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ソフトバンク2020年度の売上高は5兆2055億円――法人部門が躍進、携帯はマルチブランド戦略で拡大を図る

PayPayの年間取引高(GMW)は年間3.2兆円

ソフトバンクの宮川 潤一社長

 ソフトバンクは、2021年3月期の決算を発表、売上高は5兆2055億3700万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は9707億7000万円(同6.5%増)、純利益は5477億2000万円(同8.1%増)となった。

 ソフトバンクの宮川 潤一社長は、会見冒頭から「世界の人々から必要とされる企業グループというビジョンをもつ企業」「『努力って楽しい』といえるような挑戦し続ける企業」というコメントをし、“非”通信事業分野の成果や今後の方針を強調した。

全セグメントで増収

 セグメント別の売上高では、コンシューマー部門が前年同期比+3%増、法人部門が+8%増、ヤフー部門が+15%増となり、流通部門やそのほかをあわせても全セグメントで増収となった。

 営業利益では、コンシューマーが+2%増に対し、法人部門が+29%の大幅増益となった。

2021年度の業績予想は+6%の5.5兆円

 2021年度の売上高は、前年比6%増の5.5兆円と予想。予想営業利益は0.4%増の9750億円とした。

 増減要因として通信分野では携帯電話料金の値下げの影響や、LINE統合に伴う無形資産の償却などで1000億円超の減益を見込む。

 一方で、モバイル契約数の増加や法人、ヤフー事業の増益、コスト削減などを行い、1050億円超の増益があり、減益分をカバーできるとした。

 予想純利益は、前年比2%増の5000億円としている。

マルチブランド戦略と5Gの早期展開

 今後のモバイル戦略について宮川氏は「マルチブランド戦略とECなどと掛け合わせたグループアセットによる差別化」で、契約数拡大を図るという。

 スマートフォンの累計契約者数は、5年間で1.5倍に増加、「特にワイモバイル事業は急成長した」(宮川氏)といいワイモバイルは5年間で4.4倍の契約者数となった。今後の目標契約者数として、2023年度でスマートフォン契約者数3000万契約を目指し、その後も拡大を目指すとしている。

 ネットワーク品質については、オープンシグナルの調査で4GLTEの2部門で1位を獲得しており「5Gでも評価されたい」(宮川氏)と、5Gネットワークの早期展開を目指す。新たな目標として、2021年秋口に5Gのスタンドアローン(Standalone、SA)の開始を発表。2022年春に人口カバー率90%を目指すとしている。

デジタルシフトと今後のソフトバンク

 宮川氏は今後の社会について「超デジタル化社会が到来しております」とし、さまざまなものがデジタルシフトしていることを強調。デジタルシフトが難しいと言われている製造業や金融などが、新たな時代を迎えるという。

 そのうえで、1万5000人規模の営業と1万人のグループエンジニアをもったソフトバンクは「ほかの会社と違う」(宮川氏)といい、日本や世界の通信キャリアと違う構造をもっていると指摘。また、ソフトバンクは、日本の大手企業(1000億円以上の売上がある企業と定義)の95%と取引している実績や、世界に2億人弱のユーザーを持っているLINEなどグループ内のシナジー効果をあわせて、新事業をスピード感をもって垂直立ち上げできるとした。

 宮川氏は孟子の天地人を引き合いに「いちばん大事なのは協力があって初めて大きな成果を得られる。周りの人たちとの信頼関係が大事」と考えを述べ、今のソフトバンクには企業価値を最大化する土壌が揃っているとした。

法人分野では、グループシナジーで新しい価値を提供

 大企業をクライアントに持つ法人部門では、企業や自治体からソフトバンクのサービスを通じてユーザーにサービスを提供するBtoBtoCができるとし、ユーザーに新しい価値を提供できるとしている。

 宮川氏は法人営業の2022年度営業利益について、1500億円規模を目指し取り組んでいくとした。

ヤフー分野とNAVERについて

 ヤフー分野について、宮川氏は「eコマース物販領域で国内3位を達成しているが、1位を目指すべく物流など課題点を克服し取り組んでいく」とコメント。また、成長機会としてLINEやPayPayとの連携強化、ソフトバンクの顧客基盤の活用などを挙げ、さらなる成長を図るとしている。

 また、NAVERとの連携について宮川氏は「『顧客基盤や優れた技術力』に注目している」といい、宮川氏も参加しているという事業戦略検討委員会でこれからどのような取り組みをしていくか検討していくとしている。

 このほか、東南アジア最大級のデータ/AIマーケティング会社のADAと資本業務提携を結んだ件について、宮川氏は「マーケティング分野での提携」とコメント。世界展開を目指し今後も取り組んでいくという。

PayPayなど成長分野にもスポットを

 宮川氏は「重要な子会社の情報も展開していきたい」とし、今後は「セグメント別の予想開示」や「PayPayなどの(優良)子会社のなどの潜在価値の見える化」に取り組むという。

 PayPayを例にあげると、PayPayはソフトバンクの営業支援、ヤフーの開発とサービス連携、インドのpaytmの技術支援で立ち上げたサービスで、2022年度に連結子会社化を目指している。

 PayPayの登録ユーザー数は累計で3900万人を突破、決済回数は2020年度で年間20億回超、加盟店数も316万カ所以上となっている。また、これまで非開示だった年間の決済取引高(GMW)を今回始めて開示し、2020年度に年間3.2兆円を記録している。

 また、宮川氏はPayPayについて「いずれはIPOしたい」とコメントし、今後独立に向けて取り組んでいく姿勢を示した。

 今後は、PayPayを中心とした経済エコシステムの構築を目指すとしている。

 また、ソフトバンクでは優良子会社を第2のPayPayとして育成していきたいと考えを示した。

SDGsへの取り組み

 説明会の最後に宮川氏は、SDGsへの取り組みにも言及。多くの電力を使う通信インフラを支える会社として、「社会課題の解決が事業成長につながる」とし、2030年度までに全社の電力を100%再生エネルギー化を目指すなどに取り組むという。

 また、携帯電話基地局などでは、夜間のバッテリー切り替え時間の調整など」、細かなところから取り組んでいくとしている。

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