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総務省、大手3キャリアで「非回線契約者への端末販売拒否」の実態を指摘――覆面調査で明らかに

 総務省は29日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの販売代理店に対する覆面調査の結果、一部店舗で「非回線契約者への端末販売拒否」があったことを明らかにした。

購入サポートプログラムの条件

 2019年10月に施行された電気通信事業法の一部を改正する法律では、ドコモやKDDI、ソフトバンクなどの端末購入補助(いわゆる端末の値引き)について、通信契約と端末のセット販売時の利益提供には上限2万円と定められている。ただし、通信契約を伴わない端末販売時と同条件の購入プログラムであれば、利益提供は自由としている。

 同条件にあわせるように、ドコモでは「スマホおかえしプログラム」、KDDIでは「かえトクプログラム」、ソフトバンクは「トクするサポート+」と購入サポートプログラムを用意している。これらの購入サポートプログラムでは、上限2万円の規制に抵触しないよう、購入時の回線契約は“必要なし”としている。

 一方、総務省は2020年5月に当時の購入サポートプログラムでは、「回線契約者と非回線契約者への提供条件に差異が存在」していると指摘し、「ユーザーが回線契約による差異があるような誤解を与えないこと」や「SIMロック解除ガイドラインの遵守を徹底すること」などを3社に要請した。

覆面調査

 総務省の「競争ルールの検証に関する報告書2020」においては、3社の購入サポートプログラムについて「回線契約による差異がない」または「差異があっても合理的な理由が必要」としている。

 店頭での説明についても「非回線契約者に対する端末販売が実態として行われていない場合には、『回線契約を条件としていない』とは言えない。総務省では、必要に応じ、非回線契約者に対して端末の販売を制限していないかなど、現場の実態の調査や確認をすることが求められる」としている。

 これらを踏まえ総務省では、2020年12月~2021年2月に3社の販売代理店に対し、「非回線契約者への端末販売の可否」や「非回線契約者への端末購入サポートプログラムの提供の可否」、「回線契約をした場合の利益提供額」について、覆面調査を実施した。

 調査の結果、一部店舗で「非回線契約者への端末販売拒否」や「端末購入サポートプログラムの提供拒否」が行われていることがわかった。

 店頭では、「このキャリア/店舗では非回線契約者に対して端末を販売していない」や「システム上、非回線契約者に対して端末を販売することができない」、「実店舗では、非回線契約者に対して端末を販売していない」、「方針やルール上、非回線契約者に端末を販売することができない」といった説明がなされたという。

 端末購入サポートプログラムについても「端末購入サポートプログラムは回線契約者を対象としたプログラムであるため、非回線契約者は端末を購入できない」と説明され、購入拒否を受けた事例があった。

 また、ショップ店員が詳細確認のために席を外した後、あらためて非回線契約者への端末販売拒否やプログラムの適用拒否が行われた事例が報告されていると指摘した。