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スマートロックの「Qrio」新製品発表会、「個人宅向け」と「集合住宅向け」でソリューション拡大を目指す

Qrio 取締役 執行役員副社長の高橋 諒氏(左)と、代表取締役 執行役員社長の後藤 郁磨氏(右)

 Qrioは18日新製品兼事業戦略発表会を開催した。個人宅向けデバイスとして「Qrio Pad」と鍵となる「Qrio Card」「Qrio Key S」と、オフィスや賃貸物件向けのソリューション、今後の展開について発表された。

個人宅向け新商品

個人向け新デバイス

 Qrioについて、同社代表取締役 執行役員社長の後藤 郁磨氏は「おかげさまでコンシューマー市場において、スマートロック分野でナンバーワン。出荷台数も年々拡大してきており、累計で20万台出荷している。量販店など販売店での認知/満足度もナンバーワンをいただいている」と好調さをアピール。

 今回の新製品について「もっと自由になる生活というものを目指した」とコメントした。

Qrio 代表取締役 執行役員社長の後藤 郁磨氏

 コンシューマー向け新製品として、暗証番号と専用ICカードで解錠できる「Qrio Pad」とリモコン操作、立ち止まり検知で解錠できる「Qrio Key S」を発表した。

 Qrio 取締役 執行役員副社長の高橋 諒氏は「スマートフォンはもちろん、リモコンキー、カード、暗証番号など生活スタイルに合った解錠方法で、家族みんなで使っていただける。スマートフォンが鍵になれば、朝のバタバタした時間帯に鍵が見つからないということはない。また、オートロックを設定すれば鍵の閉め忘れも心配ない」と説明。

Qrio 取締役 執行役員副社長の高橋 諒氏

 また、万が一鍵となるカードやリモコンを紛失した場合でも、暗証番号で解錠できるほか、鍵の情報を削除して開けられないようにすることもできる。

 取り付けは工事不要で、両面テープで貼り付けるだけで設置できる。

 実際の高橋氏によるデモでは、解錠も非常にスムーズに進んでいた。暗証番号で解錠のデモの際、はじめ暗証番号を間違えて入力する場面があったが、解錠することなくセキュリティの高さを示した。

 高橋氏によると、これまでの「Qrio Lock」のオートロック機能は、「締め出し(インキー)」のリスクがあり、オートロック機能の設定をためらうユーザーが多かったという。今回、暗証番号による解錠方法を提供することで、安心してオートロック機能を設定してもらえるだろうとコメントした。

 また、専用ICカード「Qrio Card」は、セキュリティ性能が高い専用のものとなっており、現時点で専用カードでのみ解錠できる。

スモールオフィス向けサービス「カギカン」

 スモールオフィス向けの鍵管理システム「カギカン」は、今回の新製品発売にあわせてバージョンアップされる。

 新たにQrio Cardをサポートし、カードによる解錠や入退室管理ができるようになるという。

 また、入退室管理にあわせて正確な勤怠管理も実現できると説明する。

 バージョンアップされた「カギカン」は、12月に提供開始する。

マンション向けサービス「Roomon」

 賃貸マンション向けスマートロック管理システムの「Roomon」が2.0にバージョンアップされる。

 賃貸マンション向けでは、コンシューマー向けと同様の製品として「Qrio Lock R」と「Qrio Pad R」を発売する。同製品では、これまで両面テープで貼り付けるだけだったものから、簡易工事でサムターン錠に組み込む形で設置できる。

 また、マンションのオートロックにも対応し、エントランス自動ドアに組み込むことで、リモコンやカードでエントランスと自室のロックを解除できるという。

資産価値向上に向け「有無→質」

ソニーネットワークコミュニケーションズコネクト 取締役副社長の篠原 浩昭氏

 発表会には、同じソニーグループでネットワーク事業を手がけるソニーネットワークコミュニケーションズコネクト(SNCC)取締役副社長の篠原 浩昭氏も登壇し、近年の不動産市場を説明した。

 SNCCは集合住宅やマンション向けに「入居者が無料で利用できるインターネットサービス」の提供を行っている。特に、これまでは共有部から各部屋にLANケーブルによる構内回線だったが、SNCCでは部屋まで光配線とする「オール光配線」による高速インターネットを提供している。

 物件価値向上への取り組みの中で、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」調査結果を提示し、その中には「インターネット無料」のほか「高速インターネット」がランクインしていることを指摘。

 これをふまえ、篠原氏は物件の価値は「『あるかないか』から『より良いもの』に変化している」と説明。インターネットであればより高速なもの、オートロックであればより便利に利用できるものが選ばれるようになるとコメントした。

セットでの購入が拡大

SB C&SのIoT・サービス事業本部 IoTプロダクト本部 本部長の田中 伸忠氏

 コンシューマー向けの販売代理店の一つであるSB C&SのIoT・サービス事業本部 IoTプロダクト本部 本部長の田中 伸忠氏は、「Qrio Lock」シリーズはセットで購入するユーザーが多いと指摘。

 スマートフォンでさまざまなものが便利になる世の中において、スマートロック本体だけでなく、ネットワークに接続するハブ、鍵となる「Qrio Key」をセットで購入することで、便利な「Qrio Lock」をさらに便利に利用できると説明した。

錠前メーカー「GOAL」との協業

ゴール 取締役 技術開発本部 統括部長の葛西 明生氏

 錠前メーカーのGOAL(ゴール)との協業と将来について、ゴール 取締役 技術開発本部 統括部長の葛西 明生氏が説明した。

 ゴールについて葛西氏は「国内初のシリンダー状の開発、販売したほか、カードシステムも国内初で、なかなか知られてないがこういう技術を研鑽した会社」と説明。なかでも、天文学的数字の鍵違いをもつディンプルキーシリンダーは、ゴールの持つ技術の結晶だとアピールした。

 一方で、これまで耐ピッキング性や堅牢性など防犯性能をアピールしてきたゴールにとって、スマートロックは「黒船が来た」(葛西氏)と捉え、防犯性能だけではこの先サービスが成り立たないという危機感を覚えたという。

 今回、Qrioとゴールが提携することで、ゴールの研鑽してきた技術とのマッチングで、新しい価値が生まれることを期待していると葛西氏は明かす。

 また、全国のゴールのサービス拠点を生かし、Qrio Lockのカスタマーサービスを今後提供していくと説明、今後「新しい価値の提供」を目指して取り組んでいくと説明した。

今後の戦略とプラットフォーム構想

 Qrioの高橋氏は、「Qrio Lock」だけにとどまらず、オフィスや店舗、マンションなどのさまざまな困りごとを解決するソリューションをオールインワンで提供する「Qrio IoT Platform」構想を発表した。

 Qrioや提携するサードパーティのデバイスやサービスを組み合わせて提供することで、付加価値やコスト削減効果を提供するという。

 Qrioでは、今後このプラットフォームの実現に向けて取り組んでいくとしている。