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KDDI総合研究所ら、屋内でのミリ波5Gエリア展開に優れた光ファイバー無線の伝送実験に成功
2020年12月8日 12:27
KDDI総合研究所と矢崎総業、早稲田大学、情報通信研究機構(NICT)は、大容量の無線信号を収容局からビル内まで効率よく配信する「光ファイバ無線技術」を開発した。また、同技術を活用し、5G最大伝送レートを上回る27Gbit/s無線信号のモバイルフロントホール伝送と、屋内電波不感地帯向けの中継伝送技術を組み合わせた統合伝送実験に、世界で初めて成功した。
同技術により、大容量無線信号の効率的な配信と、アンテナ設置箇所のスペースと消費電力が削減でき、ミリ波を用いた5Gサービスや、5Gの次世代技術であるBeyond 5G/6Gに向けた動きの加速が期待される。
ミリ波を活用した5GやBeyond5G/6Gのエリア展開にあたっては、ミリ波の特性上屋内などの閉空間が電波不感地帯になりやすいことが懸念されている。屋内などさまざまな環境に多くのアンテナを配置することは、スペースや急激に増加する消費電力、無線信号の高効率な伝送などさまざまな問題を抱えているという。
今回、複数の無線信号の時間波形を一括して光の強度情報に転写し、大容量の無線信号を効率よく伝送することが可能な光ファイバ無線技術「IFoF方式」を開発。また、これまで周波数特性からミリ波帯の光ファイバ無線への適用が困難と考えられていたマルチモードファイバ用の強度変調-直接検波型光送受信デバイスを新たに開発し、屋内配線を想定したマルチモードファイバによるミリ波信号の伝送を実現できた。
これらにより、5Gの最大レートを上回る27Gbit/s 無線信号のモバイルフロントホール20km伝送と、モバイルフロントホール伝送後にミリ波無線信号をマルチモードファイバで200m中継伝送する、統合伝送実験を行い、世界で初めて成功した。
なお、今回開発した光ファイバ無線技術によるモバイルフロントホールは、波長多重や空間多重を組み合わせることで更なる大容量化が期待できる。
また、IFoF方式により、より低い周波数領域の伝送機器が使用されるため、省電力化やアンテナ側の設備構成が簡素化できるため、ユーザーのニーズに応えてより早いエリア展開が図れる。
今回の実験では、収容局からアンテナサイト向けの下り方向について実験を行った。今後は、上り方向でも実証実験を進め、標準化活動の推進を並行で進め、5GやBeyond 5G/6G向けモバイルフロントホール技術としての方式確立、実用化に向けた活動を継続していく。