ニュース
Nothing「Phone (3)」「Headphone (1)」発表イベント、デザイン面でのこだわりとさらなる成長を語る
2025年8月20日 19:41
Nothing Japanは20日、新製品発表イベント「NOTHING SUMMER UPDATE」を開催し、新製品「Nothing Phone (3)」と「Nothing Headphone (1)」を発表した。
価格は「Nothing Phone (3)」が12万4800円~、「Nothing Headphone (1)」が3万9800円。
イベントには、Nothing CEOのカール・ペイ氏やNothing Japan代表の黒住吉郎氏のほか、「Nothing Phone (3)」を発売する楽天モバイル代表取締役共同CEO兼CTOのシャラッド・スリオアストーア氏が登壇した。
日本は重要なマーケット
冒頭、ペイ氏は「NothingのWebサイトにおけるアクセス数で、日本はインドと米国に次ぐ3番目にアクセスが多い。日本では、すべての製品カテゴリーで非常に強い成長を遂げている」と同社における日本市場の立ち位置を説明。
引き続き、日本市場に焦点を当ててコミットメントを継続していくとともに、ペイ氏自身も「ユーザーをエキサイトさせたく、今後も頻繁に訪問する」と述べた。
スマートフォンのシェア0.2%
続いて、黒住氏が具体的な製品の内容を説明する。
全体的な戦略として黒住氏は「今、少しだけ難しい時代になっている。政治も経済も安定せず、皆不安を感じている」と現代社会を指摘。テクノロジーにおいても「SNSは邪魔になっていたり、AIが仕事を奪ったりするのではないか? と心配する人も多い。いつの間にか、テクノロジーが私たちを助けるツールでなくなってしまいつつある」とコメントする。
Nothing創業時も環境は同じだったといい、「どのプロダクトも似たり寄ったりのデザインで、だんだんつまらないものになった。ユーザーは正直で、1年だった買い換えサイクルが、いつの間にか3年になっている。オペレーティングシステム(OS)も同様で、生活のほとんどの時間、スクリーンにタッチし、スマートフォンもいつのまにかSNSを見るためのマシンになってしまった。本来テクノロジーが与えるべき積極性や創造性が失われつつある」と語る。そのような想いから同社はスタート、「10m離れていても一目でNothingだとわかるデザイン」や「デザイン思考をソフトウェアにも持ち込む」ことなどにより、さまざまな価格帯のスマートフォンやオーディオ製品、スマートウォッチによる“フルプロダクトエコシステム”を作ることができたと黒住氏は説明する。
黒住氏は、Nothingを「ここ10年間でスマートフォンビジネスを拡大していった唯一のスタートアップ」と説明。8000人以上のコミュニティメンバーが同社の株主で、メンバーの代表が取締役会に出席していると、同社がコミュニティを重要視しているとアピール。これまで評価されてきたデザインを含め、さらなるイノベーションにチャレンジしていくとした。
同社が参入しているスマートフォン市場は年間10億台、ワイヤレスイヤホンは3億台の市場だが、たとえばスマートフォン市場における同社のマーケットシェアは0.2%だという。黒住氏は「成長する可能性がある」と指摘し「テクノロジーでワクワクさせる未来とプロダクトを作る」と、今後さまざまなカテゴリー製品の開発に含みを持たせた。
4万円を切る「Headphone (1)」
ここからは、具体的な製品の内容について紹介していく。
「Headphone (1)」は、日本市場で3万9800円で提供される。グローバルモデル発表時の価格(299ドル、約4万4000円)と比較すると、日本の市場にあわせて価格が調整された印象を受ける。
デザインでは、シースルーのイヤーカップに大容量のチャンバーを表現した2つの大きな丸が備わっている。剛性や耐久性、軽量性のために、本体部分の多くはアルミ素材で黒住氏は「建設的な精密さや彫刻のような存在感、プレミアム感がある」とコメント。3つの物理キーによるインターフェイスは「触ればわかる直感的な操作」とした。
音響面では、英KEFとのパートナーシップによる音作りが進められた。カスタム設計の40mmダイナミックドライバーに、振動板は8.9mmのニッケル素材を採用、ひずみを抑え安定させたことで、深みのある低音と伸びが鮮やかな中音、クリアな高音と全体的にバランスの取れた“原音に忠実な”サウンドと黒住氏は評する。
AIを活用したノイズキャンセリングや自然な外音取り込みモードを搭載。これらの切り替えも、物理キーの1つ「ローラー」を長く押し込むことで切り替えられる。操作面では「人間工学に基づいて、心地の良い、触ればわかる直感的な操作性を目指した」と黒住氏はコメント。
このほか、スマートフォンアプリ「Nothing X」を使えば、イコライザーやノイズキャンセリング機能の調整ができる。また、物理キー「ボタン」に割り当てられる機能の1つである「Channel Hop」は、アプリでSpotifyやApple Musicなどのプレイリストを登録しておけば、ボタンを押すだけでプレイリストをサービス横断で切り替えられる。
