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楽天モバイル、どんなときもWiFi、mineoの通信事故の原因は――総務省が検証

 総務省は、令和元年度に発生した電気通信事故について、事故の再発防止を目的に、通信工学、ソフトウェア工学、システム監査、消費者問題の各分野の有識者が構成員となり検証する「電気通信事故検証会議」の報告を取りまとめ、その内容を公開した。

 令和元年度に発生した電気通信事故のうち、「重大な事故」は3件で、前年度からは1件減少している。また、電気通信事業報告規則第7条の3に定める四半期ごとに報告を要する事故(四半期報告事故)は、詳細な様式による報告が6301件、簡易な様式による報告が5万8211件発生した。

 3件発生した重大な事故のうち、移動体通信サービスに関連する事故は2件。オプテージのMVNOサービス「mineo」で2020年2月に発生した音声通話およびデータ通信が利用できない障害と、グッド・ラックが提供するMVNOサービス「どんなときもWiFi」で発生したデータ通信サービスが利用できない障害が該当した。

 このほか、楽天モバイルの無料サポータープログラムで発生した、2019年12月の音声通話サービスを含めたサービスの停止と、2020年2月に発生した音声サービスの停止については、障害の内容および影響時間から、本格サービスが展開された場合には「重大な事故」に該当する可能性があるため、事業者に対して同会議への出席を要請した。

 なお、同会議の資料では楽天モバイルの通信事故について事業者名が明記されていないが、同日に発生した楽天モバイルの通信障害と内容が一致するため、本稿では楽天モバイルにおいて発生した障害として紹介する。ただし、同会議による検証は事故の責任を問うことが目的ではなく、再発の防止を目的としている。

「mineo」の通信障害と原因

 オプテージ(mineo)の通信障害では、データ通信および緊急通報を含む音声サービス(MVNO)の利用不可が4時間56分にわたって継続し、音声サービスは全国で最大約27万人に、データ通信は最大約29万人に影響した。

 mineoでは、ドコモ、au、ソフトバンクの回線を使ったサービスをそれぞれ提供している。障害はau回線のプラン契約者が先に復旧し、障害の影響が長引いたドコモ回線とソフトバンク回線のプランでは、データ通信サービス(MVNO)の利用不可が5時間56分にわたって続いた。影響者数は全国で最大約50万人。

 PGW(Packet data network Gateway)で偶発的な異常が2件ほぼ同時に発生したことで予備スロットへの切替が行えず接続中の多数のセッションが切断され、セッションの再接続要求による負荷が発生したため、ユーザー情報を管理するPCRFにて処理の輻輳が発生し、新規の接続が行えなくなったことが原因。

「どんなときもWiFi」の通信障害と原因

 グッド・ラックが提供する「どんなときもWiFi」の通信障害は、データ通信サービス(MVNO)の利用不可が9時間24分、全国3万人以上に影響した。

 障害には、同社のほかに兼松コミュニケーションズとモバイルコネクトも関連している。障害の発生日は、2月21日、24日、3月6日、9日、12日、15日、16日、18日、19日、20日、21日。

 発生原因は、SIMカードのデータ通信容量の制限状況を十分に把握していなかった上に、データ容量の確保が不十分であったため、容量制限に達して低速化したSIMカードを契約者に割り当てしてしまい、該当の契約者は著しい低速化の影響を受けた。また、割当する容量が需要に対して不足していたため、サービスが利用できない状態が発生した。

 さらに、低速化したSIMカードの停止および別のSIMカードへの切替をモバイルコネクト社が大量に実行したため、アクセスサーバーがビジー状態となり、利用者へのSIMカード割り当てが正常に行われず、サービスが利用できない状態が発生した。

 事業者への問い合わせ件数は、5月19日時点で電話による問い合わせが延べ9万7660件、Webフォームによる問い合わせが13万8340件にのぼる。

 通信障害が発生した「どんなときもWiFi」は、データ容量を制限しない「無制限プラン」を10月31日で提供終了することを発表済み。

楽天モバイルの通信障害と原因

 楽天モバイルの「無料サポータープログラム」では、2019年12月10日と2020年2月17日に通信障害が発生した。

 2019年12月10日に発生した通信障害では、データ通信及び緊急通報を含む音声サービスが利用不可となり、影響利用者数は音声サービスが全国で約150回線、データ通信は約1000回線、障害の継続時間は2時間41分間。

 発生原因は、データベースのロック処理の不具合に伴い、データーベースへのアクセスを無限に繰り返す状態となり、接続要求処理が行えなくなった。エラーを検知した場合にPCRFの自動切り離しが行われていなかったという。

 2020年2月17日に発生した通信障害では、緊急通報を含む音声サービスが利用不可となった。影響利用者数は約70回線で、大阪市、神戸市、名古屋市の一部の利用者に影響した。障害の継続時間は1時間47分間。

 サービス普及拡大に向けて実施した電気通信設備の構築作業で、不要なデータを削除する際に作業従事者のオペレーションミスにより、削除不要なデータを削除したことで障害が発生した。