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イオンスマホ春夏モデルは“主戦場”がターゲット

ミドルクラスのこだわりスマホで「次のステップにチャレンジ」

 イオンリテールは19日、都内で記者向けの発表会を開催し、「イオンスマホ」の春夏モデルのラインナップを発表した。3月12日に発表していた「VAIO Phone」に加えて、新たに京セラ製の「S301」、ソニーモバイル製の「Xperia J1 Compact」を投入することが明らかにされた。新端末やプランについては別記事を参照していただきたい。

 発表会にはイオンリテール 住居余暇商品企画本部 デジタル事業開発部長の橋本昌一氏が登壇しプレゼンテーションを行った。橋本氏が応じた囲み取材の模様も別記事で掲載した。

イオンリテール 住居余暇商品企画本部 デジタル事業開発部長の橋本昌一氏

春夏モデルは40代以下がターゲット「次のステップにチャレンジ」

 橋本氏はまず、「イオンモバイル」の取り組みで、スマートフォン「イオンスマホ」の第1弾を提供してから1年になるとし、「低価格で、解約金なしにこだわって提供してきた。ある程度ユーザーに理解・支持をいただけた」と手応えを語る。

 同氏はイオンスマホの投入にあたり、社内で議論を重ねてきた様子を振り返る。「ガラケーを使っているユーザーの再定義をしようとなった。本当にガラケーで満足しているのか? スマートフォンが欲しいのか? 我々は、こうしたユーザーがスマホの見込み客なのではないかと仮説を立てた。そうであれば、何かソリューションを提供できなかと考え、(ハードルを下げるために)低価格で、解約金なしという内容でスタートした。結果、主婦層、GG(グランド・ジェネレーション)世代から熱い支持をもらった。第1弾は1カ月で、用意した8000台が完売した。仮説の通り、ガラケーのままでいいということではなく、スマホをあきらめていた。あるいは、もっと先にしようと思っていた。そうしたユーザーの、ちょっと背中を押せたのではないか。スマホによる楽しさや便利さを提供できたのではないか」と、ターゲットを明確にした上で、成功を収めてきた様子を語った。

イオンスマホ年齢別構成比

 橋本氏からはここで、「イオンスマホ」の年齢別の構成比が明らかにされた。イオンスマホは、当初は50代以上が50%以上を占めていたとのことだが、40代が増加しているという。現在の構成比は40代が39%、50代が20%、60代以上が17%となっており、40代以上が合計で78%という構成。

 イオンの店舗では大手キャリアの携帯電話も販売されているが、ここでの大手キャリアの年齢別構成比は、20代が22%、30代が28%、40代が29%などとなっており、40代以上は合計で45%になるという。

 橋本氏は、この構成比の違いについて、イオンスマホはターゲットを絞ってスタートした結果と分析する。

 一方で、当初から比べると40代以上のユーザーが増加しているように、これまでターゲットとしてきて年代よりも若い世代のユーザーが増えているという。その結果、機能面での要求や、日本メーカーへの支持、大手キャリアの端末と遜色のないものを求める声が、徐々に出てきているとする。また、販売現場からも、ラインナップにバリエーションがもう少しあれば、こうしたユーザーの声に応えられるのでは、という声もあるという。

新ラインナップはスマホの中心世代に提案

 新たにイオンスマホに興味を持ち始めた比較的若い世代のユーザーは、すでにスマートフォンを利用している場合も多く、「大手キャリアのスマホを使っているので、(カメラなど)なにかしらのこだわりもある」(橋本氏)。加えて、日本におけるスマートフォンの販売や保有率は、30代以下が中心になっているという環境もあるとし、春夏モデルとしてラインナップされた3機種については「40代以下をターゲットにラインナップした」と明言した。

 今回モデルがターゲットにする層は、スペックや通信サービス、通信容量にもこだわるとし、「選択肢のひとつとして、イオンモバイルを提案したい」と、大手キャリアとの競争に突入していく構え。イオンモバイルとしても「次のステップにチャレンジしていきたい」と表明し、今回の3モデルは、フィーチャーフォンからの乗り換えを促す従来のラインナップとは異なるコンセプトで選ばれているとした。

 橋本氏は、「大手キャリアの最上位機種のような端末の投入は考えていない。価格も重視しており、何かをトレードオフにして、リーズナブルにしていく」ともしたほか、「新たな提案をし続けたい」と、イオンスマホの市場をさらに進化・拡大させていく方針を示した。

学習タブレット追加、サービスも急速にラインナップを拡充

 橋本氏からは「学研がんばるタブレット」についても説明された。イオンの店舗はランドセルの販売シェアで日本一、学童文具の販売シェアも日本一とのことで、小中学校の学生向けとして有力な販売チャネルであるとする。プリインストールされる学研のコンテンツは、タブレットならではの操作性が取り入れられ、学年に応じて学習内容や価格が変わるラインナップになっている。

 サービス面では、補償サービス、電話サポート、セキュリティをセットにした「イオンスマホ安心パック」を月額600円で提供するほか、「朝日新聞 for イオン」や、「イオン厳選アプリ20」(月額200円)、「お子様向け超厳選アプリ10」(月額100円)、雑誌読み放題の「タブレット使い放題」「スマホ使い放題」(月額463円)、動画配信の「ファミリービデオ」(月額500円)などが紹介された。

 橋本氏は、イオンスマホや関連するサービスを拡充したことで、ただのデジタルのツールから「スマートなネットワークライフの一助になれば」とする。また、「スマホのメインユーザーにまで、顧客層を広げていく」と意気込みを語ったほか、イオンの中期経営計画のひとつ「デジタルシフト」において「中核をなすサービスにまでしていきたい」と、事業を拡大させていく方針を明らかにした。

太田 亮三