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基地局シェアのJTOWER、米デジタルブリッジによる株式公開買付けに賛同

 JTOWERは、米デジタルブリッジ(DigitalBridge)による公開買付けに賛同すると発表した。現在は東証グロース市場に上場しているが、廃止される見込み。

 買収は、デジタルブリッジが管理するディービー ピラミッド ホールディングス LLCを通じて行われる。公開買付期間は8月15日~10月10日。現在はJTOWER代表取締役社長の田中敦史氏の資産管理会社やNTT・NTTドコモ、KDDIなどが株主だが、上場廃止後は、デジタルブリッジがJTOWERの株式の81.82%を保有する。なお、現在の経営陣が続いてリードしていく予定という。

 デジタルブリッジは米国に拠点を置き、携帯電話の基地局を設置する鉄塔や、光回線、小型基地局など通信インフラ企業へ投資する企業。一方のJTOWERは、日本国内で、通信用鉄塔などを運用し、携帯電話各社で共用できるようインフラシェアリング事業を営んできた。

JTOWERの通信設備装置(2023年3月撮影)

 14日に発表されたJTOWERの2024年度第1四半期の業績のうち、売上高は、前年同期比78.2%増となる約37億円だったが、営業利益は保有する鉄塔が拡大して固定資産税が増えたことなどが影響して同62.3%減の6800万円だった。

 国内では、携帯電話各社が競争の一環として、サービスエリア拡充に注力し、基地局を増加させてきた。しかし、5Gになると、用いる周波数が高くなり、遠くまで届きにくい基地局も増えており、特に郊外を中心に携帯電話各社が同じ設備に相乗りする方向で調整が進められてきた。

 JTOWERは、そうした環境の変化に商機を見出しているものの、「株価の状況により資金調達に制約が生じる可能性がある」「短期的な収益性が重視され、将来を見据えた先行投資が実施しづらい」として、株式非公開を前提にしたデジタルブリッジによる買付を受け入れることにしたという。