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「最安」から「最適」 HISモバイルがAIのアドバイス受けられる新料金プラン

 H.I.S. Mobileは、MVNOサービス「HISモバイル」で新プラン「自由自在 2.0プラン」の提供を開始した。月額利用料金は280円~。

H.I.S. Mobile 猪腰社長

 新プランは、月間データ容量は100MB~30GBまで取り揃える。100MBの場合、月額280円。1GBでは550円、3GBで770円、7GBで990円、10GBで1340円。20GBと30GBの場合は6分かけ放題がついてそれぞれ2090円と2970円で利用できる。データプランについても今回の改定にあわせて値下げされている。

最安から最適に

 H.I.S Mobile 猪腰英知 代表取締役社長はこれまでのHISモバイルの課題をあげる。7GBプランを契約して7GBを使い切っているユーザーが70.2%おり、同様に20GBプランを使い切るユーザーも契約者の過半数を占めるという。一方で契約容量を極端に下回る利用しかないユーザーも少なくない。オプションを見てみると「5分かけ放題」についても5分を超過するユーザーが多いという。

 今回の新プランでは、10GBプランと30GBプランを新設。5分かけ放題が6分かけ放題になったのはこうした利用実態に基づく。HISモバイルは月額290円という安さをアピールしてきたが「最適プラン」という新たなコンセプトをかかげる。

 最安プランは月額280円(100MB)と10円値下げしており、20GBプランも同様に値下げ。高容量帯については6分かけ放題も付帯する。低い容量帯ではほかのMVNO各社、中容量帯から上では大手キャリアのサブブランドに対抗することを意識した。

 一方で50GBプランは廃止された。大容量を求めるユーザーは、大手キャリアの無制限プランへ移行する流れがあり、猪腰社長は大容量も強化するかを検討したが、大容量を利用するユーザーが増えると、サービス品質維持に影響が出るとして廃止を決断した。

AIによるプラン最適化

 新プランでは、AIによるプラン選びの最適化も図る。実際にユーザーが使うデータ通信容量と、選ばれているプランには乖離があることが多い。通話オプションでも同じ課題があるものの、需要にあわせてプランの選択肢を増やすと、選ぶのが難しくなるという新たな不都合も起きる。

 一度選んだプランは、見直されることなくそのまま使われるケースも多いという。そこでAIを活用して、実際のユーザーの利用動向を分析。より適したプランを提案する。データは3カ月間の利用実績に基づく。日によって多寡が出るデータ使用量や通話の頻度もAIを導入することで、最適なプランが利用できるようになるとする。

 通信の状況や通話履歴、ほかに属性などを集計してそれをもとに解析する。オプションとして提供され、申し込む必要がある。利用4カ月目からプランの提案を受けられ、HISモバイルのマイページから確認するかたちを想定している。

Sparticle Tang Jingsong 共同創業者・CSO

 AIはSparticleとともに開発。2019年に創業した企業でAI翻訳の「Felo瞬訳」などを手掛ける。Felo瞬訳は、HISモバイルユーザーの特典に含まれる。H.I.S MobileとSpartcleは今後、業務効率化などの面で協業する。

グループ横断で特典を提供

 HISグループとモバイルサービスの連携を強化する。ユーザーアンケートによると「HIS」なら旅行に関する特典がほしいという声が多く聞かれた。そこでグループとの連携を活かしたユーザー特典を用意する。今回発表のものは第1弾。今後も特典は拡充される見込み。

 HISグループのグループパーパスとして掲げられているのが「『心踊る』を解き放つ」。猪腰社長は、モバイル通信の契約そのものはなるべく節約してもらい、同社グループの本業である旅行に関連するサービスを提供することで価値を提供したい考えを話す。

 コロナ禍で大きく影響を受けたHISグループだが、時間の経過とともに余裕ができたこともあり、今回のようなグループ連携の特典提供に至った。HISモバイル側からの積極的な声がけで実現したという。

 猪腰氏は新プランの訴求ポイントを「安さ」としつつ、そうした流れに変化が必要という考えも示した。「単に安いプランを売るだけではHISがやる意味がない。HISグループ全体に寄与できる会社になるよう変化していきたいと思う」と話す。一方でまだ始まったばかりの取り組み。グループ他社からは「期待はあまりされていないかも」としつつ「実績が出れば、自ずと期待はされると思う」と熱意を示す。

2台目需要もチャンスある

 2022年に楽天モバイルの「0円」が廃止になって以降、HISモバイルも乗換の需要が増えた。当時は、MNPで転入してきたうちの4割ほどが楽天モバイルからだった。あわせてeSIMの新規契約者の比率推移は8月時点で20%。普及は進みつつあり「2台目需要はやり方次第でチャンスが多いと思う」と猪腰社長は所見を述べた。

 楽天モバイルが契約者数を堅調に伸ばしているが猪腰社長によれば、影響はあまりない。多少のユーザー離れは感じているとしつつ「楽天モバイルが盛り上がれば、よくも悪くも(契約を)動かさなかった人を動かしてくれている感がある。HISモバイルとしてはウェルカム」とした。

 このほか昨今、不安の声が聞かれるドコモのネットワーク品質についても言及。同社ではドコモ回線で事業を行っている。品質について「HISモバイルの問題だと思われている」と、知名度の差から同社の問題と思われている現実を話した。

 今後について、旅行に関連する「ワクワクするような」キャンペーンやモバイルのキャンペーンもあわせて「通年でやり続けたいと思っている。HISモバイルユーザー以外も応募できるので、そうした方とも触れ合っていきたい」とした。