フラッグシップ「Phone (3)」
黒住氏は、先代モデル「Phone (2)」の発売以降、「Nothingにとってのフラッグシップって何だろう」と自問自答を繰り返してきたといい、フラッグシップモデルは、Nothingが向かう方向性を明確にするプロダクトであるべきだとコメント。今回の「Phone (3)」では「美しさとアイデンティティー、個性を持たせることで、ユーザーがよりクリエイティブになれるようにデザインを設定した」とし、Phone (1)から続くデザインを踏襲しつつもアイデアを進化させたとコメントする。
背面デザインは、規則正しく配列された3列のグリッドに、円や曲線など異なったデザイン要素を非対称的に配置、デザインに動きが生まれ、デザインと人とがコミュニケーションをはじめる、と意図をもったデザインと説明。光る背面「Glyphインターフェイス」は、489個のマイクロLEDによって作られた「Glyphマトリックス」となり、さまざまな通知や楽しいツールが用意される。
AI機能について、黒住氏は「各スマートフォンメーカーがAIで何かしようとしているが、どことなく表面的。Nothingは、違ったアプローチを取っている」と指摘。スマートフォンとAIの関係について「スマートフォンは最も普及している“パワフルな性能”と“常時接続”を持ったAIにぴったりなテクノロジープロダクト。ユーザーにとってスマートフォンがAIの主役になることは間違いない」とコメント。また、AIもスマートフォンの体験を根本的に再定義する可能性を秘めているとし、同社のAIへの取り組みを紹介する。
同社では、スタートアップらしいスピード感とデジタルファースト、デザインファーストの考え方を持ちながら、ユーザーの声を拾い、意識的にAIを取り込んでいくと説明。3月に登場した、情報やアイデアをまとめAIが整理しアクションポイントを提案する「Essential Space」に続き、「Flip to Record」と「Essential Search」を紹介。
「Flip to Record」は、Phone (3)を裏返してEssential Keyを押すことで、周りの音を録音し、文字起こししたうえでAIによって内容がまとめられる機能。まとめられた情報は、Essential Spaceに保存される。
「Essential Search」は、画面を下からスワイプするだけでアクセスできる検索バーで、アプリや連絡先、メッセージの検索のほか、AIにより会話形式で必要な情報を調べられる。将来的には、よりパーソナライズされた情報や検索ができるようになるという。
「Phone (3)」は、楽天モバイル全店で取り扱い
今回の「Phone (3)」は、NothingのECサイトのほか、日本のキャリアでは楽天モバイルが取り扱う。
楽天モバイルのスリオアストーア氏は、今回のパートナーシップを「大変うれしく思う」と評価。
7月に累計900万回線を突破し、1000万回線に届こうとしているなか、スリオアストーア氏は「日本におけるナンバーワンのキャリアになりたいと考えている」とコメント。そのなかで、近年重要視されているAIが機能するためには“接続性”と“デバイス”が必要不可欠と指摘。
楽天グループでは、回線品質の向上による接続性の開発とともに、Rakuten AIといった生成AIを開発。楽天グループの旅行や銀行サービスなどさまざまなサービスを横断して最適な結果を確認できるもので、スリオアストーア氏は「楽天は、ジェネレーティブAI(生成AI)からエージェント型AIへの移行を進めている」と開発方針を説明する。今後、多くのエージェント型AIが提供され、ユーザーを幸せにしていくと話す。
先代モデルの「Phone (2)」も楽天モバイルで発売された。同機についてスリオアストーア氏は「20~30代のユーザーに好評だった。多くの好意的なフィードバックが寄せられ、中でも革新的なデザインが評価されている」と指摘。今回のPhone (3)でも、楽天モバイルとNothingが非常に強力なパートナーシップを築けているといい、Phone (3)の販売を強力にサポートしていく姿勢を示した。
この姿勢は、価格にも現れており、楽天モバイルでの価格は、12GB+256GBモデルが11万9900円、16GB+512GBモデルが13万8900円となった。端末購入プログラム「楽天モバイル買い替え超トクプログラム」を利用すれば、約2年間実質3万円で利用できる。
また、楽天モバイルの実店舗でも展開される。Phone (2)では一部店舗での取り扱いに限られていたが、今回のPhone (3)では、すべての楽天モバイルショップで取り扱われる。
本当の意味で挑戦者になれた
黒住氏は最後に、スタートアップとしての4年間を「本当に頑張った」と振り返る。4年経った現在「本当の意味で挑戦者になれた」と評価し、今後もエキサイティングで最高のプロダクトを作り続けると結んだ。




































































































