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日本企業のDXを支援していく、ソフトバンク・宮内会長が基調講演――SoftBank World 2021

 15日に開幕したソフトバンクグループの法人向けイベント「SoftBank World」において、ソフトバンク 代表取締役会長の宮内謙氏が基調講演を行った。

 宮内氏は「最強シナジーでDXパワーを!」と題して、スマホ決済サービスの「PayPay」を例にとりデジタル・トランスフォーメーション(DX)について語った。

デジタル化が始まった

 「日本のデジタル化は今、本格的に始まった」と語る宮内氏。新型コロナウイルスの感染拡大により、経済は厳しい状況におかれているものの、むしろそれによってデジタル化の波が急速に押し寄せたと現状を分析した。

 それを象徴する事例が決済市場だという。ソフトバンクが擁するスマホ決済サービスの「PayPay」だと宮内氏は紹介する。

 2021年は、スマートフォン決済が躍進した年だ。2019年にわずか4%だったものが10%増の14%。依然として現金の比率は高いもののキャッシュレスが徐々に浸透してきていることが伺える。

 クレジットカードの登場は1960年にまで遡る。FeliCaを用いるSuicaなど電子決済の登場はおよそ20年前。これに対してスマートフォン決済は、PayPayが登場した3年ほど前から一気に広がりを見せている。宮内氏は「数年前から(PayPay以前)小さいところがやっていたが、PayPayのスタートから爆発した。そう考えると14%という数字は一気に決済のデジタル化が進んだ」と語る。

PayPayで小売のDXが進む

 2020年のスマホ決済市場におけるPayPayの決済取扱高は全体の68%、決済回数でも66%と高水準を記録。PayPayをきっかけにほかのスマホ決済サービスを提供する企業も努力を見せていると現状への認識を示した。

 ユーザー数としては4100万人超。5000万、6000万ユーザー達成への自信を見せる宮内氏。この拡大には全国の店舗で取り扱われていることが大きいと説明する。現在、PayPayは340万カ所で利用できるという。

 「現金で払うと、何もデジタル化が進んでいなかった。PayPayで支払うと(ユーザーデータから)どういうお客さんが来てどういう傾向があるか、DXがそれで一気に起こる」とキャッシュレスのメリットを語る宮内氏。

 セブン-イレブンでは、自社アプリにPayPayを組み込んでおり、その連携ユーザー数はおよそ670万人に上るという。宮内氏は「さまざまな産業においてソフトバンクとパートナーを組んでWin-Winのモデルを作っていけると思う」と語る。

 これからの世界は、スマホとデジタル化がポイント。PayPayはソフトバンクグループの支援とヤフーやスマホ決済で先を行くインドのPaytmの連携や技術支援があってロケットスタートできたものだという。

今後も日本のDX化に向けて取り組み

 宮内氏は、3月末にソフトバンク社長を退いて以降、同社の会長に着任。「今何をやっているのかとよく聞かれるが『CCoO』(Chief Connection Officer)になった」と語る。

 ソフトバンクグループが出資する300社超はすべてテクノロジー企業。「いずれもスマホがベースのDXに取り組む企業」で「みなさん(企業ユーザー)とをコネクションできる」と宮内氏。

 これらに加えてソフトバンクグループの企業群334社がある。「ソフトバンクは通信の会社じゃないか、と思われるかもしれないが我々はぜんぜん違う世界でもビジネスをしている」と自信を覗かせる。

 「DXについてはいろいろなところでバズワード的に語られるが、我々は実際に体験して成果を上げている。これを皆さんにお届けしたい。日本の企業のDXを強力に推進していく」と遅れがちと言われる日本のICT利活用の促進を続けていく姿勢を見せる。

 Zホールディングスをはじめ、WeWork、OYOなどさまざまな分野でビジネスを展開するソフトバンクグループ企業とソフトバンク・ビジョン・ファンド企業の力をかけ合わせて、ノウハウを企業や自治体へ提供することで「お互いにWin-Winの関係を作っていきたい」と、宮内氏は今後の展開への熱意を示した。