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NTTが大規模言語モデル「tsuzumi 2」を提供開始 世界トップクラスの日本語性能を実現

 NTTは、「tsuzumi」のアップグレード版となる大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi 2」を提供開始した。

 「tsuzumi 2」は、同社が開発した独自の日本語処理性能を持つ大規模言語モデル(LLM)。同社によると、大規模言語モデルの普及に伴う電力消費やコスト増加といった問題の解決に向け、軽量でありながら高性能な日本語処理性能を持つLLMになっているという。

日本語性能のさらなる向上

 「tsuzumi 2」は、同サイズ帯のモデルと比較して世界トップクラスの日本語性能を実現している。たとえば、ビジネス領域で主に重視される知識、解析、指示遂行などでは、数倍以上大きなフラッグシップモデルに匹敵するレベルを達成し、コストパフォーマンスに優れているとアピールしている。

日本語性能の評価
評価条件

特化型モデル開発効率の向上

 「tsuzumi 2」は、RAGとFine Tuningにより企業や業界に特化したモデルの開発効率が向上し、ユーザーからの要望が多かった金融・医療・公共分野の知識を強化している。これにより、特化チューニングによる精度向上や汎用的なタスク特化チューニングによる多様な業務での活用を可能にしているという。

 たとえば、同社内での「財務システムに関する問い合わせ対応業務」に活用した評価では、他社の先進モデルと同等以上の世界トップクラスの性能を確認したとのこと。

RAGユースケースにおけるLLMの性能評価
評価条件

低コスト・高セキュアの維持、国産AI

 純国産モデルとなる「tsuzumi 2」は、1GPUで動作可能な軽量モデルであり、低コストでオンプレミスやプライベートクラウドでの運用が可能。機密性の高い情報も安全に取り扱える点が特徴とうたう。

導入に向けた取り組み

 「tsuzumi 2」の導入に向けた取り組みでは、NTTグループ各社でのAI提案・導入活動を通じた、tsuzumi 2の事前実証などが進められた結果、既に2件の具体的な事例が生まれたという。

 たとえば、「東京通信大学」での事例では、学生・教職員のデータを学内に留めるという要件のもと、クラウド依存のない国産LLMを核に学内LLM基盤を整備してきたという。

 今回の「tsuzumi 2」導入には、複雑な文脈理解や長文ドキュメント処理が安定し、複雑なタスクの複合工程においても実用水準に達していると判断したからとのこと。

 具体的には、授業Q&Aの高度化、教材・試験作成支援などのユースケースで活用され、今後の本格的な利用開始により、教育・運営の両輪でAI活用を加速していくとしている。

 「tsuzumi 2」の開発背景には、企業・自治体が保有する複雑なドキュメントへの理解や専門的な知識への対応力強化などの要望が多数寄せられたことが起因している。同社は、それらのニーズを研究開発へフィードバックし「tsuzumi 2」を開発した。

 同社は、tsuzumi 2の提供開始を機に、NTTグループ各社からのソリューション提供、サービス実装を推進していく。また、サイバーセキュリティ分野への応用、自律的に連携し議論するAIコンステレーションなどの開発も進めていくとしている。

 また、11月19日から開催される「NTT R&Dフォーラム2025(IOWN Quantum Leap)」では、tsuzumi 2を活用した最新生成AIソリューションを直接体験できるイベントが用意される。