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「京セラのシニア向けデバイス」が目指す今後の姿
2020年11月25日 17:30
京セラは、携帯通信機器事業30周年を迎えた。同社のこれからの携帯通信機器事業はどのように進めていくのか。
同社では、「シニア」「法人」「高耐久端末」「キッズ向け」「5G・IoT」の5つのテーマに注力し、バランス良く事業活動を行っていく。
今回は、このなかの「シニア」向け事業について解説する。
ユーザーひとりひとりに寄り添った機器展開を
京セラ 取締役執行役員常務 通信機器事業本部長の厳島 圭司氏は、京セラはこれまで30年の間、通信技術の進化と市場ニーズを捉え、ユーザーが喜ぶ商品価値を提供できたとコメント。
そのうえで、今後は経済発展と社会課題解決の両立やひとりひとりの人間が中心となる社会「Society 5.0」の実現に向け、ユーザー視点での商品やサービス開発と京セラが持つ技術力を活用した商品開発を行う。
京セラが1989年に発売した携帯電話「HP-101」から30年間、フィーチャーフォンからスマートフォンへと時代が移りゆく中で、携帯電話はパーソナルな通信手段から社会のインフラとして成長していった。その中で、これまでの機能競争の時代では「グローバルで多くのモデルを出す」ことが主軸となってきているが、ここ2~3年はユーザーによって端末の種類が細分化されてきていると厳島氏は指摘する。
これからは、グローバルモデルに近いものではなく、ひとりひとりのユーザーの声を聞き、向き合い、共に体験し、最適な端末を提供する時代になる。
そこで、京セラでは今後数年間の携帯電話事業として「シニア」「法人」「高耐久端末」「キッズ向け」「5G・IoT」の5つのテーマを掲げ、各テーマバランス良く取り組んでいく。
シニア向け事業の今後
シニア向け事業は、同社通信事業戦略部 シニア・ビジネスユニットの伊東 恭弘氏が登壇。
シニア向け携帯/スマホ
携帯電話の契約者数は年々増加の一途をたどり、2020年には1億8000万台を超えており、1人1台以上持っており社会のインフラになっている。
携帯電話やスマートフォンが、機能面や通信性能などが急速に向上していくなか、一方で社会のデジタル化についていけないシニア層には、携帯電話やスマートフォンを使用することに壁を感じているユーザーが多いと指摘する。
京セラでは、これまでも「取説のいらない携帯電話」のキャッチフレーズの携帯電話「ツーカーS」(2004年発売)など、シニアでも抵抗なく使える携帯電話やスマートフォンを開発してきた。
京セラのシニア向け端末の累計出荷台数は1200万台を達成しており、今後もシニアの不安や不満を丁寧に汲み取り、時代に合わせた改良や改善を行っていく。
携帯端末にとらわれないデバイスの開発
超高齢化社会といわれる日本では、これまで以上にシニアと社会のつながりが重要になってくる。
そこで、京セラではこれまでの携帯端末にとらわれない、シニアのユーザーでも障壁が少なく導入できるコミュニケーションツールの開発に着手した。
京セラでは、シニアでも身近にある「姿見」に着目し、「姿見」にコミュニケーション機能を搭載した「Smart Gate」を開発している。
「Smart Gate」は、姿見全体が大きなディスプレイとなり、家族と大画面でコミュニケーションがとれる。画面が大画面なので、「画面が小さい」「タッチパネルが使いづらい」といった不満を解消し、いままで接してきたものが自然にデジタルに置き換わることで、シニアにとって乗り換える“壁”が低くなるのではないかと考えた。
コミュニケーション以外にも、ユーザーが身につけているウェアラブルデバイスとリンクした健康体調管理機能や、熱中症アラート、万一の場合のSOS発信機能などを搭載する。
「Smart Gate」の開発では、熱や電力、コスト、通信速度など、技術的な課題があるが、5Gや6Gなど今後の技術革新でクリアできると担当者は説明する。