ニュース

ソフトバンクが株式分割する理由、PayPayポイント付与に期待する効果

 若年層の個人株主拡大を目的に、ソフトバンクが株式分割を行う。あわせて株主優待としてPayPayポイントを提供する。

株式分割で若年層呼び込む

 10月1日に10分割の株式分割を行う。本稿執筆時点で同社の株価は約2000円(1株)。単元株(100株)で取得しようとした場合、現在はおよそ20万円が必要になるが分割後は2万円程度に購入単価が引き下がることになる。

 あわせて、2025年3月31日を起点として1年間、同社の株を保有すればPayPayポイントが1000円分付与される株主優待が新設される。株主優待を受けるには、1単元株以上の保有が条件となる。同社では、1単元株を保有した場合、配当と株主優待をあわせて実質の年間利回りが9.3%になるとしている。

 株式分割を実施する狙いは、個人投資家の若返りだ。ソフトバンク株の個人株主はその55%を60代以上が占め、30代以下の若年層は13%にとどまる。個人投資家の割合や株主数も減少傾向にあるという。日本の証券口座保有者における年齢分布は、ソフトバンク株主の構成と似通っているものの、証券口座を保有する向きが増えていることから今後、同社では人口分布に近いかたちになると見る。こうした状況を踏まえ若い世代の投資を後押しする。

2030年に若年層を30%に

 現状では、ソフトバンク株を買おうとすると20万円が必要になるが、若年層にとっては気軽に使える額とは言い難い。同社が示す資料によれば20代の1カ月の貯金額の平均は3万7000円、30代では3万9000円。

 これを10分割、1単元株2万円程度とすることで1カ月分の貯金からも取得できるようにする。今後数十年の経済を牽引することになる、若年層にも株主になってもらうことで、中長期的な企業価値の向上を図る。

 既存のソフトバンク株主を含めて投資家へ魅力的な株主優待についてアンケートを取ったところ、PayPayポイントが首位だった。既存株主やソフトバンクへ投資を検討している投資家、同社へ投資する予定のない投資家のいずれも半数程度がPayPayポイントを選んでいる。

 PayPayアプリは多くのサービスの入口にもなっている。株取得をきっかけに、ソフトバンクグループのサービス利用や事業への関心の惹起を高め、ロイヤルユーザーな株主を増やし事業の拡大へつなげる。今後若年層に向け、各種SNSなどで情報発信を通じて投資を呼び込むことなどが検討されており、2023年を目途に30代以下の個人株主の割合を人口構成比と同等の30%とすることを目指すとしている。