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高高度の“空飛ぶ基地局”と地上つなぐ周波数に700MHz帯や1.7/2.5GHz帯追加、国際機関で日本提案

 総務省は、11月~12月に開催された国際機関の会合で、日本からの提案により、高高度を飛行する無人飛行機プラットフォーム(HAPS、High Altitude Platform Station)と地上の携帯電話をつなぐ周波数が追加されたと発表した。

 会合は、国際電気通信連合(ITU)の世界会議(WRC-23)として開催されたもの。HAPS以外にも、衛星と携帯電話の直接通信に使う周波数についても検討が始まることになったほか、5G以降で使う周波数の拡大なども議論された。

HAPS用の周波数

 これまでHAPSを携帯電話基地局とする場合、国際的には2GHz帯を利用することが認められていた。

ソフトバンクのHAPS向け無人航空機「Sunglider」

 一方、一般的に世界中で使える携帯電話用の周波数として2GHz帯に加えて、700~900MHz帯や、1.7GHz帯、2.5GHz帯が利用されている。しかし、2GHz帯以外については、HAPSでは利用不可となっていた。

 総務省の発表によれば、WRC-23では、日本からの提案により、HAPSで使える周波数を増やすことの検討が進められた。その結果、国際的には1.7GHz帯と2.6GHz帯が追加されることになった。

 また、日本を含む複数の国で、700MHz帯もHAPS用として利用できることが決まった。

 いずれの周波数も、携帯電話端末側ですでにサポートされている周波数となる。既存周波数に対応する基地局装置を搭載するHAPSが上空にあれば、一般的な携帯電話で、HAPSを使って通信できることが期待される。

衛星との直接通信

 WRC-23では、衛星との直接通信において、694/698MHz~2.7GHz帯を分配し、一般の携帯電話と衛星が直接つながることに向けた検討が進められることになった。

 2027年の次回会合(WRC-27)に向けて技術面での検討が進められ、日本は提案国として議論に貢献していく。

5G/Beyond 5G向けの新周波数

 5Gと、その次の世代の通信規格を指すBeyond 5G(6G)などで使える周波数の分配も合意に至った。

 欧州・中東・アフリカなどでは、6,425~7,025MHz、欧州・中東・アフリカ・アジアなどは7,025~7,125MHzが使えるようになる。

 また、WRC-27で、4,400~4,800MHz、7,125~8,400MHz、14.8~15.35GHzという帯域を追加する対象として、検討することも合意されている。