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総務省、携帯の電波割当に条件付きオークションを導入へ

 総務省は、「新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会」の取りまとめ案を9月29日に公開し、9月30日~10月31日までの間、取りまとめ案への意見募集(パブリックコメント)を行った。

 11月25日付けでこれらの意見に対する総務省の考えを示すと共に、「新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会」の取りまとめを公開した。

取りまとめ案の概要

 検討会では、オークションの方式を入札額のみで落札者を決定する「純粋オークション」、必要とされる項目を割り当て条件として課した上で実施する「条件付きオークション」、技術やサービスの審査項目を得点化や係数化した上で、入札額の得点と組み合わせて評価する「スコアリングオークション」に分類し、諸外国における電波オークションの実施事例や課題などを取りまとめた。

 取りまとめ案は、今後携帯電話用に新規割当が想定される、4.9GHz帯、26GHz帯、40GHz帯を念頭に、周波数の割当方式として、これまで採用している総合評価方式に加えて、条件付きのオークションを導入することが適当という方針を示した。

 その上で、条件付きオークションを実施する場合には、落札額の過度な高騰と特定事業者への周波数集中を防ぐ策として、周波数割当時に十分な枠を確保すること、周波数キャップ(上限)を適用すること、競り上げのラウンド制限などの措置を適用することが適当とした。

 条件付きオークションと総合評価方式の適用条件や、デメリットとされている落札価格の過度な高騰、特定事業者への周波数集中などへの具体的な対応策、条件付きオークションの具体的な実施方法、制度設計、電波の利用状況などのフォローアップについて、詳細検討を行う必要があるとまとめた。

取りまとめ案への意見募集、携帯4社や個人が意見提出

 取りまとめ案に対する意見募集では、MNOのNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社や、個人からの意見が提出された。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、新たな携帯電話用周波数の割当について条件付きオークションの導入を基本的には賛同する意見を提出した。一方、楽天モバイルは反対する意見を提出している。

 楽天モバイルは、日本では既にスコアリングオークションの一種である「総合評価方式(特定開設基地局料制度)」を採用しているため、既に諸外国と同様に電波の経済的価値の考慮の度合いは大きく、オークション方式の導入によって落札額の高騰や、特定事業者への電波の集中と、それに伴う公正競争の後退に繋がりかねないと主張し、オークション導入へ反対する姿勢を示した。

 個人からも意見が寄せられ、その意見には今回の取りまとめで直接的に関係しないが、周波数帯の再編に関連し、楽天モバイルにプラチナバンドの割当を求める意見が多くあった。しかしながら、楽天モバイルの料金プランの変更などを理由として割当に反対する意見も寄せられている。

 総務省では、これらの意見については今回の意見募集の対象ではないと説明しながらも、今後の施策の参考にすると回答している。