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「Snapdragon 8 Gen 2」でAndroidスマホのカメラはどう進化するのか

 米クアルコム(Qualcomm)が発表した、フラッグシップスマートフォン向けの最新チップセット「Snapdragon 8 Gen 2」。本誌ではその概要と、特徴のひとつであるAI処理についてお伝えしているが、スマートフォンでよく利用される機能と言えばやはりカメラだ。

 果たして「Snapdragon」ではこれまでどんな道のりを歩み、「Snapdragon 8 Gen 2」ではどのような進化を遂げるのだろうか。

Snapdragon 845からこれまで。

 Snapdragonのなかでも、もっともハイエンドのスマートフォン向けチップセット「Snapdragon 8」シリーズは、以前まで800番代の番号で名付けられていた。

 2017年の「Snapdragon 845」、翌2018年の「Snapdragon 855」、2019年の「Snapdragon 865」、2020年の「Snapdragon 888」という具合だ。そして2021年、ネーミングルールが変わり「Snapdragon 8 Gen 1」が登場した。
 ネーミングルールはさておき、毎年登場してきた8シリーズは、カメラ機能でどのように変わってきたのか。15日(現地時間)、クアルコムの担当者がとてもわかりやすい資料を示し、紹介する場面があった。

Snapdragon 845
Snapdragon 855
Snapdragon 865

 資料を見ると、徐々に対応するカメラの数が増え、より大きな写真・動画を撮影できるようになり、扱えるデータ量が増えてきたことがわかる。

 Snapdragon 845ではカメラ2つ、マルチフレームでの処理に対応し、Snapdragonでは、さらに深度も活用でき、コンピューティングフォトグラフィーへ歩みを進め始めた。

 Snapdragon 865では、2つのカメラでそれぞれ14ビットのデータを扱い、8Kの動画撮影もサポート。Snapdragon 888では、トリプルカメラに拡張。1年前のSnapdragon 8 Gen 1は3カメラに加えて、扱えるフレーム数が6→30フレームに拡充、18ビットのデータもサポートするようになった。

Snapdragon 888
Snapdragon 8 Gen 1

 そして今回の「Snapdragon 8 Gen 2」では、「トリプルカメラ」「30フレーム」「18ビット」という要素に加えて、最大8のレイヤーで、被写体情報をコントロールできることになった。

 8つのレイヤーをサポートする画像処理プロセッサー(ISP)は、今回、コグニティブISP(Cognitive-ISP)と呼ばれている。リアルタイムで被写体を認識し、写真に加えて、動画でも被写体に適したリアルタイムの画像処理を実現する。

セマンティックセグメンテーション

 8つのレイヤーを扱う、つまり、カメラが捉えた被写体から、「人物」「空」「ビル」などを認識する仕組み「セマンティックセグメンテーション」が「Snapdragon 8 Gen 2」のカメラ関連機能の大きなポイント。

 先述した「被写体に適した画像処理」とは、顔、髪の毛、空などを認識した処理のこと。一例として紹介された「メガネをかけた男性」の写真では、もともとメガネのレンズに反射した映り込みが記録されているにもかかわらず、メガネを認識し、映り込みを除去する処理を実現する。

 猫の写真では、毛並みをよりくっきりと見せる処理も可能だ。

 カメラで捉えたファインダーの状態でもリアルタイムで処理が反映され、今回は人の肌を、人気ヒーローのような緑色にする、といったデモンストレーションも披露された。

 こうした機能を「Snapdragon 8 Gen 2」側がサポートすることで、スマートフォンメーカーは、別の機能の開発に注力することができるようになる。また、これまでセマンティックセグメンテーションのような仕組みを取り入れていなかったメーカーのスマートフォンでも、利用できるようになっていく。