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ソフトバンク宮川社長が語る法人事業、「日本全体をDX先進国にする」

 ソフトバンクは1日、同社の法人事業に関する説明会を実施し、「ソフトバンク5Gコンソーシアム」と最新ソリューションの体験型施設「Executive Briefing Center」など同社の取り組みを説明した。

宮川氏「通信業界はレッドオーシャン」

ソフトバンク代表取締役社長の宮川 潤一氏

 説明会冒頭、ソフトバンク代表取締役社長の宮川 潤一氏は、「通信市場はレッドオーシャンの市場になりつつある」と指摘。日本の通信市場は、NTTグループとKDDIグループ、ソフトバンクの3社でマーケットを取り合う形になっている。

 同社では、これまで通信事業をベースとした法人事業を行ってきたが、今回ゲームチェンジし「社会のDX(デジタル・トランスフォーメーション)」のトータルソリューションとして提案していくという。

 具体的には、民間や自治体が持っているデータを、ソフトバンクの「データ連携基盤」を通じ新たなソリューションを提供していくという。たとえば、複数の自動車のデータや街頭カメラのデータなどを連携することで、交通事故を未然に防ぐソリューションなどが期待できるとしている。

 また、宮川氏は自身の社長就任にあたり掲げたスローガン「日本をDX先進国にする」をとりあげ、ソフトバンクだけでなくまわりのパートナー企業と一緒にDXに取り組み、日本全体をDX先進国にしていきたいとコメント。国力を上げるプロジェクトして、真剣に取り組んでいくと意気込みをみせた。

4領域でDXを推進

代表取締役 副社長の今井 康之氏

 続いて、法人事業を統括する同社代表取締役 副社長の今井 康之氏は、同社の法人事業の現状を

 ソフトバンクの法人事業については、当時赤字だった日本テレコムを買収したが、ソフトバンクとの合流で両者の強みを生かして収益を挙げていくことができたという。どちらもいろいろな企業連合との連携を持っており、通信分野から近年のDX関連事業で右肩上がりで収益を上げていったと分析する。

 同社の法人事業では「まず自社の社員が試してみて“いい”と思ったものを顧客に展開する」というルールを設けている。また、ソリューションを営業していくにあたっては、AI人材の育成やIoTのコンサルティング営業ができる人材の育成に力を入れている。特に、業界ごとに特に詳しい人材を集め、組織を作り上げていっているという。

 同社の法人営業のソリューション関連については、コロナ禍以前から好調だといい、今後4年間で1500億円という目標にむけて「デジタルコミュニケーション」「デジタルオートメーション」「デジタルマーケティング」「セキュリティ」の4領域で企業のDXを推進させていくソリューションを展開していくという。

 「情報をデジタルで共有する」「人がやらなくていいことを機械にまかせる」「いろいろなデータを把握し未来を予測するマーケティング」と、それを下支えする「セキュリティ」として、これらの4領域を4本柱として企業にサービスを提供していく。

 なお今井氏は、日本ではクラウドの導入に抵抗感を持っているユーザーも少なくないと分析しており、ソフトバンクでは「クラウドの導入から運用までフルサポートで提供」するといい、実際に第三者機関の審査によるエキスパート認定も取得している。

 また、ソフトバンクの強みは「コンシューマーユーザーとの接点を多く持っている」ことを挙げる。例として「セブン-イレブンアプリへのPayPay機能導入」や「ヤマト運輸のLINE活用事例」などをとりあげ、BtoBtoCとなるソリューションも強みを持っていると指摘。

 さらに、ソフトバンク竹芝本社では、国土交通省や東京都などがもつ公共データを連携し、新たなサービスを展開しているといい、人の流れの変化や街の課題解決に向け取り組んでいくという。

5つの新事業

 同社常務執行役員 法人事業副統括エンタープライズ/マーケティング担当の藤長 国浩氏は、社会と企業のDXを推進させる新たな取組として、「ヘルスケア事業」「水インフラ事業」「新たな広告事業」「5Gコンソーシアム」「Executive Briefing Program」を取り上げた。

 ヘルスケア事業では、1日に発表された「オンライン診療サービスとオンライン服薬指導」サービスを紹介。医師と患者の課題をDXで解決する取り組みを続けていく。

 水インフラ事業では、「水道管の老朽化」といった国内の課題や「水不足や衛生環境」といった世界での課題を解決するため、「WOTA」と資本業務提携を締結し、小規模な水循環システムにより課題解決を図るという。

 5Gの普及にあわせ、建設業や医療分野で5G活用の実証実験を行っている。また、5Gコンソーシアムを立ち上げ、製造や医療、建設、物流、スマートシティ業界という省人化やITニーズの高い業界について、外部専門家や参加企業と連携し、新規ビジネスを共創していくとしている。

 また、企業の課題解決を担当者と対話しDXを加速させる「Executive Briefing Program」とその体験施設「Executive Briefing Center」を同社の竹芝本社に設置し、企業のDX推進にむけ取り組んでいく。