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Google検索、「About this result」を日本でも提供開始――情報リテラシーを上げるグーグルの取り組みとは?

 グーグル(Google)は、Google検索において「About this result(この検索結果について)」の提供を、日本国内でも開始した。今後数日にかけてさまざまなプラットフォームで利用できるようになるという。

 「About this result」提供の意義について、検索部門担当のダニー サリバン(Danny Sullivan)氏から聞いた。

検索結果には、関連性だけでなく信頼性も重要

 サリバン氏は、Web検索について「関連性があるだけでなく、その情報が信頼できるかが重要」と説明。

 たとえば、新型コロナウイルス感染症について、ワクチンの危険性を検索するケースでは、関連性だけで結果を表示すると「ワクチンは危険だとあおるページ」が検索結果に登場するが、信頼性のない情報も出現する。Google検索では、その情報が信頼できるかにも着目しており、ワクチンに関する信頼できるページを検索結果画面に表示できるという。

「ワクチン 危険」の検索結果

 この信頼性の確からしさについては、グーグルで検索ガイドラインを公開しており、「情報がどこから来ているか」「ユーザーのクチコミ」などの内容から、信頼性を分析している。

 Google検索では、高品質の情報の出所について、ガイドラインでは「情報の専門性」や「権威」、そして「信頼性」の3点を分析し評価している。一方、「品質の低いコンテンツ」として、「約束を守っていない」「暴力的、人をだまそうとしている」コンテンツも定義されている。

 また、情報の品質についてのコンセンサスが重要であるとサリバン氏は指摘する。特に健康や金融などの情報については、信頼性のあるソースが必要だといい、専門家のコンセンサスがあるかといったこともガイドラインに定義されている。

 これらのガイドラインによる定義に従い、Google検索のシステムを訓練させ、検索結果の改善に努めているという。

Webにある情報を使いこなすには

 Google検索では、さまざまな取り組みを進めている一方、検索するユーザーに対する取り組みもすすめている。その一つが、今回の「About this result」。

 サリバン氏によると、多くのユーザーはどこかで知った情報やSNS、リアルでの会話において出てきた情報を確認するために検索しているという。検索結果に出てきた情報の背景や出所などを知ることができる機能として、「About this result」が提供されている。

About this result

 米国では2021年にスタートしており、すでに世界で24億回利用されているが、今回日本でも順次利用できるようになる。

 たとえば、はじめて知る名前やよく知らないサイトのページが検索結果で登場した際、「About this result」機能でそのサイトがどういうサイトなのかを事前に確認できるようになり、安心してその情報が利用できるようになるという。Google検索では、信頼できるサイトのページを上位に表示させるが、このサイトが信頼できるか「ユーザー自身が納得できる」ようにした形となる。

 また、サイト自体がセキュア接続に対応しているかどうかも確認できるようになるという。

 一方で、検索ワードによっては“まだ十分な情報がWeb上に存在しない”場合もあるという。情報がなかったり、新しい情報がたくさん登場してきたりする場合、ワードによっては信頼される情報がまだ入っていない場合があると指摘。そういったケースを、検索エンジンは検知し、ユーザーに「新しいトピックであり、検索でうまくマッチするものがまだ見つかっていない」ことを通知し、あわせて時間をおいて検索するようユーザーに案内する。

十分な情報が得られない場合に表示される案内

メディアリテラシーへの投資も継続

 グーグルでは、検索結果の主要な出所となるメディアに対して、メディアリテラシーの教育にも引き続き投資しているという。2018年以降グーグルは7500万ドルを投資し、メディアリテラシーの評価とともに誤情報と戦っているとサリバン氏はアピール。

 ユーザーへの調査では、62%以上のユーザーが「誤情報やミスリードする情報を見ている」ことがわかっているという。

 また、ユーザー自身も、情報を得たとき「この情報が誤情報かどうか?」について、自信を持って答えられるユーザーは10人に1人程度で、3人に1人は自信がないながらも誤情報だと判断できるという調査結果がある。

 日本でも、32%のユーザーが、誤情報やミスリードしている情報の区別が「まったくできない」もしくは「自信がない」と回答しているほか、10人に4人のユーザーが「家族に間違った情報をうっかり共有してしまわないか心配している」と回答しているという。

 グーグルでは、メディアリテラシーや情報リテラシーの更なる向上に引き続き取り組んでいくとしている。

広告で詐欺サイトが上位に来る対策は?

 検索結果の信頼性という意味では、昨今「詐欺サイトが広告を出稿し、本物のサイトよりも上位に表示される」ケースがあった。

 このような事象についてサリバン氏は「広告部門でも、詐欺サイトを防ぐシステムができている。万が一このシステムが破られた場合も、ユーザーから広告について報告できるメカニズムができている」とし、Google検索では何段階にも渡り対策ができていることをアピールした。

 また、「About this result」の取り組みについては「これからも進化していく」とし、「ユーザーからの評価」や「関連情報」といった要素の拡充や、未だ展開されていないほかの言語への対応などを実施していくとしている。