ニュース

ソフトバンクG、第3四半期の純利益は3兆円超

孫氏「AI革命に人生を捧げていく」

代表取締役会長兼社長執行役員の孫 正義氏

 ソフトバンクグループ(SBG)は8日、2021年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は4兆1380億円、営業利益は3兆3615億円、純利益は3兆552億円となった。

 決算会見には同社代表取締役会長兼社長執行役員の孫 正義氏が登壇。会見では、「SBGは製造業である」と定義し、今後のビジョンファンド運営などを紹介した。

SBGは投資会社であり製造業である

 孫氏は、「『SBGは投資会社である』ことについて、否定はしないが、一般の人々が思う、既成概念の投資会社とは違う。ソフトバンクは製造業ということを申し上げたい」とコメントし、「常に利益を出し続けられる仕組みをもった会社」という部分を強調した会見となった。

 孫氏は、100億円以上で売却または上場した投資先を「金の卵」と比喩し、SBGをガチョウにたとえこれまで「情報革命」に特化し、金の卵を計画的かつ仕組みをもって生んできたとし、ヤフーやアリババなどをあげた。

 一方で、2000年~2010年代は「投資会社としての側面は休眠状態だった」(孫氏)とし、「ヤフーBB」や「日本テレコム」、「ボーダフォン」を買収し、通信インフラを創業し発展させていった。孫氏は「インターネットが始まるということで全力投入した。立派にやっていけるのを見届けた後、AI革命、事業としてさまざまな産業を一気に塗り替えられると感じ、もう一度『金の卵を生み始めるぞ』という思いからビジョンファンドを始めた」と、ビジョンファンドを始めた経緯をコメントした。

SoftBank Vision Fundの状況

ビジョンファンド企業を日本に上陸させる

 孫氏は、AIと幼児教育や遺伝子治療などに取り組む「SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド・ツー)」の企業をいくつか紹介した(関連記事

 また、孫氏はビジョンファンドグループの中から、日本にも上陸させたいとコメント。「PayPayは、ソフトバンクやヤフーが立ち上げたのではなく、インドの『Paytm』にビジョンファンドで投資して誕生したもの。『アリペイ』のビジネスモデルと『Paytm』のテクノロジーがPayPayに進化した」(孫氏)ことや、PayPayにはソフトバンクが営業応援で参加していることから、孫氏はグループシナジーの成果だと主張。

 今後も日本に、AIのユニコーン企業が進出してくるとコメントした。

 また、これまで、「情報革命」に特化した投資会社だったが、これからは「AI革命」に特化したものになると孫氏は語る。

 白い卵を金の卵にするには、「より大きなビジョン」「より大きな資金」「グループシナジー」を投じて、より早くより大きく育てている。投資先が偶然あたったのではなく、大きく育てる仕組みを作って分析などを分業し工業化し(製造ライン化する)投資していく一連の流れをリズムよく行って行きたいという。

 孫氏は最後に、「交通事故のない、ガンやアルツハイマーで苦しまない世界、異常気象やパンデミックで苦しまない世界、仕事の効率化などをAIで革新し、人々の幸せに貢献していきたい」と、AI革命に人生を捧げていく想いを語った。

上場株の投資について

孫氏

 上場株への投資について、孫氏は「テスト運転の段階」とコメント。現段階では大きな損得にはなっていないという。

 また、「メインはAI革命のエース級の会社だが、伸び率が大きいのはビジョンファンド」(孫氏)とし、投資に時間がかかるビジョンファンドのつなぎで上場株を運用しているとしている。

NVIDIAの買収、当局判断への懸念は

 NVIDIAのArm買収に関して、英国の政府機関が調査を開始したが、孫氏は「承認が降りると信じている」とコメント。

 「賛成反対は常に存在するが、Armのライセンスは常にオープンだという基本方針は変わらない。ArmとNVIDIAの事業領域はほとんど重ならないため、コンセントレーション(企業集中)が深まるわけではない。承認は降りると信じている」(孫氏)とし、影響がないとの見方を示した。

 このほか、4月からソフトバンクの代表取締役社長執行役員兼CEOに就任する宮川 潤一氏に対しては「これから成長させてくれると期待」(関連記事)するとコメントした。

 なお、SBGの非上場化に関する質問には「ノーコメント」と応対した。