ニュース

クアルコムがスマホ向け新チップセット「Snapdragon 8s Gen 3」発表

 米クアルコムは、スマートフォン向けの新たなチップセット「Snapdragon 8s Gen 3」を発表した。Honorやシャオミ、Redmiなどで採用される予定で、搭載するスマートフォンは今後数カ月以内に発表される予定で、最初の対応製品は3月中に発表される。

 「Snapdragon 8s Gen 3」は、クアルコムのフラッグシップ向けチップセットであるSnapdragon 8シリーズの最新製品。デバイス上の生成AI機能、常時検知型の画像処理プロセッサー(ISP)、ゲームでの描画性能のさらなる向上、ロスレス(ハイレゾ)対応の高精細なサウンドがサポートされる。

 生成AIでは、Baichuan-7B、Llama 2、Gemini Nanoなどの大規模言語モデル(LLM)を含む、幅広いAIモデルがサポートされる。プロンプトや画像をもとに、オリジナルコンテンツを生成できる。たとえば、被写体と風景を組み合わせた写真に対して、記録されていないその周囲の風景を生成・追加する「フォトエキスパンション」も利用できる。

 カメラ関連では、トリプルコグニティブISP(画像処理プロセッサー)が用意され、最大200MP(2億画素)センサーに対応。たとえば人を撮影するとき、カメラで捉えた被写体のうち、髪や顔、風景、服など最大12レイヤーで個別に認識して、それぞれに適した処理を施す。

 暗い場所でも明るく記録するSnapdragon Low Light Visionも用意される。

 カメラを超低消費電力の常時検知センサーとして活用でき、顔認証やモバイル決済時の認証で、スピーディに認証・ロック解除ができる。

「Snapdragon 8s Gen 3」は何が違うのか

 Snapdragonには、8シリーズに次ぐ7シリーズ、ミッドレンジ向けの6シリーズ、エントリーレベルの4シリーズがラインアップされている。

 今回の「Snapdragon 8s Gen 3」は、昨秋発表された「Snapdragon 8 Gen 3」と同じ8シリーズだが、生成AI関連で「Snapdragon 8 Gen 3」より処理能力が下回る面が多いものの、ほとんどの機能は「Snapdragon 8 Gen 3」と同等となっている。

 生成AI以外では、カメラ機能とAI機能を組み合わせた要素において、夜の動画撮影(ナイトビジョンビデオキャプチャー)は、「Snapdragon 8s Gen 3」でサポートされていない。また、動画から指定した被写体を消すというArcsoft提供の機能は非対応。ドルビー(Dolby)によるHDR写真撮影技術や、写真の履歴を記録するC2PA、インカメラと同時に撮影する「Vlogger's View」も非対応となる。

 また、「Snapdragon 8 Gen 3」のモデムはX75だが、「Snapdragon 8s Gen 3」はX70になる。ミリ波対応(最大8キャリア、2×2 MIMO)やSub-6(6GHz帯以下の周波数)での対応(4×4 MIMO)などは同等だが、「8 Gen 3」は下り最大10Gbpsになるのに対して「8s Gen 3」は下り最大5Gbpsになる。なお、上り速度はどちらも最大3.5Gbps。

 なお、Snapdragon 8 Gen 2と比べると、「Snapdragon 8s Gen 3」は、オンデバイスAIをサポートするほか、通信面では、3GPP Release 17のサポート、5G通信時の低電力化などで秀でている。

CPU構成

 また、CPUはどちらもArmの「Cortex-X4」だが構成が異なる。「Snapdragon 8 Gen 3」が最大3.4GHz駆動のプライムコア1つ、3.2GHz駆動のパフォーマンスコア×5、最大2.3GHz駆動の高効率(エフィシェンシー)コア×2という構成となる一方、「Snapdragon 8s Gen 3」は最大3GHzのプライムコア×1、2.8GHz駆動のパフォーマンスコア×4、2GHz駆動の高効率コア×3となっている。

 クアルコムでは、「Snapdragon 8s Gen3」により、フラッグシップスマートフォンの体験が、より身近なものになる、とアピールしている。