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政府、「マイナンバーカードと運転免許証の一体化」2024年度末実現へ

モバイル運転免許証も検討、「スマホへのマイナンバーカード」は2022年度中

 2024年度末(令和6年度末)をめどに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化を実現する方針が決まった。11日の「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」で菅義偉総理大臣が語った。

 同日公開された報告書案や10日の小此木八郎国家公安委員会委員長の会見では、スマートフォンに運転免許証機能を搭載する「モバイル運転免許証」の検討についても触れられている。

菅総理のコメント

 11日のワーキンググループでの議論のあと、菅総理は「あらゆる手続きが役所に行かなくてもできる、そうした行政のデジタル化を実現するため、専門家の皆さんを集めたこのワーキンググループでは、長年指摘されてきた課題を33項目に整理し、今後5年間で実現するための取り組み、方針を本日まとめていただいた」と語る。

警察庁が示す「運転免許証とマイナンバーカードの一体化」イメージ

 引っ越し手続きをひとまとめにできるよう、全国の自治体システムを5年後までに統一・標準化することなどに触れた後、運転免許証とマイナンバーカードの一体化について「マイナンバーカードを持つメリットを高めるために、運転免許証とマイナンバーカードの一体化は、できるだけ前倒して、令和6年度末までに実現することとしております」とした。

 10日の小此木委員長の会見では、当初、2026年中と予定していた「マイナンバーカードと運転免許証」の一体化が、11月に開催された会議で菅総理から前倒しの要望が出たことを受けて、警察庁での検討を重ねた結果、2024年度末から全国一斉に一体化を開始することになったと説明。

 さらにモバイル運転免許証については、将来の選択肢として考えられるものの、実現に向けて、偽造やなりすましを防止する取り組みなどが必要と指摘。まずは運転免許証とマイナンバーカードとの一体化を進めるとした上で、モバイル運転免許証については、「国際規格の策定状況やマイナンバーカードのアプリ化の検討状況も踏まえて、検討は進めてまいりたいと思います」とした。

あらゆる行政手続きをスマホで

 ワーキンググループのまとめた報告書案では、運転免許証だけではなく、さまざまな行政での手続きとスマートフォンの組み合わせについても触れられている。

 「11の個別目標」のひとつめに挙げられたのは「あらゆる行政手続きがスマートフォンから簡単にできる」というもの。オンラインでの申請・受付やマイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載などの実現を目指し、24時間365日、いつでも申請や手続きできるようにする。

 個別目標には、行政機関などから同じ情報を繰り返し聞かれないようにする「ワンス・オンリー」、行政事務の効率化、システムコストの大幅な低減、政府のAPIの活用などによる民間企業の生産性向上といった項目も含まれる。

2022年度中にスマホへマイナンバーカード機能

 マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載については、2020年度末までに具体的な方向性が検討され、2021年の国会で法整備が進められる方針とされている。

 そして2021年度までに技術検証、システム設計が実施され、2022年度には「スマートフォンへのマイナンバーカード機能」の実現を目指す。

 このとき、スマートフォンに搭載される電子証明書は、現在のマイナンバーカードに搭載されるものとは別のものになるという。その際には、暗証番号に頼らず生体認証を活用できるよう、今後課題を整理して検討する方針となっている。