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ドコモが基地局アンテナ1本を4本相当にする技術、屋外実験も成功

 NTTドコモは、LTE-Advanced向けに開発している無線伝送技術「Smart Vertical MIMO」の屋外実験に成功したと発表した。基地局のアンテナ1本を4本相当にしMIMO伝送を可能にする技術で、特に都市部において省スペース、省コストなエリア構築が可能になるとしている。

 同社が屋外実験に成功したと発表したのは、LTE-Advancedで必要なアンテナ4本相当によるMIMO伝送を、基地局のアンテナ1本で実現する技術。これまでは、偏波技術を用いて、基地局のアンテナ1本を2本相当にするMIMO伝送が限界で、1Gbps以上の通信速度を実現するためには、アンテナ2本を用いて4本相当としていた。

 新たに開発されている「Smart Vertical MIMO」では、アンテナ1本(偏波技術で2本相当)を上下のグループに分割することで、4本相当を実現する。グループ分割を行うとアンテナ性能が劣化し、エリアが狭くなるため、ユーザー側の端末の電波の受信状態に応じて、グループ分割の有無を切り替えられる。これにより、ユーザーの通信状況に応じて伝送方法を切り替え、最適な通信環境を提供できるとしている。

「Smart Vertical MIMO」のコア技術

 実験は、3.9GHz帯で100MHz幅を使って行われ、神奈川県横須賀市の郊外、相模原市の市街地環境で実施された。端末にあたる2台の基地局車を屋外で走行させ、基地局のアンテナ1本で2台の端末に対し合計1.2Gbpsの通信速度でMIMO伝送することに成功している。

 同社は、2015年度中に提供する予定としているLTE-Advancedの通信サービスを開始後、早い段階で「Smart Vertical MIMO」の技術を実用化させる方針。

屋外実験の概要

太田 亮三