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ワクチン接種証明アプリ、ユーザーが表示情報選べるように

 デジタル庁は、新型コロナウイルスワクチンの電子接種証明書の仕様に関する意見募集の結果を公表した。ユーザー向けのアプリは年内にも提供が始まる見通し。

 9月17日~9月30日までの期間で、総回答数は1万8659件。証明書アプリを活用するユーザーではなく、二次元コードやAPIを利用する予定の事業者や自治体、医療機関などを中心に匿名で回答を募った。

意見募集時の資料 デジタル庁 Webサイトより

提供情報はユーザーが選べるように

 二次元コードの仕様については、海外での利用時に「EU-DCC」(EU Digital COVID Certificate)との互換性を考慮しICAO規格を採用した。国内向け規格である「SMART Health Cards」についても海外渡航を申請すれば英語表記に対応するという。

意見募集時の資料 デジタル庁 Webサイトより

 提示される個人情報については、利用者が自分でどの情報を提供するか、アプリ上で選べるようになる。「接種済みであることのみ」「2次元コードのみ」「二次元コード+そこに含まれる情報」といった3レベルの表示方法が用意されるという。

 さらにひと目見て本物の情報かを判断できるよう、画面内に時計を表示し、スクリーンショットなどでの突破を防ぐ。コードに含まれるデータは公開鍵暗号方式によりセキュリティが担保される。

 エンドユーザーには個別のアプリとして提供される予定で、iPhoneの「ウォレット」機能(Apple Wallet)などとの連携も検討される。

9割超の事業者などが利用の意向なし

 利用を想定しているケースとして挙げられたのは、飲食店、イベント、ライブ会場などへの入場に加えて、宿泊や長距離移動の予約時など。さらに接種証明書の提示による特典サービスなどの申込みや医療機関への訪問(見舞い)といったものも挙げられた。

 その一方で、二次元コードとAPIのどちらも利用しないと答えた回答者は全体の95%を占めており、特にAPIについては「API利用のための開発コストに見合うユースケースが想定できない」と否定的な声が多く確認されたという。

 APIの提供については今後、接種証明の活用方法がまとまってから詳細を検討するという。

 また、接種証明を持たない人への差別や不利益を被る可能性やワクチンの効果が不明瞭な中、接種証明書が人流を増加させ、さらなる感染拡大を招くといった指摘については、「接種証明を適切に利用したコロナ対応策の普及に向け、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室をはじめ、対応関係部署に適切に働きかけてまいります」と述べるに留めた。