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ソフトバンク宮川社長、ローミング議論について「緊急通報だけでは不十分」

ソフトバンクの宮川 潤一社長

 ソフトバンクの宮川 潤一社長は、4日の第1四半期決算説明会で、キャリアをまたいだローミングについて言及した。

 7月に発生したKDDIの大規模障害について、通信障害時にほかのキャリアを使って発信やデータ通信ができるローミングや、緊急通報をSIMカード無しでも発信できるようにすることに関して議論が進められている。

 宮川氏は、2019年にもローミングについて言及していたことをふまえ「当時からずっともっと継続して話し続けるべきだったと思います」とコメント。

 障害発生時のローミングについて宮川氏は、「事業者同士で支えきれるなら支えた方が良いんじゃないかという提案でしたが、今総務省が中心になって議論が始まっております。ローミングについてですが、当時よりもさらに社会インフラという重要度が非常に高くなってるのではと肌で感じています。ATMが使えなかったり配達の連絡やアメダスが使えなかったりと言われましたが、特に一番重要だと思っているのは認証と決済についてですね」と、当時よりもローミング議論が重要であると分析。

 宮川氏はさらに「決済などでも本人確認というものが重要度を増してきている。PayPayを含めて決済がスマホでできる環境を提供して『スマホが当たり前』になっちゃっているということだと思います。当たり前が当たり前じゃない環境になった場合に、ローミングや障害時だけつながる緊急呼(110番や119番といった緊急通報)の仕組みを考える話になっています。ただ、当たり前の環境じゃなくなったときに、119番や110番の通話確保だけで世の中のパニックが収まるのかというと、残念ながらあまり機能しないと正直思っています」と、緊急通報だけでは不十分であるという考えを示した。

 一方、ローミングに関しては「受け手側の負担もある」ことを示唆。宮川氏個人の意見として「たとえば、ソフトバンクの場合NTTドコモやKDDIのMVNOの構造を受けておき、緊急時に切り替え可能となるようなものを用意しておきます。そうしないと、トラフィックが受けキャリア側に集中してしまうので、それの制御のために(MVNOのしくみを使う)こんな方法が良いんじゃないかなと思います。300Kbps程度で電話とメールとWebで何が起こっているかの確認やLINEなど最低限の通信の確保を検討していきたい」とコメントした。