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お台場でARショッピングやゲームの実証実験、ドコモと森ビル

 NTTドコモと森ビルは、東京都・お台場のヴィーナスフォートにおいて、XR空間上でショッピングやフィールドゲーム体験ができる実証実験を7月9日から開始する。

 ドコモと森ビルの協業の一環。両社はすでに2021年3月にもARでコンテンツを楽しめるという同様の実証実験を行っている。今回の実験では、新たにパソコンやVRゴーグルを通じて、遠隔地からもバーチャル空間に参加できることに加えて、センサーやXRコンテンツの開発ツールと連携するセンサープラットフォーム「Linking」により、館内の混雑度合いの把握が可能になった。

 7月10日・11日と7月17日・18日は、一般の参加者も体験できる。先着順で、専用アプリがインストールされたiPadが貸し出される。一般体験は、タブレットでのARのみとなる。各日ともに11時~17時まで。参加費は無料。

ARで広告表示やゲームも

 実証実験でARが楽しめるエリアは、東京都・お台場にあるショッピングモール「ヴィーナスフォート」2Fの噴水広場~教会広場周辺だ。

ヴィーナスフォート 噴水広場の噴水

 iPadの画面を見ると、噴水近くに「START」という文字があり、この近辺に行って操作すると、天使が出てきてドラゴン退治のゲームに参加するか否かの選択肢が表示される。

特定のスポットでゲームのキャラクターが登場する

 このゲームは、実証エリア内である一定の行動を起こすことで、最深部に潜むドラゴンを退治しに行くというもの。シングルプレイではなく、多数のプレイヤーと一緒に参加できるようになっている。

 AR空間上にはもちろん、ゲーム要素だけではなく店舗の広告などの実用的なインフォメーションの表示にも用いられている。静止画だけではなく、動画も表示される。

噴水周辺をiPadの画面を通して見た様子。仮想空間ならではの装飾が楽しめるほか、人物は自動的にアイコンになる

属性によって変えられるARコンテンツ

 今回、用いられている仕組みでは、正確に建物の構造をスキャンしており、実際の空間とオブジェクトのズレが少ないことも特長のひとつ。これにより、遠くにあるコンテンツは小さく、近くにあるコンテンツはより大きく表示され、体験者の違和感を打ち消している。

炎がちゃんと教会から上がっているのがわかる

 さらに、同じ空間であっても、表示するコンテンツをユーザーによって変化させることが可能という。実証エリア内では、以下の写真のように「ファッション」と「グルメ」などのように広告表示を切り替えられるようになっている。

中央やや右の黄色枠で囲われているのは動画広告
左の写真では紫で「FASHION」(ファッション)となっているが右では黄色で「GOURMET」(グルメ)とコンテンツが切り替わっている

 AR空間上に表示されるコンテンツは、XRコンテンツの開発ツールから作成できるようになるという。これまで、コンテンツはさまざまなアプリに公開され、ばらばらに散らばっていた。そこで、現在開発中のコンテンツ開発ツールにより、ひとつのアプリでさまざまな作品に触れられる環境を目指したいという。

 ツールから開発できるコンテンツは、ゲームのキャラクターから広告などさまざまな需要に対応する。主にプロの開発者に向けたもので、どのような形で商用化するか検討中としつつも、将来的には一個人でも利用できるような形も考えられるという。

混雑度合いを可視化

 昨今のコロナ禍では、なにかと気になる“施設の混雑度合い”。今回のARでは、連携するセンサーを通してそれらが可視化されている。

混雑状況の表示をオンにした状態。噴水広場付近が赤く点灯しており、混雑していることがわかる
トイレのドアなどにセンサーを設置する際は、こうした表示も可能という
センサーとそのゲートウェイ

 噴水広場~教会広場の区間に複数、センサーが設置されており、これにより人流がわかるようになっている。混雑度は3段階で示され、空いている順に青、黄色、赤と表示が変化する。

 このほかにも、子供にビーコンを持たせての迷子防止やトイレのドアなどにセンサーを設置することで、トイレの使用状況の把握なども技術的には可能という(一般体験では体験不可)。

より豊かで便利な街を

 これまでも、さまざまな企業や研究機関と共同研究を重ねてきた森ビル。ARサービスを通じて、新たなビジネス、エンタメ、コミュニケーションなどが生まれるのではとという。

左=森ビル 杉山氏 右=ドコモ 木村氏

 近隣に訪れた人が景色と重ねて交通情報を取得したり、バーチャル広告を見たりとそれぞれにパーソナライズドされた情報が得られるのもこれまでにはないメリットのひとつだ。

 森ビルでは、同社が持つリアル世界の資産とドコモの通信技術とを掛け合わせることで、リアルとデジタルが融合した新たなサービスの創造を目指すとしている。今回の実証実験でのフィードバックを活かしつつ今後、街全体に同様の取り組みを広げていきたいという。