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モトローラが「razr」の最新モデル「motorola razr 50 ultra」「motorola razr 50」発表 日本でも発売予定
2024年6月26日 01:00
米モトローラは、6月24日(現地時間)、折りたたみスマホの「razr」シリーズの新モデルとなる「motorola razr 50 ultra」と「motorola razr 50」のグローバルローンチイベントをニューヨークで開催した。
両モデルとも、前モデルのrazr 40シリーズより外部ディスプレイがさらに大きくなり、カメラ性能もアップ。グーグルの「Gemini」アプリがプリインストールされ、外部ディスプレイにGeminiを呼び出し、利用することが可能になる。
グローバルで成長著しいモトローラのプレミアムブランド
製品の紹介に入る前に、「プレミアム製品に深く関わる」として、モトローラのカスタマーエクスペリエンス&デザインのヴァイスプレジデント、ルーベン・カスターノ(Ruben Castano)氏がモトローラのビジネスについて簡単に説明した。
この6カ月間、世界での販売台数が前年比で28%伸びただけでなく、特にプレミアム製品の「edge」と「razr」シリーズのフランチャイズの販売台数(販売チャネルに投入された台数と消費者の手に渡った台数)が倍増したという。携帯電話市場が縮小している中でもモトローラの業績は好調だ。
地域別では、以前から南アメリカでのシェアが高く2位。北米でも、最近の数四半期は力強い成長を遂げている。また、アジア太平洋地域では、特にインドと日本で大きく成長しているという。欧州・中東・アフリカも好成績を残しており、前年同期比72%の成長。edgeとrazrのプレミアム製品に限れば、前年同期比90%増だ。ポーランド、北欧、ブルガリア、ルーマニア、スロバキアではシェア3位に位置している。
razrシリーズについては興味深いデータがある。
razrの現行製品について調べるために、当社のウェブサイトにアクセスする全ユーザーの50%がiOS製品からアクセスしている。北米に限れば78%がiOSデバイスからだ。また、グローバルではそのうち18%(北米では20%以上)が実際にrazr端末を購入しているという。
北米で販売されているフリップタイプのスマホは、ほぼモトローラのrazrとサムスンのGalaxy Z Flipのみ。その中でrazrは優位に立っている。NPS(ネット・プロモーター・スコア)は前モデルから1.5倍上昇し、「大きな自信と勢いを与えてくれた」(カスターノ氏)という。
カスターノ氏は、razrは「手の中にすっぽり収まるコンパクトサイズで、一日中持ち運べるものでなければならない」といい、新たなrazr 50シリーズでは耐久性や品質を大幅に向上させた。
両モデルには最新のAndroid 14が搭載され、独自に開発した「moto AI」で画像処理やコンテンツ作成が進化する。また、端末のカラーはパントン、音質とノイズキャンセリング機能はBOSEが監修。フロントディスプレイにはコーニングのゴリラガラスVictusが採用されている。
両モデルの特徴を詳しく説明
両端末のより詳しい特徴は、グローバルのプロダクトマーケティングを担当しているトーマス・ミルナー(Thomas Milner)氏が説明した。
razr 50シリーズは、大きなアウトディスプレイを備え、ソフトな触感のヴィーガンレザーで仕上げられている。
razr 50 ultraのカラーは、Midnight Blue、Spring Green、パントン(PANTONE)が2024年の色として選んだPeach Fuzzのほか、「2000年代初頭のケータイ時代のrazrへのノスタルジックな思いを込めた」Hot Pinkの4色展開(カラーは地域によって異なる)。razr 50はKoala Grey、Beach Sand、Spritz、Orangeの3色だ。素材は耐久性に優れ、汚れに強く、時間が経っても色あせしないという。
両モデルとも、コーニングの「Gorilla Glass(ゴリラガラス) Victus」を採用し、バッグの中に入れていてもカギなどで傷がつきにくい。
また、前モデルはIP52で雨の影響を受けない程度の防水防塵だったが、今回はIPX8の防水性能を備え、水の中での使用が可能になった。
新たに進化したウォータータッチ・テクノロジーにより、ディスプレイが水に濡れていても、タッチ操作にしっかり反応するとのことだ。
ヒンジのサイズは前モデルより30%小さくなった。これにより、「より信頼性が高まり、頑丈になった。ディスプレイに残る折り目も最小限に抑えられる。片手で簡単に開閉できる」という。実際に触れてみた感覚では、確かに開閉が軽くなった印象だ。もちろん、引き続き途中まで開いた状態をキープできる。
ディスプレイはともに6.9インチ、2640×1080ピクセル フルHD+の有機EL。リフレッシュレートは50 ultraは最大165Hz、ノーマルモデルは最大120Hz、最大輝度はともに3000nitとなっている。滑らかで明るい表示を実現した。
閉じたまま多くのことができるアウトディスプレイは、「razr 40 ultra」の3.6インチから「razr 50 ultra」では4インチへ、ノーマルモデルは「razr 40」のときの1.5インチから「razr 50」で3.6インチと、より大きくなった。
モトローラが調べたところ、razrのユーザーはアウトディスプレイを平均1日75分間も使っているという。そこで使い勝手に改良を加え、よりカスタマイズできるようにした。
