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ドコモ、愛知県の新アリーナ建設へ参画――5Gや先端技術活用の次世代体験を提供

 NTTドコモは、愛知県が実施する「愛知県新体育館整備・運営等事業」へ参画すべく、愛知県と基本協定を結んだ。

 愛知県が進める新体育館整備は、現在名古屋市にあるドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)を代替するもの。現在のアリーナは東京オリンピックが開かれた1964年に完成した。

 現在も大相撲名古屋場所の会場に使用されるなど、市民から親しみを持たれる象徴的施設だが、一方で施設の老朽化が進行し、設計の古さから設備や規模などの面において、国際水準を満たさなくなってしまったなどの課題を抱えている。

 新アリーナ建設は、コンソーシアム「Aichi Smart Arena」が中心となって進められる。メンバーは、NTTドコモ、前田建設工業、Anschtz Sports Holdings、三井住友ファイナンス&リース、東急、中部日本放送、日本政策投資銀行、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの8社。

愛知県 大村氏
ドコモ 井伊氏

 発表の場では、愛知県知事の大村秀章氏があいさつ。また、NTT ドコモ 代表取締役社長の井伊基之氏も同じく挨拶に登壇。井伊氏は「こういった新しいモデルになる事業に参画できて身の引き締まる思い」とコメント。海外では、同様のアリーナは多数のテクノロジーを注ぎ込まれて観客の感動体験につなげていることを紹介し、そうしたことをモデルにしたと紹介した。

 今後30年間、運営を継続するには継続的な発展が不可欠と井伊氏。「今後30年のうちには6Gもその先も来る。そうした新しい技術をどんどん取り入れていくという面で力を発揮したい。コンソーシアム8社でひとつになり頑張っていく」と語った。

3つのコンセプトで進める

 NTTドコモ コンテンツビジネス部 スポーツ&ライブビジネス推進室 ベニュービジネス 担当部長の石村彰啓氏は、新アリーナのコンセプトを「Global」「Community」「Smart」の3つと説明する。

ドコモ 石村氏

 世界でも最高水準を目指し、グローバルなコンテンツの招致も図る一方、住民のスポーツや文化の拠点としての利用も目指しつつ、最新のテクノロジーの積極的な導入を推進するという。

 アリーナの設計は、高輪ゲートウェイ駅やサントリー美術館などを手掛けた隈研吾氏によるもの。高い天井を持ちスポーツや音楽イベントなどさまざまな興行に適した機能で、建設予定地である名城公園の緑と調和するデザインという。

ICT活用で次世代体験

 また、同アリーナでは来場者への新たな体験の提供も試みていく。「リアルとバーチャルを融合」させたエンターテイメントとしてXRを用いたライブなどの実施が検討されている。石村氏によると、新しい技術などの実証実験なども実施する一方、商業施設であるため、商用の設備として新技術を取り入れた上で、それらを活用したイベントを検討しているという。

 新体感ライブ CONNECTとの連動などでリモートライブ配信なども検討されているほか、コンタクトレス技術の導入でコロナ禍のニューノーマル時代に適応した運営も実現する。

 さらに、Smart Arenaでの技術面での連携は、建設当初に設備を提供して終わり、というものではなく継続してその時々の最先端の通信技術やサービスを導入していくという。同施設の完成は2025年だが、5Gはもちろん完備し、6Gの実証実験などの場としても活用できるのではと石村氏。

海外イベント誘致・市民への開放も

 運営を担当するのは、AEG。同社は同種のアリーナの設計から運営までにノウハウを持つ企業で、Smart Arenaでは同社のネットワークを活用して海外イベントの招致を担当する。また、国内イベントについては、ドコモとCBCの両社が持つそれぞれのリレーションを活用するという。

 加えて、卓球イベントの招致やダンスエンターテイメントの大会などを開催することで、スポーツの聖地化も図っていく考え。

 プロスポーツイベントやエンターテイメントのみならず、サブアリーナや多目的ホールは一般の利用者に開放。また、官民の連携強化やアリーナの運営で得られたテクノロジーはオープン化し新たな産業の創出を狙う。

 加えて、こうした取り組みに愛知県が選ばれた理由として「(愛知県が)グローバル水準のものを作る、世界中から興行を誘致するという意志が非常に強かった。官民連携でこうしたことができる機会はまたとない機会。非常に貴重な場だった」と語った。