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金子総務大臣がKDDI通信障害の情報周知を問題視、幹部派遣は「技術に精通した職員」

 金子恭之総務大臣は、5日の定例会見のなかで、KDDIの通信障害についてあらためて問われ、総務省幹部の派遣や今後について語った。

 冒頭、金子大臣は、「日常生活や社会経済活動に必要不可欠ななかで、サービスが2日以上にわたり利用が困難になったことは、あらためて遺憾に思っている。特に復旧作業が終了したと公表した後、音声通話が利用しづらい状況が、長時間継続したことなどを踏まえれば、利用者の周知広報については、通信事業者の責任を十分果たしたと言えない」と穏やかな口調ながら、厳しく指摘した。

――(総務省として)具体的にどういった点が不十分と考え、どういった検証をするのか。

金子大臣
 通信障害の影響の大きさや、復旧作業が終了したと公表した後も音声通話が利用しづらい状況が、長時間継続したことなどを踏まえれば、利用者への周知広報の内容、手段、頻度、いずれにしても、不安を解消するための工夫する余地があったのではないかと考えています。

 外部有識者で構成される電気通信事故検証会議などでしっかりと検証し、適切な周知広報のあり方について検討してまいりたいと考えています。

――検証のポイントと、スケジュールについて教えて欲しい。

金子大臣
 検討のポイントとしては、「設備をメンテナンスする際の事前準備のあり方」「通信障害が発生した後の対応のあり方、利用者に対する周知方法のあり方」「昨年のNTTドコモの通信障害を踏まえた教訓が十分に生かされていたかどうか」などが課題になると考えております

 法令上は、事故発生から30日以内に正式な報告を受けることになっておりますので、それを踏まえて電気通信事故検証会議などにおいて、再発防止に向けた具体的な対応策について、速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。

――60時間以上の通信障害となった。

金子大臣
 極めて多くの利用者において、2日以上の長時間にわたりまして、携帯電話サービスの利用が困難となる、前例のない大きな規模とであったと認識をしております。

 正式な報告を踏まえて、障害の原因などについて、確認分析してまいりますが、同様の事案が2度と生じることのないよう、抜本的な変更が必要であると考えております。

――物流や交通など多岐にわたる分野に影響が出た。これからモバイル通信がさまざまなところで活用される中で、1社だけの発信では、なかなか周知が難しいように思える。個社の発表をとりまとめて、政府として情報の集約・発信に取り組む余地があるのではないか。

金子大臣
 今回の大規模な通信障害は、個人の利用者のみならず、バスや自動販売機などにも大きな影響を及ぼしました。社会全体のデジタル化が急速に進む中であらゆる分野に利用されており、社会経済活動に必要不可欠なインフラとして、ますます重要になってくると認識しています。

 ご指摘の情報集約発信については、まずは、当事者である携帯電話事業者が、適切に対応していただくことが必要ですが、総務省としても、我が国の社会経済活動に与える影響の大きさをしっかりと念頭に置きながら、再発防止に向けて取り組んでまいりたい。

――緊急通報に繋がらなかったり、訪問診療など医療にも影響したりした。

金子大臣
 KDDIの携帯電話から119番などが入らないという事態が生じたことは、極めて遺憾であり、こういった事態を深刻に受け止めております。各消防本部に対して障害発生の当日中に、住民への広報など適切に対応していただくようお願いをいたしました。

 消防庁の公式Twitterでも呼びかけました。

――今回、総務省は、総務審議官(竹内芳明氏)をKDDIへ派遣した。その狙いと背景をあらためて教えてほしい。

編集部注
竹内総務審議官は東北大工学部卒、電気通信技術システム課長や移動通信課長、電波部長、総合通信基盤局長などを経て2021年現職

金子大臣
 総務省としては、障害発生の報告を受け、早期の復旧に向けて全力で取り組むとともに、利用者に細かい情報の周知を丁寧に行うことを要請していました。

 しかし、障害が発生してから、長時間で経過しても、事態の改善が見られず、今後の見通しも不透明で、利用者の不安も高まっていたことから、事態をタイムリーに把握し、適切な周知広報のため、総理からの指示を受けて、幹部級かつ技術に精通している職員をリエゾン(連絡員)として派遣し、対応に当たらせました。

 SNS上で「素人の官僚を送り込んで、逆に現場の足を引っ張ったじゃないか」という誤解もあるが、技術に精通した職員を派遣することで、混乱しているKDDIに助言し、利用者にもきめ細かい情報の周知広報をやるべきと助言したところです。