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アドビ「Premiere Pro」で文字起こしベースの動画編集を強化、AIで“動画編集”裾野拡大へ

 アドビは、動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」「After Effects」などの新機能を発表した。ベータ版は9月13日に提供が開始され、一般ユーザーには、今秋に展開される。

 新機能提供の背景として、YouTubeやTikTok、Instagramなど動画SNSの流行で、日本を含め、動画編集スキルに関心を持っているユーザーの増加傾向がある。また、リスキリングや副業としての動画編集需要も高まってきている。アドビでは、動画編集ソフトのひとつでは、編集がより手軽にかつ高速でできるよう、AIの活用に取り組んでおり、その成果のひとつとなる。

Premiere Pro

会話中のノイズ除去機能

 「Adobe Premiere Pro」では、人物の声をAIで検出し、背景のノイズをワンクリックで除去する機能を提供する。

 この機能を利用すれば、カメラ内蔵のマイクやスマートフォンの本体マイクなどで収録した動画を使って、かんたんに高品質のインタビュー動画を作成できる。

 元となる素材は、最近収録した動画だけでなく、数十年前の動画などもサポートするため、古い動画をあらためて編集する場合にも利用できる。

会話中のノイズ除去機能イメージ

文字起こしベースの編集機能

 2023年5月にリリースされた文字起こしベースの編集機能では、インタビュー動画など動画中の会話を文字起こしし、起こした文字を編集することで、もととなった動画を編集できる機能。

 今秋のアップデートでは、文字起こしから「あの」や「えーと」といった“フィラーワード”を検出できる。検出した箇所はワンクリックで削除できるため、タイムラインを遡りながら編集する手間なく、高いクオリティの動画を作成できる。

 この機能では、息継ぎなど発話がない短い時間も検出できる。検出する精度(どれだけの秒数発話がなかったか)を調整し、その部分だけ削除できるので、数回のクリックで違和感がない動画を作成できる。

文字起こしベースの編集機能イメージ

 Premiere Proでは、このほかカラー処理の最適化やタイムラインの高速化、クラッシュ時の自動復元機能など信頼性の向上が図られている。

After Effectsでは3Dモデルを読み込んだ動画作成機能

 After Effectsでは、3Dモデルを読み込んだモーショングラフィックス作成機能「True 3D ワークスペース」が登場する。

 3Dモデルを読み込み、アニメーションやライティング、シェーディングを適用した動画を作成できる。また、Adobe Creative Cloudライブラリーでは、無料のSubstance 3Dアセットが用意されるという。

 また、激しくダンスする人など、手足の重なりや毛髪といった細かいものまで検出し切り抜くことができるAI搭載ロトスコープ機能も強化される。