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ドコモ井伊社長肝いりの「オンライン窓口」発表、ドコモショップ改革の第一歩に

 NTTドコモは、オンラインをベースにしたユーザーサポート「ドコモのオンライン窓口」を2月28日以降に開始する。ユーザーの悩みを解消する「オンライン手続きサポート」(3月27日開始)と、機種変更時などにショップ店員と相談できる「オンライン来店」(2月28日開始)サービスを開始する。利用料はどちらも無料。

 自分に合った料金プランの相談や、オンラインショップだけでは機種を決めきれない、在宅勤務などでなかなかショップに出向きにくいユーザーなどのニーズを汲んだサービスとなっている。

オンライン手続きサポート

 「オンライン手続きサポート」は、ユーザー自身で手続きをしたいユーザーに向けて提供される。ネット検索や周りのユーザーに聞き手続きを完結させていたものが、「オンライン手続きサポート」のチャットやビデオ通話などで手続きをサポートする。

 AIチャットボットでは、専任の担当者が回答。ビデオ通話機能では、アバターによる接客でサポーターが実際のカタログや画面などで手続きをサポートする。

オンライン来店

 「オンライン来店」では、ビデオ通話でドコモショップのスタッフと相談や機種変更の手続きなどができる。実際の機種やカタログなどを提示しながら、オンライン上で手続きまで完結できる。

 「オンライン手続きサポート」と異なるのは、実際の手続きは従来の実店舗同様にショップのスタッフが手続き/登録を実施する。

 プラン変更や住所変更、dTVの契約などができる。新規契約やスマートフォンの購入など、対応サービスは順次拡大するとしている。

ショップによって差は出てくるのか?

ドコモ オンラインCX部長の岡 慎太郎氏

 ドコモ オンラインCX部長の岡 慎太郎氏は、オンライン来店のしくみについて、代理店ごとに参加の可否を判断しているとし、ドコモ側から代理店側に参加を強制するようなことはしていないという。サービス開始当初は、全国580店舗でスタートし、稼働体制の確保などを経て4月には全国の6割近くショップが参加するとしている。

 現在は、オンラインだけで解決するような住所変更などの手続きを中心に対応しているが、今後新規契約や機種変更など、配送や法令でオンラインだけでの手続きが難しいものが出てくることが想定される。また、端末価格についてもショップ独自で割引施策を実施していることも多く、ショップごとに差が出てくる可能性もある。

 岡氏は、ユーザーは相談するショップを全国のショップから好きなところを選択/予約できるとしたものの「基本的にユーザーが最寄りのショップを選択してもらうことを想定している」とコメント。手続きの残りを実店舗で行うことや、オンラインで相談したショップと異なる実店舗で手続きを行うといったことは「決まった事実はないが、柔軟に検討していく」とコメントした。

 また、ショップごとのサービスの差はあるかについて、サービス開始時点ではないが、サービスや接客スキルの品質に差がでる可能性はあるとした。

顔出しの有無や今後のサービス拡充は

 オンライン窓口では、ショップスタッフは顔出しまたはアバターによる接客が受けられる。一方、ユーザー側は、カメラのオン/オフをユーザー側で決められる。基本的にはユーザー側はカメラオフで問題ないが、本人確認が必要な手続きでは、本人確認書類などをカメラ映像で確認することになるという。

 今後のサービス拡充や、eSIM提供などオンラインならではのサービス拡充予定はあるか? という記者からの問いには「現時点で決まっているものはない」(岡氏)と回答するにとどめた。

代理店のメリット

 代理店のメリットについて岡氏は「接客機会の拡大」を挙げている。ライフスタイルの変化によりショップへの来訪機会が少なくなったユーザーでも、オンラインにより来店へのハードルを下げることができる旨をコメント。また、オンラインでの接客についても所定のインセンティブが入るようにしているという。

 システムをはじめとした接客システムは、ドコモが費用負担する。代理店は、接客に使用するパソコンと通信回線の負担で導入できる。代理店では、実店舗のスタッフがオンライン窓口のスタッフと兼用することもできるが、オンライン専門の拠点を開設しオンライン窓口向けに拡充することも考えられるとしている。

メタバースでの開設などはある? 今後の接客体験

 ドコモの井伊社長は、2022年6月に弊誌のインタビューで「オンラインでユーザーとスタッフをつなぎ。『3割分』の仕事量をオンラインに置き換える」店舗改革を実施する旨をコメント。店舗維持コストを減らしてバーチャル店舗を持つ「ハイブリッド経営」に移行することで、代理店の店舗維持コストを減らすことができるとした。

 今回の取り組みは、井伊社長の店舗改革の一環で行われたもの。一方、ほかのキャリアで実施されているような「バーチャル空間」でのショップ開設については「現時点で決まっているものはない」(岡氏)としている。

 一方、「社長肝いりの改革で、(改革が)明らかになってから時間がかかった割には、大きな発表ではなかった」という声も記者から聞かれた。これについて岡氏は「(現行の)オンラインショップで実施している接客ツールや、代理店スタッフの声などを収集し意見を反映させるため、時間がかかってしまった」としている。

 今回、ユーザー自身が手続きをする「オンライン手続きサポート」と、ショップ店員が手続きする「オンライン来店」と2つのサービスを展開する。2つのサービスを並行して実施する意義を、岡氏は「ユーザーニーズに合わせたため」と説明する。ドコモの調査によると、「手続きを自分でしたいユーザー」が一定数存在するという。その中で、料金プランや機種を相談したいユーザーがいるため、「オンライン手続きサポート」を用意したという。