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携帯ショップはなぜ「頭金」を設定したのか――総務省が販売代理店にヒアリング

 「卸値が販売価格そのまま」「クレジット払いになると手数料分が赤字になる」――総務省が26日午前に開催した有識者会合「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(第17回)」で、そんな言葉が並ぶ資料が開示された。

 資料は第17回の会合で紹介されたもののひとつ。ここ数年、端末割引が2万円までに規制されるなど、大幅な変化が訪れた携帯電話のマーケットに対し、店頭で何が起きてきたのか、現状を把握するために実施された調査となっている。

これまでの経緯

キャリア直販サイトと卸価格が同じ

 今年3月に実施されたという調査によれば、大手3キャリアでは、いずれも販売代理店に卸される端末の価格が、キャリア直販のオンラインショップの価格と同じ。

インタビュー結果その1
インタビュー結果その2

 資料では「その価格のまま販売すると、代理店側にとっては、端末販売による粗利が0円になり得る」と指摘。

 さらに、いわゆる白ロム販売(回線に紐付かない端末のみの販売)では利益が出ず、クレジットカード払いなどの販売条件によっては代理店側に赤字が発生するという声があることを紹介している。

 2020年9月には、本ワーキンググループがまとめた報告書において、「頭金」が、一般的な意味と異なる形で使われていると指摘していた。今回の総務省によるインタビュー調査でも代理店側から「消費者の誤解を招きやすく、セールストーク上も問題があり、望ましい商習慣と言えない」「ユーザーから何の金額か、と問われたときの説明がむずかしい」と振り返るコメントが寄せられた。

 そうした頭金の背景として先述した卸値=店頭販売価格という状況がある。その上で、販売価格に店舗側の利益を含められない構造を問題視する声もあった。

 卸値が店頭価格と同じになる慣行は、かつて多額の販売奨励金が設定されていたころの名残であり、現在のような規制下の中では店舗側の負担増に繋がっているという。

楽天モバイルは現在、販売代理店ビジネスを拡大中とのことでアンケート調査のみの対象となった

「スタッフに罪悪感ばかりたまる」

 端末販売以外の商材での手数料で収益を確保できるかどうか、という観点では「戦略的に取り組めば十分」と評価する声があった。

 その一方で、「キャリアから合理的とは言いがたい高い目標が設定され、ユーザーが求めていないサービスを積極的に勧誘する必要がある」と指摘する声もある。

インタビュー結果その3
インタビュー結果その4

 さらには「獲得しなければならない商材についての指標が多岐にわたり、通信契約に来たユーザーへ、オプションや、他業種の商材をおすすめしなければならない。ユーザーから感謝されることは少なく、スタッフは罪悪感ばかりたまっていく」という率直な意見もあった。

端末単体販売を拒否する店舗と、キャリア側の認識

 このほか総務省では、店頭で、端末単体を購入しようとするユーザーに対して、店舗側が販売したかどうか覆面調査の結果と、キャリア側がどう把握・認識していたか聞き取りした結果もあわせて公開している。

 総務省の覆面調査では、キャリアによって異なるが約9~30%の店舗が、回線のないユーザーに対して端末単体の販売を拒否した。

 一方、キャリア自身の調査では1~3%程度だった。

 こうした状況は「キャリアは非回線ユーザーへの端末販売をしているにも関わらず、販売現場に徹底されていない。事業者の調査は極端に割合が少なく、キャリア側は現場の実態を十分に把握・指導できていないと考えられる」と指摘している。