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「Discord」で町おこしを議論、ドコモと北海道上川町がWeb3で挑戦

 NTTドコモと北海道上川町が、パートナーシップを締結した。「未来共創パートナーシップ」として上川町のデジタル化への取組みなどをドコモがサポートする。

左=NTTドコモ 田代氏。右=上川町 西木氏

Discord上で町おこしに参加

 取組みの第1弾として「上川超ギルド」(かみかわハイパーギルド)を始める。上川町の地域資源を活用するアイデアを参加者で議論。具体的な実行プランを決定し、地域創生につなげる狙い。超ギルド内では参加者にNFTが与えられ、メンバーとして活動。3カ月に1プロジェクトを進行するとしている。

 従来、町職員や住民などが携わっていた町としてのプロジェクトだが、上川町に住民票を持たない人でも関係人口として、対話に参加することができる。コミュニケーションツール「Discord」上で話し合いの場を開設し、オンラインで行う。Web3技術を活用して取組みを進めるとされており、協定では医療や健康、子育て、防災などのインフラ維持、観光など地域産業の発展、スタートアップ創出のほかデータ資産の活用なども含まれる。ギルドNFTは、ふるさと納税で手に入れられるよう準備を進めるという。

 ドコモは、すでに上川町に拠点をおく上川大雪酒造とともにNFTを活用した施策を実施している。今回、同社と上川町のあいだで居住地に左右されず、参加者が対話・協力してプロジェクトを推進することで町おこしにつなげるべく、協定の締結に至った。

 同社としては、上川町超ギルドのコミュニティマネジメントを実施。参加者へのインセンティブ面やAI・ドコモの人員の力を駆使してコミュニティを支えるという。メタバース空間「MetaMe」を使い、町の魅力発信などを行うことが検討されている。

世界に発信できる新たなモデルに

 上川町は、北海道「大雪山国立公園」の北方部に位置する町で、人口は約3100人と比較的小規模な自治体。「日本一早い紅葉」が見られるなど自然を活かした観光資源を持つ。新しい働き方をテーマに移住者や関係人口の創出を目指す「カミカワークプロジェクト」などに取り組んでいる。

 上川町の西木光英町長は、同町が「北海道でも人口規模が小さく今後も人口減少が続く、多くの地域課題を抱えている」としつつも、これまでの取組みの結果、若年層の移住や企業の進出が始まっているなどの成果があったことを語る。「誰も取り残されない社会を官民で共創する。さまざまなステークホルダーとともに社会課題解決に臨み『人が主役の街』『人が主役の社会』を目指す」とした。

上川町や今回のプロジェクトに関連する人々によるイベントも開催された

 NTTドコモ 執行役員・新事業開発部長の田代浩司氏は、同社がさまざまな社会課題解決に取り組んでいることを説明し、上川町の「人が主役の街づくり」に共感し今回の協定締結に至ったと語る。Web3技術を活用して「デジタルの世界で上川町をべースにしたコミュニティをつくり、リアルにつなげ、関係人口拡大を目指す」とした。デジタルとリアルをつなげる街づくりは新たな取組みになり、成功すれば世界に新しいモデルを発信できるとその意義を示した。

 プロジェクトに参加するメンバーは、12月にも募集を開始する予定。2025年以降にも勉強会やアイデア出し・実際の計画を進めていく。