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KDDIの回線品質「つながる体感 No1」、秘密は「デュアル5G」

 KDDIがネットワーク品質の向上を進めている。世界で携帯電話事業者の調査を行う英Opensignalの公表した結果では18部門中、13部門でKDDIがトップをマークした。その背景には転用5GとSub6をうまく組み合わせた「デュアル5G」で進めたネットワーク整備がある。

 Opensignalの最新調査の発表翌日である17日、KDDIは記者説明会を開催し、あらためて同社の通信品質向上への取り組みを紹介した。

英Opensignalのレポートで13部門を受賞

 Opensignalが16日公開したレポートは、携帯電話各社の通信品質を評価するもの。4分野計18部門で評価されており、KDDIが13部門で1位を獲得した。動画や下り速度、ゲームなど多くの項目でKDDIが1位を獲得。5Gライブ動画や可用性の項目でも他社と同率1位という高評価を得た。

右=KDDI 前田氏

 KDDI 執行役員 コア技術統括本部 技術企画本部長 前田大輔氏は同社の5G立ち上げ期からの同社の取り組みを説明。当初はローバンドやミッドバンドによる面的な展開をしつつ、普及期に入った現在は、インフラと端末の両面でミリ波の活用が進む時期に突入している。

 5G基地局数は約9万4000局。うち、Sub6基地局は3万9000局と業界最多としている。3月末からは従来、衛星との干渉の兼ね合いでおさえられていた基地局の出力が向上したことやアンテナの角度も最適化されたことで、関東地方におけるSub6エリアの拡大につながった。

Sub6と4G転用周波数の組み合わせがキモ

 KDDIはOpensignalのレポートにおける「一貫した品質」と「つながりやすさ」も考慮する、新設された「信頼性エクスペリエンス」で1位を獲得した。高評価の要因は転用5GとSub6を組み合わせた整備計画だ。

 同社では4Gの転用周波数を活用して面的に5Gエリアを整備した。低い周波数で5Gエリアを広げたうえで、多数のSub6基地局を展開することで高速かつ高品質な5Gエリアの形成を実現。Sub6でエリアをカバーしようとすれば通信速度の低下や品質劣化につながる。

 他社ではSub6の整備を優先したケースもあるが、KDDIほどの品質には結びついていないとみられる。前田氏は「『なんちゃって5G』と言われもしたが、4G転用周波数は重要。デュアルな5Gがナンバーワンにつながった」と話す。

 Sub6で無理に通信せずに、複数ある4G転用周波数を活用することでいわゆる「パケ止まり」などを回避するよう調整もしている。デュアル5Gを進めた結果、本当に快適な通信環境の時だけ、Sub6を使うという方法を取れるという。基地局の先にある有線での区間もより、遅延の少ないルートを通るよう、効率化を測っている。

 多数のSub6基地局を展開できたことにより、5G通信速度は3倍ほど向上した。スループットで見ると高画質な動画を楽しめるひとつの指標となる20Mbps以上率、オンラインゲームの快適なプレイに必要とされるレイテンシー30ms以下率は大きく伸びていることが示された。

 KDDI コア技術統括本部 エリア企画室長の西村朋浩氏は「5Gだけではなく4Gも含めて改善している」と話す。限られた基地局の出力のなかでパケ止まりが起きないよう、苦心を重ねて来た末に、Sub6エリアがぐっと広げられたことも功を奏して、4G含めてパフォーマンスにつながったとしたうえで「まだちょっと(品質が)悪いところも正直残っている。引き続き改善していく」とした。

 品質改善には、端末や基地局、5G/4Gコアノードなどからのデータに加えてSNSなどの声も取り入れており、AIも活用することで年間100以上の改善施策を実施している。今後、米スペースXの衛星ブロードバンド「Starlink」と携帯電話の直接通信などの取り組みも控えている。

右が高品質な回線。読み込み速度の違いがわかる

新料金プラン・新トッピングも発表

 同日、サブブランドの「UQ mobile」と「povo2.0」で新プランおよび新トッピングが発表された。

 UQ mobileの新料金プランは「コミコミプラン+」。既存プランの「コミコミプラン」(20GB)と同じ月額3278円ながら、通信容量は30GBにする。11月12日に提供が開始される。「povo2.0」では「新1年間トッピング」が18日から提供される。有効期間は365日間。360GBで2万6400円となり、1カ月あたり30GBを2200円で利用できる。

 KDDI パーソナル事業本部 マーケティング本部 渡邊和也副本部長は「au、UQ mobile、povo2.0の3ブランドで『つながる体感No1』をたっぷりお楽しみいただける」と料金プランについて説明した。

 UQ mobileの新プランは11月12日から、povo2.0の新トッピングは18日から提供が始まる。