新たにピンチ・トゥ・ズーム機能も追加された。ピンチインしてズームアウトすると、すべてのパネルを一度に見ることができ、利用したいパネルを簡単に選択できる。その画面で新しいパネルを追加したり、削除したり、順番を変えたりすることができる。
また、外部ディスプレイは音楽を楽しみやすくなっている。Spotifyのパネルでは、再生コントロールや曲の変更ができるほか、気分に合わせてキュレーションされたプレイリストを選ぶことが可能。イヤホンのMoto Budsパネルでは、ペアリングしたヘッドセットの状態を確認したり、設定を調整したりできる。これはBOSEのヘッドセットでも利用可能だ。
さらに、バッテリー寿命を最適化する技術によって、要望が多かった常時表示にも対応した。
「デスク・ディスプレイ」という新しい機能も搭載された。端末を途中まで曲げる「テント」「スタンド」の状態でテキストや写真、時計を表示できる機能だ。ユーザーが好みにカスタマイズすることができ、「クリエイティビティを発揮できる」としている。
カメラも着実に進化
カメラは、50 ultraがメインカメラ、光学2倍の望遠カメラとも5000万画素。ノーマルモデルは5000万画素のメインカメラと、マクロ撮影にも使う1300万画素の超広角カメラを備える。
5000万画素カメラは光学式の手ぶれ補正機能を備え、4つのピクセルを1つにするクアッドピクセルテクノロジーでより明るい写真が撮れる。フロントカメラはともに3200万画素だ。
端末を曲げてデスク上に置き、メインカメラを使ってセルフィーができるのはもちろん、50 ultraはAIの力で、2倍以上ズームしても画質が落ちないように配慮されている。
また、動画撮影モードが強化。razrは端末を90度に折り曲げて動画を撮るスタイルを提案しているが、新モデルではユーザーがカメラを開き、デバイスを90度開くだけで、自動的に録画を開始するようになった。
50 ultraはハイエンドチップセットを搭載
両モデルとも、より大型のバッテリーを搭載し、高速充電に対応している。50 ultraのバッテリー容量は4000mAh、45Wの高速充電、15Wのワイヤレス充電が可能。リバースチャージにも対応している。ノーマルモデルはultraよりも大容量の4200mAh。30W高速充電、15Wのワイヤレス充電に対応する。
なお、両モデルとも、OSアップデートは3回、セキュリティアップデートは4回提供される。
外部ディスプレイが大きく、望遠の有無は異なるがメインカメラは5000万画素と、あまり差がないように見える両モデルだが、大きく異なるのはチップセットだ。
「razr 50 ultra」はSnapdragon 8s Gen 3 MobilePlatform、ノーマルモデルの「razr 50」はMediaTek Dimensity 7300Xを採用する。
ミルナー氏はSnapdragon 8s Gen 3について「業界をリードする性能に加え、AIに対応した一連の新しい機能を実現する」とコメント。両端末でAI関連機能に差が出るのかもしれない。
外部ディスプレイで使える「Gemini」を初めて搭載
ソフトウェアやAI機能については、グローバル・プロダクト・マーケティングを率いているニコル・ヘーガン(Nicole Hagen)氏が説明した。
AIにより、「カメラ、バッテリー、ディスプレイ、そしてrazrデバイス全体の性能に至るまで、インテリジェンスが織り込まれている」とヘーガン氏。ただ、最も大きなトピックは、グーグルと提携し、「Gemini」アプリをプリインストールしていること。
これによって、「razrは初めて、デバイスを開くことなく、外部ディスプレイから直接Google Geminiアプリにアクセスできるようになった」。razrのユーザーは、追加料金なしで「Gemini Advanced」を3カ月間利用できる特典も付くという。
写真補正エンジンはダイナミックレンジを向上させ、デジタルズーム時にもディテールを再現する。AIがソフトウェアベースのボケと低照度環境での高度なノイズズリダクションの両方を可能にするという。これらの処理は非圧縮の生画像データ内で行われ、さまざまな撮影モードの長所を融合させ、より良い画質を実現しているという。
また、アダプティブ・スタビライゼーションがAIを使用してユーザーの移動速度を判断することで、歩いても走っていても、自転車に乗っていても電車の中でも、スムーズな動画を撮影できるようになるという。これは両モデルに搭載される。
「razr 50 ultra」には、さまざまな照明条件に合わせてシャッタースピードを自動調整する機能が搭載。暗い環境でもシャープで精細な写真を撮ることができる。
このほか、動画はオートフォーカストラッキングで、被写体が動いてもフォーカスを合わせ続ける。
長時間露光を使えば、専門的な機材がなくても、動きのあるクリエイティブな写真をワンタップで撮影することができるとした。
着ている洋服を撮影し、サーバーにアップロードすると、洋服のテイストに近い4つのユニークな画像が生成される「スタイルシンク」もAIによって可能になる機能。生成された画像は壁紙に利用でき、衣服と統一されたスタイルを楽しめる。また、テキストプロンプトを入力すると、それをビジュアル化してくれる「Magic Canvas」も導入される。
ヘーガン氏は、「moto AIは、コンテキストを認識し、パーソナライズされ、協調的で、革新的な生成AIソリューションでスマートフォン体験を向上させる。今後数カ月の間に、いくつかの新しいmoto AI機能を発表する予定」と語っていた。