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総務省、公正な競争環境の確保に向けた取り組みを要請

ドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクが対象

 総務省は17日、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクに対し、電気通信事業法の一部を改正する法律の趣旨に沿う、公正な競争環境の確保に向けた取り組みに関する要請を行った。

 電気通信事業法では、その目的として電気通信事業の公正な競争を促進することで、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともに、利用者の利益保護を定めている。

 通信料金と端末代金の"完全分離"や、行きすぎた囲い込みを是正を含めた電気通信事業法が2019年10月1日に改正されてから2年を迎えるにあたって、「電気通信市場検証会議 競争ルールの検証に関するワーキンググループ」では、改正法による効果などについて評価・検証を行い、「競争ルールの検証に関する報告書2021」を取りまとめた。

 同報告書では、改正法が目指した効果が一定程度表れつつあるが、改正法の施行以前から目指してきた公正な競争環境の実現には、解決すべき課題が少なからず残っているとして、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクに対する要請を行った。

 今回の要請では、4社に以下の要請を行っている。

NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクへの要請
  • 既往契約の解消に向けた取り組み
  • 事業法第27条の3の規律遵守のための取り組み
  • 端末購入プログラムに関する取り組み
  • 上記3点のフォローアップのための報告

既往契約の解消に向けた取り組み

 改正事業法の第27条の3に定めた、定期契約における解除料金を1000円以下とする等に適合しない既往契約の解消について、事業法の改正に伴い提供された適合契約へ移行すれば、1000円以下の違約金で事業者を乗り換えできるなど、乗り換えを促進する環境改善は進みつつあるが、改正法施行時と比較して5割以上の既往契約が残り、改正法の施行時から指摘している不適合利益提供(端末購入プログラム)について、事業者における見直しが行われていない。

 また、改正法に基づく通信料金と端末代金の分離について、端末購入プログラムの提供条件や利用可能なチャネルなど、形式的な条件では回線契約者と非契約者間の差異は解消されつつある一方で、販売代理店においては、非回線契約者の加入を拒否するような対応が少なからず行われているなど、改正法の趣旨に沿った対応が十分に行われている状況に無いと指摘する。

 これらの状況を踏まえ、NTTドコモに対して、解除料が発生しない更新月以外に適合契約を解約すると、留保扱いされていた違約金9500円の発生するが、これを速やかに撤廃するように検討を求めた。

 KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクに対しては、回線契約の継続を条件とする割賦代金の残債免除(旧端末購入プログラム)について、速やかな撤廃の検討を求めた。

事業法第27条の3の規律を遵守するための取り組み

 通信事業者各社は、事業法第27条の3の規律を遵守するため、販売代理店への教育・指導を含む対応を行っているとするが、「競争ルールの検証に関する報告書 2021」では、昨年発表した「競争ルールの検証に関する報告書 2020」の公表以降、新しい取り組みは行われていないことが指摘されている。

 今回の要請では、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクに対し、同法の規律に反する行為が生じないように、不断の取り組みを行うことを要請した。

端末購入プログラムに関する取り組み

 端末購入プログラムに関しては、回線契約者と非回線契約者との間で、形式的な提供条件の差異について、合理的な理由が無い限り、2022年6月までに全て撤廃することを要請した。

 加えて、利用者に正確な情報が理解されていないことを問題とし、正確な説明や周知の撤退に向けて最大限の努力を行い、非回線契約者に対する端末購入プログラムの提供拒否などの不適切な対応についてを根絶するための対応を行うこと、販売代理店で端末購入プログラムに申込する際、重要事項説明の一環として、回線契約が条件ではないこと、通信契約を他の事業者に乗り換えても、端末購入プログラムは継続できることを確実に説明することを求めた。

 また、プログラム加入者に対してこれらの趣旨を定期的にメールなどで送信すること、またこれらの趣旨について、ITジャーナリストや消費者系メディアなどに対するブリーフィングを行うなど、社会全体の理解度向上に向け、可能な限りの取り組みを行うことを要請した。

フォローアップのための取り組み

 これらの要請事項について、これまでの改善状況および今後の取り組み方針を2021年10月18日までに総務省に報告のうえ、端末購入プログラムに関する理解を広めるための取り組みの実施状況については、四半期ごとに報告することを求めた。なお、報告の内容は総務省で一定の加工のうえ、公表することがあり得るという。