外のものもありうると思っているので、検討を進めていきたい。
――MVNEについて、ミークが新たにミークモバイルという形でパッケージ化されたMVNEとしてサービスを発表したが、その受け止めとMVNO市場、IIJのMVNE事業に与える影響はあるか?
谷脇社長
MNOの場合、周波数に限りがありどうしても寡占的な市場になりがちだが、MVNOとMVNEが果たす役割は、モバイル市場のサービスの多様化や競争を生むことで、よりよいサービスを提供していくことだと思っている。
とりわけ、ほかの業態の事業者がこのモバイル業態に入ってくることで、今までになかった新しいサービスが生まれるのは、ユーザーにも良いこと。これらの動きを引き続き強めてきたいと思う。実際に、下期にかけて、いくつか話が進んでいるものもある。
――IIJのMVNEにはどのような強みがあるか?
谷脇社長
MVNOサービスを提供していく上で、どのような付加価値をつけるのか、リブランディングして提供するなど、さまざまな提供モデルがあって良いと思う。IIJは、ネットワーク技術で非常に高い競争力がある。参入したい事業者のさまざまなニーズに十分応えられる、というところが私どもの強みだ。
――eSIMのクイック転送について、一部キャリア系MVNOで開放されているなかでIIJmioを含めたMVNOの多くは開放されておらず、不公平なように見えるが、IIJから何か働きかけるのか?
谷脇社長
IIJでは長年eSIMへの取り組みを丁寧に続けており、この取り組みが評価されて今回のeSIM専用のiPhone 17においても、IIJを選んでいただいたユーザーが結構いらっしゃる。
eSIMのクイック転送については、私どもだけではどうしようもないところがある。キャリアに機能を開放していただく必要があり、当然NTTドコモやKDDIに対して、今働きかけているところ。なるべく早く実現できるよう、理解をいただきながら前に進めていきたい。
――通信各社が、長期利用者を優先するような方針に切り替えつつある。流動性が落ちる可能性が高まると思うが、受け止めは?
谷脇社長
IIJmioや法人サービスでは、料金を低廉化、多様化させていき、IoT向けのサービスなど多様なサービスを提供することで、ユーザーのニーズに応えていくのが基本。
今後モバイル市場の競争は、当然あるべきで、事業者を乗り換える障壁はない方がより健全な競争になると思う。
――好調な決算のように見える。連結予想は変えないのか?
谷脇社長
ほぼ計画通りの数字。内訳は若干想定と違うものもあるが、企業の投資意欲が非常に堅調な状態が続いていることを踏まえ、あえて修正するのではなく、このままきちんと約束している計画を達成できるように下期でも取り組んでいく。







