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ドコモ、第2四半期決算は減収増益

 NTTドコモは、29日に2020年第2四半期決算を発表した。

 2020年度上期の営業利益は2兆2825億円(前年同期比475億円減)、営業利益は5636億円(前年同期比233億円増)の減収増益だった。

 会見には、同社代表取締役社長の吉澤 和弘氏が登壇。吉澤氏は、社長として最後の決算会見に臨んだ。

NTTドコモ代表取締役社長の吉澤 和弘氏

国際ローミングと端末販売が不振

 減収の要因として吉澤氏は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による国際ローミングの大幅な減少を要因の一つとして挙げた。また、端末販売数の減少も、要因の一つと指摘する。

 一方、スマートライフ関連事業を拡大できたことなどで、前年同期比+4.3%の増益を達成した。

通信事業

 携帯電話契約数は、前年同期比+2%の約8099万契約、解約率は0.46%に減少した。また、ドコモ光の契約数も前年同期比+10%の約680万件となった。

dポイントや金融・決済サービス

 dポイントクラブの会員数は約7815万人(前年同期比+8%)となり、dポイント利用額も1153億ポイント(22%)と大きな成長をみせている。

 金融決済取扱高は3兆1800億円(+33%)、dカード契約数は1355万契約(+13%)となった。

 d払いは、特に高い成長をみせた。d払い取扱高は昨年の2.4倍となる3320億円、d払いユーザー数は1.7倍の2999万人、取扱カ所は2.2倍の266万カ所となった。

 なお、「ドコモ口座」に関しては、同会見冒頭、吉澤氏から「申告分の補償の完了」「本人確認の厳格化」が発表された。

 ドコモ口座の不正引き出し被害の影響で、多くのユーザーが「スマホ決済」そのものに対するセキュリティ上の不安が高まったとし、ドコモとしては「不安をどのように払拭していくか」、「スマホ決済を活性化させる」取り組みをしていかなければならないとコメントした。

 また、吉澤氏はドコモ口座のように複数の事業者が絡むサービスについては、事業者が個々にセキュリティを高めるだけでなく、エンドツーエンドでセキュリティの確保や、本人確認がしっかりできる対策をした上で再拡大させていくのがドコモの役割だと指摘した。

災害対策、新たな料金プラン

 ドコモでは、東日本大震災を教訓に、震災以降1000億円以上を災害対策に投資してきた。「大ゾーン基地局」や「伝送路の多ルート化」などの災害対策は、これまでの災害でも役立っているという。

 また、新型コロナウイルスに伴う対応として、学生向けのデータ容量支援や、オンラインを中心とした取り組みを紹介した。

 新型コロナウイルスによる、社会情勢を踏まえ「一人親世帯」のユーザーを対象に「子育てサポート割引」を新たに提供する。吉澤氏は、これまでも「子育て応援プログラム」や「キッズケータイ」など、子育て世帯の支援を実施してきたといい、新型コロナを契機に、とくに影響が大きい一人親世帯を支援するために割引を用意したとコメントした。

 また、22歳以下のユーザーには、新たに「ドコモのロング学割」を提供する。

総務省のアクションプラン

 27日に総務省から発表された「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」について、吉澤氏は「ドコモとして意見をしっかり伝える」とし、議論の余地があると指摘した。

 また、KDDIとソフトバンクがサブブランドで提供する「20GBプラン」に関して吉澤氏は、「ドコモも対抗していかなければならない」としながらも、TOB期間中を理由に具体的な対抗策はコメントを避けた。

視野を広げて事業をする必要がある

 11月に社長を退任する吉澤氏は、記者よりこれまでを振り返ってどのような思いがあるかと問われた。

 吉澤氏は、「グローバルでICTやITプラットフォームの移り変わりは速い」とし、近年、自身の目線や視野を広げる必要があるという思いがあったという。

 また、吉澤氏は「2000年代にiモードが誕生し、モバイルインターネット、スマホ時代と移っていく中、モバイル分野では貢献できたが、今後モバイルだけでなくAIやプラットフォームなど視野を広げて行く必要がある。ドコモにはチャレンジできる余地がまだまだたくさんある」とコメントした。